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石原幹司郎

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石原幹司郎(いしはらかんしろう) / 司法書士

石原法務司法書士事務所

コラム

賢い相続のポイント④【特別受益】

2015年3月4日 公開 / 2020年10月19日更新

テーマ:相続の専門家だけが知っている

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き


【特別受益】

特別受益者の相続分

相続分は、通常は相続開始の時、すなわち被相続人が死亡した時に残った遺産をもとに算定します。しかし、共同相続人の中に被相続人から生前に特別の贈与を受け、または遺言によって遺贈を受けた者、いわゆる特別受益者がいるときは、不公平にならないよう、相続の前渡しを受けたものとして、その相続分を減らすことにしています。特別受益者の具体的相続分は次のとおり算出します。
(相続開始時の財産の価額+相続人が受けた贈与等の総額)×相続分-その者の受けた贈与等の価額

特別の贈与とは

特別の贈与とは「婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本として」の贈与に限られます。ただし結納金や挙式費用であっても、相続分の前渡しといえるほどの金額でない場合は特別受益にあたりません。「生計の資本としての贈与」とは広く生計の基礎となるような贈与であり、不動産やまとまった金銭をもらったときなどは当然含まれます。他の兄弟と違った高等教育のための学費は「生計の資本」に入ると解されています。これと異なり遺贈については、贈与のような性質の制限はなく、相続人に対するものであれば、常に特別受益となります。

贈与の評価

贈与の価格は原則として、相続開始時を標準として評価します。
不動産の場合・・・たとえば、かつて5,000万円で購入し贈与した建物の価額が、相続開始時3,000万円であるならば、これを3,000万円の贈与とみなし、類焼など本人の責任でなく消失していれば0円とみなされ、2,000万円の火災保険金を受け取っていれば2,000万円の贈与と評価されます。なお、本人の行為によって滅失している場合は、現状のままであるものとみなして評価します。
金銭の場合・・・金銭についても、贈与を受けた際の消費者物価指数に従い相続開始時の額に換算します。

生命保険と特別受益

保険金は保険契約によって生ずる受取人固有の請求権であるため遺産には含まれません。しかし生命保険は一般的に、被相続人が特定の身内のために、自分の死後の配慮をするものであって、相続法の精神と相通ずるものがあります。そしてケースによっては共同相続人間に不公平を生じます。また保険金の実質は、被相続人の払い込んだ保険料の対価として、相続財産の無償による生前の処分ととらえることもできます。はたして保険金を特別受益財産と類推して遺産に加算することができるのか争いがありました。最高裁では、平成16年10月29日の決定で、原則として特別受益にはあたらないが、特段の事情があるときは民法903条1項を類推適用することができるとしています。特段の事情とは保険金の額、保険金と遺産総額との比率、同居の有無、介護等の貢献度合い、その他生活実態等の諸般の事情を総合的に考慮して判断すべきとされています。

香典

香典は、死者への贈与ではなく、供養あるいは遺族に対する慰藉と葬儀費用の儀礼的分担の意味で贈られるものです。したがって香典は遺族または葬儀を主宰するものが取得すべきもので、相続財産には含まれません。

ぜひ当事務所ホームページも、ご覧ください。
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http://ishihara-souzoku.com/

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