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松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき) / 宅地建物取引士

株式会社中央プロパティー

コラム

不動産の共有名義トラブルを早く終わらせたい!理想的な解決方法!

2018年10月16日 公開 / 2023年5月19日更新

コラムカテゴリ:住宅・建物

共有名義の不動産では、その取扱いをめぐって所有者の間でトラブルになることがよくあります。

問題解決には、共有名義を解消する方向で協議を進めることです。共有名義によくあるトラブルを解決できる7つの方法を紹介します。

不動産の共有名義トラブルを早く終わらせたい!理想的な解決方法!

なぜ多い? 共有名義の不動産に多いトラブルの理由とは?

共有名義の不動産とは、1つの不動産を複数の人で持ち合っていることです。

兄弟姉妹などでお金を出し合って不動産を買ったり、遺産相続により共有名義の不動産を所有することが多いのですが、共有名義の不動産は、その取り扱いにおいて変更を加えるとき、または売却をする時は、共有者全員の合意を取らなければなりません。

共有者の人数が多く、意見がまとまらないといったトラブルに陥ると、問題解決どころか不動産のメンテナンスや運用、そして売却に至るまで何もすることができなくなるリスクが出てきます。

トラブルを複雑にする共有名義不動産の二次相続

共有名義の不動産は、相続後、年月が経って共有者が死亡すれば、その共有者の相続人がその持分をさらに分割して相続します。
共有者の持分は、次の世代の相続人によってさらに細分化されていくのです。

最初は、親の遺産を2人の子供が相続したのに、2人の子供からそれぞれの3人の子どもへ、合計6人へ相続というように、共有者の人数がどんどん増えていきます。

人数が増えれば増えるほど、共有者全員の合意をとるのが困難になり、トラブルが発生しやすくなります。
そして利害の対立から、問題解決もできなくなってしまうのです。

不動産の遺産相続は共有名義を避けるのが理想的

以上のような理由から、不動産を遺産相続することになれば、相続人の間で話し合いをして、最初から共有名義を回避する方向で、遺産の持分の割合や受け取り方を決めることが望ましいといえます。

共有名義を解消して相続をする方法は7つあります。
それぞれのメリットやデメリットも紹介します。

【1.全部売却】
共有名義不動産を共有者全員で売却します。
売却代金は、それぞれの持分割合に応じて分割されるのが原則です。

売却ができれば共有名義が解消され、共有者全員が現金を受け取ることができます。
売却には共有者全員の合意が必要になるので、一人でも反対すれば売却ができなくなります。

【2.一部売却】
共有者が、ほかの共有者の合意を得ることなく自分の持分を共有者以外の第三者に売却する方法です。
この権利は民法でも定められており、共有者は自分の意志で持分を処分することができます。

全部売却するよりも、手元に入るお金が少なくなるデメリットはありますが、共有名義の解消とともに、買い手が見つかれば、早く現金を手に入れられる手段とも言えます。

不動産の持分のみを買い取るのは、別の共有者か、不動産の買い取り業者や投資家です。
近年は、国内外で不動産を投資の対象として売買を取り扱う業者も増えています。

【3.持分移転】
共有者間で持分を売買して持分を移転する方法です。持分を売却した人は、共有関係から離脱することができます。

この方法は、共有者の中で不動産の共有関係を解消したいと希望する人と、「不動産の売却を希望しないけれど、他の共有者の持分を買い取ってもよい」と考える共有者がいれば実行できる方法です。

共有者の中で持分購入を希望する人が複数いれば、持分を分けて売却するのも可能です。

売却する持分は、安い価格で他の共有者に売却してしまうと贈与税が課せられることもあるので注意が必要です。

【4.持分買取】
他の共有者全員の持分を買い取って、不動産を単独で所有する方法です。大まかな流れは持分移転と同じです。

親の実家を3兄弟で相続したが、以前から同居していた兄がその家に住み続けるために、残りの二人の持分を買い取るといった事例が該当します。

【5.持分放棄】
共有者の1人が自分の持分を放棄する方法です。他の共有者の合意を必要とせず、自分の意志で実行できます。

民法では、「共有者の1人が持分を放棄した時、または共有者が死亡して相続人がいないときは、その持分は他の共有者に帰属する」と規定されています。

放棄した持分は、残された共有者の持分割合に従って分割されます。

【6.土地の分筆】
共有不動産が土地の場合にのみできる方法です。土地を共有人の持分に合わせて分けて、それぞれ独立した土地として登記しなおします。

土地の分け方は、道路沿いの土地、そうでない土地といった条件で土地の価値が変わることから、土地の全面積を持分割合で区切るよりも、その価値において分ける方法がよくとられています。

土地の分筆は、共有者間で売却の合意が得られない時、共有者の誰かが相続した土地に住宅ローンを組んで家を建てたいといった時に、共有名義を解消するためにとられる方法です。

【7.共有物分割請求訴訟】
共有者間で、相続した不動産の分割方法について意見がまとまらない時、裁判の形で、不動産の共有状態を解消する方法です。裁判所が決定した分割方法に従います。

分割の方法は「現物分割」や、共有者の1人が不動産全てを取得し、他の共有者に対してその代償金を支払う「全面的価格賠償」、そして「競売」のいずれかをとることが多くなります。

裁判所は、共有者一人一人の主張や持分割合、利用状況、資金力を精査し、不動産の経済的価値もふまえて判決を出します。
しかし、その前に共有者間で和解が成立すれば、裁判所の決定を待つことなく分割をすることができます。

和解のメリットは、同じ価格賠償でも、裁判所が判決をだした場合、不動産を取得する人は、他の共有者にその代償金を一括で支払わねばなりませんが、和解の価格賠償なら支払いを分割にするといったこともできます。

また競売になれば、いろいろな手数料が発生し、売却価格も下がるリスクがありますが、和解で任意売却すると競売で請求される手数料を支払う必要もなく、売却価格も市場相場に近い価格で取引できる可能性が高くなります。

共有名義不動産のよくあるトラブルについては、下記記事でも詳しく解説しています。
【共有名義の実情】~よくあるトラブルについてもご紹介~

この記事を書いたプロ

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