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クーリング・オフ 意外と知られていない重要ポイントQ&A その2

2021年6月9日

テーマ:くらしのお役立ち知識

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 消費者問題

(その1からのつづき)

【Q5 トイレが急に詰まり、チラシを見て業者に電話し、身に来てもらいました。すると、高圧洗浄と便器交換が必要と言われ、仕方なく30万円で工事してもらいました。不審なのでクーリング・オフできますか? 】
A5 最初からその工事をしてもらうつもりで頼んでいなければ、クーリング・オフは可能です。その場合は、原状回復義務により元通り状態に戻してもらうことになります。

クーリング・オフは、契約を一方的に無条件で解除し、契約前に戻す制度です。適用されれば、事業者は元の状態に戻す義務=原状回復義務を負います。便器についても、事業者の費用負担で元に戻さねばなりません。

よくある例として、工事終了後工事業者が古い便器を廃棄してしまったということがあります。この場合、もし「廃棄したからクーリング・オフはできない」と業者が主張すると、それはクーリング・オフ妨害になります。

なお、消費者が「〇〇の契約を結びたいので来てほしい」と、明確に契約する意思を持って頼んだ場合は、特定商取引法の訪問販売自体が適用されません。クーリング・オフ制度も使えません。でも、「トイレが詰まったので、とりあえず見に来てほしい」と呼んだら30万円の契約をさせられた、のようなトラブルが多発しています。「30万円のトイレ工事の契約をするため」でなく、「とりあえず見てもらうため」に呼んでいますので、30万円の話は「不意打ち」なため、クーリング・オフは可能です。


【Q6 10日前にネットワークビジネスを契約しました。クーリング・オフできる?】
A6 はい、できます。マルチ商法のクーリング・オフ期間は20日間です。

ネットワークビジネス(マルチ商法=連鎖販売取引)は、その仕組みが特に複雑で消費者にとって分かりにくく、また契約した人が「必ずもうかる」など信じ込んでいる場合が多い取引です。その為、契約をやめるかどうかの熟慮期間=クーリング・オフ期間は20日間と長期間に設定されています。

また、「うちの事務所でモデルの契約をする」「紹介する仕事をすれば収入が得られる」などと勧誘し、その仕事をする為には「トレーニングを受けなければならない」「この販売ツールを買わなければいけない」「この教材を買って勉強しないといけない」などと関連商品・サービスを契約させる副業ビジネス(内職商法=業務提供誘因販売)も、同じように仕組みが複雑で、契約してから問題に気づくまで時間がかかりやすいため、クーリング・オフ期間は20日間です。


【Q7 自分から店や事務所に行って契約してもクーリング・オフできる場合があるって本当??】
A7 はい。勧誘された状況によっては可能です。

・突然の電話や街頭でのアンケートに答えた。もう少し詳しい話を聞きたいからと予定を約束し、後日店や事務所に行って契約させられた。
・起業して成功している人に会えると誘われて事務所に行ったら、ビジネスセミナーの受講と投資ソフトを買う契約をさせられた。
・エステで無料体験だけを受けに行ったのに、店で10回コースの契約とサプリメントを買わされた。

これらのケースに共通するのは、「そんな契約をするつもりで言ったわけではないのに、その場で不意打ちを食らって契約してしまった」ということです。
相手から誘われて店や事務所に自分から行ったとしても、誘われた内容や行く目的とは異なる内容の勧誘を受けて契約させられた場合は、「不意打ち」となり、クーリング・オフの対象になります。

Q8 痩身エステサロンで7万円12回コースの契約をした時、効果を高めるサプリメントも勧められて契約しました。その場で飲むように言われて5錠飲みました。開封済みですが、サプリメントもクーリング・オフできますか?
A8 販売者に開けるように言われて開封した場合なら、消費した健康食品でもクーリング・オフできます。

5万円を超える+1か月を超えて続けてサービスを受けるエステの契約は、特定商取引法の「特定継続的役務」に該当します。この場合、そのエステサービスと一緒に契約した関連商品もクーリング・オフの対象になります。

一方で、使うとほとんど商品価値がなくなってしまう消耗品は、クーリング・オフの対象外です。代表的なものとしては、使用ずみの健康食品や化粧品などです。
但し、「今すぐここで飲みましょう!」など契約した相手に指示されて使用した場合は、消費者の意思で使用したわけではないので、使用済みでもクーリング・オフの適用対象になります。適用になるのに、「使用済みだからクーリング・オフできない」とサロン側が説明した場合、クーリング・オフ妨害にあたる可能性があります。

(つづく)

この記事を書いたプロ

池見浩

消費者の権利と責任を社会に確立する消費生活のアドバイザー

池見浩(消費者考動研究所)

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