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『良くない塾ってどんな塾』

井上昇哉

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テーマ:教育 受験 進路

こんにちは。与一の井上です。

「本を読むのには言葉を覚える以外にも利点がある。(中略)だから本を読んで言葉を覚えたい」
「さそり座の恒星Sは、季節によって土星よりも地球に近づく」
「副詞節でもwillを用いる」

今回のコラムは非常に批判的な内容となりますので、共感して頂けない方も大勢いらっしゃるかもしれません。
そうした内容が好きでない方は、読むのを止めて頂くことを強くお勧めします。
ですがお話しせずにはいられません。私ははっきり言って腹が立っています。

上に書いたものはあるいくつかの塾で与一の生徒が教えられた解説、あるいは良しとみなされた作文です。
おわかりになりますか?明らかに間違っています。
一番上の作文ははっきりと矛盾していますし、他2つは下手したら中学生でもわかる間違いです。
このようなことを堂々と教える塾がある。こうした事実にいてもたってもいられず、まさに今塾選びをしている方の多い時期だからこそ、“良い塾”ではなく攻撃的な言い方で大変恐縮ですが“良くない塾の見つけ方”をお話しします。
あくまで私見ですので参考程度にお読み頂ければ幸いです。

答えがないと教えられない

塾の講師にまず第一に必要なのは間違いなく知識です。
高校・大学入試の問題で満点を取れること。これが最低限のレベルです。
今から受験をする生徒を教えるのに、自分が入試問題を解けないのではお話になりません。
ですが世の中には“答えがないと教えられない”講師が山ほどいます。
勿論理系科目などはその場で計算をするのはかなり大変なため、答えを見ながらの方が指導の効率が良いとの理由で答えを片手に教えることもあるでしょう。それは全く問題ありません。
ですが手元に答えを持っているものしか教えられない、そんな講師が周りにいませんか?
塾の講師の知識の有無を判断するのは難しくはありません。
例えば中学生なら高校受検や実力テストの問題を、高校生なら学校で学習している参考書などの、塾で用意しているものではない問題を持っていき、これを教えて下さいと聞いてみましょう。
「答えある?」この言葉が真っ先に出てきたら結構危険です。解けない、または解けても自信がない。この可能性が高いでしょう。
でもさすがに大学入試の問題を持って行ってすぐに解くのは苦労します。持っていくのであればもう少し易しめのものをお勧めします。

塾のかけもちを認めてくれない

与一にも塾のかけもちをしている生徒は多くいますが、塾によってはそれを認めないところもあるようです。
理由は一つしかありません。自分の塾で多くの教科を受けてくれた方が、月謝が多くもらえるからです。
勿論自分の塾の指導に自信があって勧めることもあるかもしれません。
ですが通塾の手間もかかるのにわざわざ2つ以上の塾に通うということは、きっと元の塾がとても気に入っているのでしょう。
それを全て自分の塾に、と迫るのは本当に生徒のことを考えていると言えるでしょうか。
「英語はこっちの、数学はこの先生が気に入っている」そうであればできる限りかけもちの負担が減るように考えてあげたり、他塾での学習状況を把握し、適切な助言を与えたりする方が生徒の利益になると思いませんか?

うちなら「絶対成績が上がる・合格する」という

塾の説明会や体験授業などの後にこうした言葉を聞いたことはないでしょうか。
ですがはっきり言って塾での指導に「絶対」などありません。過大広告と言っても過言ではありません。
なぜなら実際に勉強するのは生徒本人であり、その塾の講師ではないからです。
人間ですから全てこちらの想定通りに進むわけではありません。まだ始まってもいない時点での確信など机上の空論でしかありません。
私も長い間塾講師をしていますが、合格するだろうと思った子が不合格になったり、反対に無理だと思っていた子が努力によって望外な結果を得るのを目にしたことが何度もあります。
そうした事実を考えれば、たかが数回その生徒を見ただけで「絶対」などという言葉を口にすることなど決してできない筈です。
本当に自信があって言っているのであれば、指導の現実が見えていないと言わざるを得ません。
またそもそもチラシや広告では優良誤認にあたるため、こうした言葉を使用することは禁じられています。
強い言葉で何も知らない保護者・生徒に誤認させるのは褒められた姿勢だとは言えませんよね。

学生のアルバイト講師である

これは本当に書くべきかどうか迷いました。
なぜなら世の中には学生のアルバイト講師でまわしている塾がたくさんあり、そうした塾に通われている方にいたずらに不安を与えてしまうからです。
今そうした塾に通われている方は、再度言いますがこの続きを読むことをお勧めしません。
ですが私が本当にお伝えしたいことはここからなのです。
私がこうした考えを持つ理由を2つお伝えします。

①知識が足りない
考えてみて下さい。徳島県内で塾のアルバイトをしている講師ということは、恐らく徳島大学か鳴門教育大学どちらかの学生でしょう。
それらの大学に今通っている学生は、自分の受験のときに入試で満点を取れたと思いますか?恐らくそうではないでしょう。
自分で満点が取れないのに、それプラスαの知識を求めることは無理があります。
「アルバイトをするにあたって一生懸命勉強したから大丈夫」これも“学生アルバイト”にとっては現実的ではないでしょう。
または「うちの塾は講師が医学部生だから知識は全く問題ない」そう言いますか?
一番上にあげた“無茶苦茶な指導”でうちの塾の生徒を混乱させたのは、まさに医学部生の教えるあなたの塾ですよ。

②経験が足りない
知識の不足を補うものは何か。長年指導した経験以外にはありません。
私自身この仕事を始めた当初は、恥ずかしながら知識不足であった感は否めません。
それが何年も続け、様々な問題を見て、勉強を続け、ようやく胸を張って「何でも聞いてくれ」と言えるようになりました。
「うちではしっかり研修をしているから大丈夫」本当ですか?
その数日から数か月の研修で、本当に今後出会う可能性のある全ての問題・全ての生徒の対応策を伝授できるのですか?

私は社会でどうみなされていようとも、塾講師という仕事は子どもの将来に直結する、非常に重要な仕事だと思っています。
にもかかわらず他の職業に比べ、圧倒的に学生アルバイトの多いのがこの仕事です。
なぜこうした人生に関わる仕事なのに、塾だけはアルバイトの学生に任せても大丈夫だという風潮があるのでしょうか。

レシピを見ながらでないと料理の作れない店で高いお金を出してご飯を食べたいと思いますか?
学生の大工だけで建てた家にそのあとの人生ずっと住みたいと思いますか?
研修を受けたからばっちりです、という医師に命がかかった手術をしてもらいたいと思いますか?

どこの塾だっていいんです。本当に正しい知識を持ち、正しい説明をし、本当に生徒のために指導をする。
そんな塾に皆さんが出会えることを心から祈っています。

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井上昇哉
専門家

井上昇哉(塾講師)

学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす

テストで点をとるための授業ではなく、自ら考え答えにたどり着く経験を重視した授業スタイルを確立。“「考える」を考える”ことを身につけることで、勉学、行動、思考すべてにおける人間的成長を促します。

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