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賢い相続のポイント⑦【遺産分割の方法】

石原幹司郎

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テーマ:相続の専門家だけが知っている



【遺産分割協議の方法】

遺産分割とは

相続人が複数いる場合、遺産はいったん相続人の相続分に従って全員のもの(遺産共有)となります。そこで、遺産を構成する個々の財産を相続人のうち誰のものにするかなど、終局的な帰属を確定する手続きが必要になります。これを遺産分割といいます。遺産分割には遺言で分割の方法を定める「指定分割」と共同相続人の協議で行われる「協議分割」に大別されます。ここでは、協議分割の方法についてその進め方を概説します。

まず遺産分割の対象を確認する

遺産分割の対象となる財産とは、相続開始時に存在し、分割時にも存在する遺産を基準とします。そこで、遺産として何が残されているのか確認する必要があります。主に次の二つに分かれます。
①資産(積極財産)  土地・建物などの不動産、車・書画・骨董などの動産、現金、預貯金、株式などの有価証券等プラスの資産です。
②債務(消極財産)  借金、保証債務、損害賠償債務などマイナスの資産です。
これら二種類の遺産は、類型別に遺産目録として整理しておくのがわかりやすいかと思います。

遺産分割の方法を検討する

遺産の分け方は共同相続人全員の協議による合意があれば、自由に決めることができます。協議が成立しない場合家庭裁判所の調停、さらには審判によるということになります。法定相続分は、協議の一つの目安となることはありますが、絶対的な基準ではありません。相続人全員が納得すれば、一人だけに遺産を相続させることもかまわないのです。
遺産分割にはいくつかの方法が考えられます。
①現物分割・・個々の財産の形や性質を変えることなく、そのままの形で分割する方法です。あの土地は長男に、この絵画は二男に、というように分割します。土地を共有にすることも現物分割となります。
②代償分割・・一部の相続人が遺産を取得する代わりに、他の相続人に代償金を支払う方法により分割する方法をいいます。代償金の支払いが当面できない場合、将来の分割で支払うというような債務の負担方法をとることもできます。実務では被相続人名義の居宅に同居していた長男が相続する場合など、細分化が適当でない場合に代償分割がなされることが多くあります。
③換価分割・・遺産を売却等で換金し、金銭にして分配する方法です。現物分割が困難な場合や取得希望者がいない場合、あるいは現物分割しても代償金を支払うことができない場合などに、この方法をとることがあります。高額での売却が期待できて、手続きの進行も早いというメリットがあります。

遺産分割と税金の関係に注意

①代償分割の場合・・代償金を取得した相続人には、譲渡所得税は課されません。代償金はあくまで遺産分割の一方法であるため相続税の対象となるからです。相続財産が課税最低額以下の場合は、そもそも相続税がかかりませんので、代償金には何らの税金もかかりません。
②換価分割の場合・・各相続人が換価分割の対象財産をいったんは相続したうえで、他の相続人とともに第三者に売却したことになります。ゆえに、相続税だけでなく、譲渡所得税も課されます。特例として、相続税の申告期間後3年経過するまでの間に、相続税額の基礎となった課税価格の計算の基礎に算入された相続財産を譲渡した場合には、譲渡所得税の計算に当たり、相続税額相当額を取得費として算入することができます。したがって、上記の期間内における売却で譲渡所得税の節税をはかることができます。
(相続により取得した空き家の譲渡所得特別控除は→こちら

遺産分割協議の基準点

遺産の分け方は相続人間で自由に決められます。個々のケースによりけりであり、一律ではありません。民法では一切の事情を考慮してこれを決めるとしています。結局実情に即して協議してくださいといっているだけで、中身はありません。民法906条の基準や方法をあげるとすれば次のような点でしょう。
①被相続人の意思
②各相続人の法定相続分
③各相続人の年齢、職業、心身の状態、生活の状況

遺産分割協議書の作成

協議がまとまれば、後日の争いを避けるため遺産分割協議書を作成します。
協議書は、相続人全員で作成します。亡くなられた方の本籍・住所・氏名並びにいつ亡くなられたのかを記載して被相続人を特定します。また、相続する不動産や預貯金・現金などを表記しそれぞれの資産をどの相続人が取得するのかわるように書きます。最後に作成日を記載したうえで、相続人全員が署名・押印します。また、不動産登記や預貯金等の相続手続きには実印と印鑑証明書を要求されますので、遺産分割協議書には署名とともに必ず実印を押印しましょう。


ぜひ当事務所ホームページも、ご覧ください。
石原法務司法書士事務所
http://ishihara-souzoku.com/

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石原幹司郎(司法書士)

石原法務司法書士事務所

少子高齢化社会の相続問題に向き合うプロフェッショナル。空き家問題、任意売却、相続財産の管理・処分も手がける地域密着型の司法書士

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