早く共有状態を解消したい!共有名義不動産を分割請求!
「共有持分ってなに?」
「どんなメリット・デメリットがあるの?」
「共有持分って売却できる?」
この記事では共有持分の概要とメリット・デメリット、売却方法を紹介します。
■1. 共有持分とは
はじめに共有持分について紹介します。そもそも共有持分とは、複数名で所有している不動産の所有権割合のことを指します。以下の画像の通り、登記簿に共有者が2名おり、持分が1/2ずつ保有している状態が、共有持分であることを示します。
共有者の人数に上限はなく、何名でもかまいません。では実際どのようなケースで共有持分になるのでしょうか。次の項で詳しく解説します。
1-1 共有持分になるきっかけ
共有持分になるきっかけは「不動産の購入」または「相続」が一般的です。例えば同一物件に対して、夫婦それぞれの収入に応じて借り入れができるペアローン(住宅ローン)を組み、不動産を購入した場合、その不動産は出資割合に準じた共有持分となります。また親の不動産を兄弟間で相続した場合なども共有持分になるきっかけです。
1-2 共有持分がトラブルになる理由
共有持分であることでさまざまなトラブルに発展する可能性があります。ここでは代表的なトラブル事例を紹介します。
・離婚・・・共有名義の不動産を所有している夫婦が離婚することになった場合、どちらが住み続けるのかでトラブルになることがあります。一般的には家に住み続ける人が相手の持分を買い取りますが、金銭を支払いたくないという理由からトラブルへと発展します。
・不動産の活用の意見相違・・・共有名義の不動産を売却、建て替えなどをする際は、共有者全員の同意が必要となります。しかし共有者のうち、1人でも反対すると売却や建て替えができなくなり、トラブルになるケースも多いです。
・家賃収入・・・アパートなどの収益不動産の場合、家賃収入は持分割合に応じた比率で分配するのが基本です。しかし特定の共有者だけが維持管理をしているという理由で、他の共有者に対して公平な分配をしないというケースでトラブルになることも多いです。
上記の他にも共有持分の不動産でトラブルになる事例が数多く挙げられます。そのため基本的には単独名義(所有者が一人だけ)が良いとされています。しかし共有持分の不動産でもメリットがあるため、後ほど詳しく解説します。
1-3 持分割合の決め方
共有持分の割合は、住宅購入の場合「費用負担」に応じて決まります。例えば住宅ローンの借入額が夫3,000万円、妻が2,000万円の場合、夫は持分3/5、妻は持分2/5となります。
一方相続による取得の場合、法定相続分での分割や遺言書の内容に準ずるのが一般的です。しかし遺言書に明記されていない場合や遺言書がない場合、もしくは遺言書の内容に相続人全員が同意しなかった場合は相続人全員で遺産分割の割合と方法を定める遺産分割協議で決定します。
そのため、不動産の共有持分は共有者で平等になる場合や1人だけ持分割合が大きくなるケースなどさまざまです。
■2. 共有持分のメリット・デメリット
不動産は単独名義の方が活用の自由度が高い特徴がありますが、一方で共有持分にもメリットがあります。ここでは共有持分のメリット・デメリットを紹介します。
2-1 メリット1:住宅ローン控除(減税)が共有者ごとに適用
住宅ローン控除とは、住宅ローンを借入した方の所得税を控除できる制度です。借入額に対し、0.7%をかけた値を新築時から13年間控除(中古の場合は10年)することができます。共有持分の場合、それぞれの借入残高に応じた住宅ローン控除が適用されるため、夫婦それぞれの所得税を節税できます。なお、住宅ローン控除は建築する住宅の分類と入居する時期によって借入上限額が定められているため、以下の表を参考にしてください。
2-2 メリット2:相続税の節税対策になる
不動産の所有権が共有持分の場合、相続税の節税対策になります。相続税は被相続人(亡くなった方)が所有していた財産評価額に対して、相続人に課せられる税金です。共有持分にしておけば、共有者の持分割合に対しては相続税の課税対象額から外れるため、相続税の節税対策になります。
2-3 デメリット1:不動産の活用に共有者の同意が必要
共有持分の不動産を活用する場合、共有者の同意が必要です。不動産を売却したい場合や建て替えする場合、共有者全員の同意がなければ行うことができず、一人でも反対すれば、不動産を活用できないというデメリットがあります。
2-4 デメリット2:権利関係が複雑化しトラブルになりやすい
共有者の一人が亡くなってしまうと、その持分は共有者の相続人が相続することになります。そのため、相続が起きるたびに名義が枝分かれし、権利関係が複雑化していきます。
例えば兄と弟で共有持分の不動産を所有していた際、兄が亡くなってしまうと兄の妻や子供などが共有者となります。さらに上記のような状況が続いていくと、共有者の人数が増え、誰と共有持分を所有しているか把握できないほど、複雑化してしまう可能性も高くなります。
■3. 共有持分を売却する方法
共有持分は権利関係が複雑化することから、売却したいという方も多いです。ここでは共有持分を売却する方法を紹介します。
3-1 共有者全員から同意を得て不動産全体を売却する
共有者全員の同意を得ることで、不動産全体を売却することができます。ただし、共有者の人数が多い場合は意思確認や売却に必要な書類集め等の手続きに時間がかかったり、意見の違いで話し合いがまとまらないケースもあります。
3-2 自分の持分だけ売却する
共有者間で売却の意向が割れる場合は、自分の持分だけ売却することが可能です。自分の持分のみを売却することで、煩わしい共有状態から抜け出すことができ、売却益も得ることができるため、最も合理的な方法です。
ただし、持分を購入した第三者はは、他の共有者の同意がなければ不動産を活用できないため、買い手が見つかりにくい特徴があります。そのため売却価格は、不動産全体を売却するよりも、大幅に安くなる点には留意しておきましょう。
3-3 共有者に持分を買い取ってもらう
自分の持分を他の共有者に買い取ってもらう方法です。共有者同士で売り買いの条件が合意できれば問題ありませんが、価格などの金額面で、中々合意しないケースが多いです。共有者は、親族関係にあることがほとんどのため、親族間での金額交渉は現実的には困難を極めると言えます。
3-4 買取業者や仲介業者に売却を依頼する
共有持分を専門に取り扱う不動産会社に売却を依頼する方法です。共有持分の不動産売却には、法律や不動産の専門的な知識が必要になるため、街中でよく見かける不動産屋さんに相談しても、断られるケースがほとんどです。
不動産会社の中でも、買取業者と仲介業者はありますが、早く売りたいなら買取業者、高く売りたいなら仲介業者を選ぶと良いでしょう。
■まとめ
共有持分とは、共有名義で所有する不動産の所有権の割合のことを指します。
共有名義不動産は、共有者の一人でも反対すると売却や建て替えができなくなる特徴があります。その結果、共有者同士でトラブルに発展するケースも少なくありません。
煩わしい共有状態から抜け出すには、“自分の持分のみ売却する”という方法が最善策です。共有持分の売却やトラブルは、共有持分を専門に取り扱う不動産会社に相談してみると良いでしょう。
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