【日本理化学工業(株)大山社長】講演会
社員の定着率を上げたり、仕事のパフォーマンス向上には、社員のモチベーションアップは欠かせない要素の1つかと思います。
このモチベーションについては、様々な切り口の考え方がありますが、今回は「動機付け」というポイントでご紹介させて頂きます。
社員のモチベーションを高めるための動機付けとして、以下の3つが挙げられます。
①罰則、懲罰
②評価、報償
③興味、やりがい、達成感
①は、最近だと昭和のやり方と言われるかもしれませんが、怒るというのか、叱るというのか、そういう仕打ちを受けないように頑張るというもので、スパルタ指導みたいなイメージでしょうか。
②は褒めたり、激励したりというものですが、ご褒美で釣るという言い方もできるかもしれません。
この①と②は真逆なようで、共通点があって、いずれも「外発的動機付け」と呼ばれるものになります。
その名の通り、外部からの動機づけによるもので、シンプルで即効性があるものですが、一方で、常に外部からの働きかけが必要とか、徐々に効果が薄れてくるとか、効果が長続きしないデメリットがあります。
例えば、②において、何か良い企画を出すと報奨金を支給するとした場合、それで頑張って企画を考えることもあるかと思いますが、一度報奨金を貰うと、次からは報奨金が出ないと企画を考えなくなったり、同じ報奨金の額では満足しなくなったりします。
良い企画を出すということに喜びを覚えるのではなく、報奨金を貰うということが目的になってしまうわけです。
①の動機づけにおいても、叱責する人が見ていないと、何もしないとかサボるとかいう事態に陥ることもあるかと思います。
これに対して、③は「内発的動機付け」と呼ばれるもので、仕事に対する興味や関心、それから、やりがいや達成感など、内面的な要因によって生まれる動機づけになります。
これは人に言われなくても、例えば、仕事が楽しくてそれ自体を目的に自ら行うもので、高い集中力をもって長続きするものと言われます。
ただ逆に、いかに仕事の喜びややりがいを各社員の内面に働きかけるか、この内発的動機付けを生み出すというのは難しいものでもあります。
朝礼や勉強会などを通じて、社員への経営理念の浸透を図ろうとするのも、この内発的動機付けを促す1つと言えるかもしれません。
こうしてみると、①②は、あまり好ましくなく、③が望ましい動機付けといった印象を持たれるかと思いますが、①②をきっかけに、仕事に取り組むうちに③が芽生えるというケースも多くあるようです。
特に、褒められたり激励されながら②の動機づけで始めたことをきっかけに、その仕事のやりがいや喜びを見出すケースは多いという調査結果もあるようです。
会社における評価制度や仕組みは、①や②の外発的動機付けに基づくものが多いかと思いますが、③の内発的動機付けを目指した取り組み、仕組みづくりを考えてみてはいかがでしょうか。