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『「A高校で下位にいるよりB高校の上位にいる方がいい」って本当!?〈前編〉』

井上昇哉

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テーマ:高校受験

初めまして。与一の代表をしております井上と申します。
当コラムでは一般的にはあまり知られていないような中学・高校・大学や塾の内情を踏まえた
色々なお話ができればいいなと思っております。
筆不精なので不定期になりますがどうかご勘弁下さい。

さてタイトルの通り第一回目の今回は中学生が進路を決定するに当たって知っておいてほしい
「A高校で下位にいるよりB高校の上位にいる方がいい」というのは本当か、ということについて
です。

中学校での3者面談やご家庭での話し合いで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
例えばA高校のボーダー得点が350点、B高校のボーダー得点が300点、で本人の得点が350点
前後、というような状況においてよく出る話かと思います。

あくまで“私個人の考え”ではありますが、これは正直賛成しかねます。
「なんで?」と思う方もいらっしゃるかと思いますので,理由をいくつか説明致します。


1.授業で使用する教材に差がある
これは意外と知らない方が多いのですが、中学校のように“高校は普通科なら全て同じ教材を使用
する”訳ではありません。

例として数学の教材“チャート”を挙げましょう。
高校生のマストアイテム“チャート”ですが,これには同学年同内容でもレベルによって数種類の
ものがあり、(赤)>青>黄>白の順でレベル分けがなされています。
(実際には赤はほとんど使用されません)
現時点でも徳島県内の高校は青を使用する高校、黄を使用する高校に分かれます。

さて教材が異なるとどのようなことが起こるのでしょうか?
仮に青チャートが8まで,黄チャートが6までのレベルの問題を扱っているとします。
大学受験では,受ける大学が同じであればどの高校出身であろうとももちろん全員同じ問題
を与えられます。
青チャートを使って授業を受けてきた生徒と、黄チャートを使って授業を受けてきた生徒では、
どちらが有利か明白でしょう。
もちろん、普段から難しい問題に慣れている方が有利ですよね。
黄チャートを使って授業を受けてきた生徒は、レベル7程度の問題が出題されたときにかなり
苦労するでしょう。

“レベルに慣れていない”だけならまだなんとかなるかもしれません。
さらに英語を例に取れば,教材によっては載っているもの・載っていないものが異なります。
そのため英語の“チャート”では青と白ではなんとページ数が100ページ以上も差があります。
そうなると“授業で全く見たことのないものが出題される”事態さえ起こるのです。

このような事実が現実に存在するため、いくら“B高校で上位をキープ”するべく一生懸命授業を
聞いて理解していても,A高校に進んだ場合と比べ、知識量に差が付いてしまうことは決して
珍しいことではないのです。


長くなりましたので、次回後半に続きます。

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井上昇哉
専門家

井上昇哉(塾講師)

学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす

テストで点をとるための授業ではなく、自ら考え答えにたどり着く経験を重視した授業スタイルを確立。“「考える」を考える”ことを身につけることで、勉学、行動、思考すべてにおける人間的成長を促します。

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