漆喰壁と眺める瞳。
◆夏の避暑地
引渡し前の新居を
大工は見たことがない
なぜなら仕上がった
場所から
養生で隠し完成前には大工は去るから
見学会を
した時
大工が嫁さん連れて来た
嫁が完成形を
見みたいらしい
入るなり『あらま~』が
ランダムに聞える
暑すぎる夏
清々しい無垢の家で過ごす
わずかなひと時
出てきて
嫁
『あんたやっぱり
大工さんやったんやな』
大工
『・・・・』
照れた表情
あまり見たことのない笑顔
男は黙って
仕事をこなすのみ
実直で不器用なさまが
安心感をあたえてくれた
つづく。