遺言信託とは? 遺言信託を行ったほうがいい人
自分の遺産の分配をとりきめた遺言書の作成と、その保管および相続開始時の遺言執行のサービスがセットとなっている遺言信託。遺言信託のサービスを行う信託銀行に依頼する際、メリットとなるのは法的に有効な遺言を確実にのこし、保管も任せ、そしてその遺産の承継を信託銀行に託することで、遺産承継がスムーズに確実に行うことができることです。
今回は、信託銀行が持つメリット、デメリットを見ていきましょう。
遺言信託の現況
信託銀行の遺言信託の受託件数はここ数年、増加傾向にあります。その理由には、信託銀行が遺言信託を重要な顧客戦略と位置づけ、従来の限られた富裕層から、より広い層にターゲットを広げたこと、そして、遺言信託のニーズの高まりがあげられます。
自分の死後、遺族が相続で争うのが防げるのであれば、ある程度の費用は惜しまない、という一般の思想も影響しているようです。
また、遺言書の保管のみではなく、遺言書の作成・保管から遺言執行まで、セットで依頼する形が増えている点も特徴の一つです。
信託銀行を利用するメリット
信託銀行に遺言信託を依頼するメリットの最も大きなものは、自分の死後、信託銀行という信頼性の高い法人が遺族にかわって、遺言者の財産を、確実かつ円滑に、遺族の手をわずらわせずに承継ができることでしょう。
また、遺言信託は、依頼から執行まで10年、15年という長い時間が生じます。大きな組織である信託銀行には、たとえ何年後であっても、相続開始時に確実に遺言執行を行なってもらえるという安心感があり、この点も大きなメリットです。
信託銀行を利用するデメリット
遺言信託を信託銀行に依頼する際に考えられるデメリットは、費用が高額になることでしょう。
また、信託銀行は、相続時に起こった紛争解決には関与しません。万一そうした状況になった場合は別途、弁護士に依頼することになり、その費用がかかります。
相続税等の申告についても、別途、税理士に見てもらうことになりますし、相続の中でも大きな財産である不動産については司法書士が専門家です。
信託銀行の利用に際しては、メリットと共にデメリットもあることを考えておく必要があるでしょう。