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公的年金等控除額の改正と個人型確定拠出年金(iDeCo)(1/2)

内山瑛

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テーマ:税金

2018年度税制改正で、給与所得控除をはじめ公的年金等控除、基礎控除等が見直され、2020年1月1日から適用されることになりました。iDeCoを年金形式で受け取る場合、雑所得(公的年金等)に分類され公的年金等控除の対象となるため、本稿では税制改正とその影響について検討していきましょう。

■ 所得税控除の背景

 今回の改正では、働き方の多様性を踏まえ、政府の働き方改革を後押しする等の観点から、給与所得控除および公的年金等控除といった種類別控除から基礎控除への振替と、所得再分配機能強化の観点からの高所得者を対象とした控除縮減を行う事になりました。
 具体的には、給与所得控除と公的年金等控除の控除額が一律10万円引き下げられます。給与所得控除額については上限額も引き下げられました。公的年金等控除額についても控除額に上限額が設けられ、さらに、公的年金等以外の所得が多い者についての控除額も引き下げられました。
 一方、基礎控除については、控除額を10万円引き上げますが、高所得者については控除額を逓減・消失することになりました。

■ 給与収入がなく60歳からiDeCoを受給する場合

 iDeCoを年金形式で受給した場合、雑所得(公的年金等)に分類され公的年金等控除の対象となります。現行の公的年金等控除は納税者(受給者)の年齢と公的年金等の収入金額のみで控除額がきまり、上限はありません。
 今回の改正では、公的年金等控除額の一律10万円の引き下げに加え、公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合は、控除額に195.5万円の上限が設けられました。また、公的年金等以外の所得が1,000万円を超える場合は控除額をさらに10万円引き下げ、同様に2,000万円を超える者については控除額を20万円引き下げることとしました。
 給与所得がなく、公的年金等の収入金額、および公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が共に1,000万円以下の場合、公的年金等控除額は10万円引き下げられますが、基礎控除額が現行の38万円から48万円に引き上げられるため、課税所得は原則同じとなり、税負担は変わりません。

■ 給与所得があり60歳からiDeCoを受給する場合

 現行は、給与等の収入金額が1,000万円超の場合、給与所得控除額の上限額は220万円ですが、改正後は、給与等の収入金額は1,000万円超から850万円超に引き下げられ、上限額も220万円から195万円となりました。
 ただし、その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、特別障碍者に対応するもの、または年齢23歳未満の扶養親族に有する者、もしくは特別障碍者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有するものの総所得金額を計算する場合(いわゆる子育て・介護世帯)には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額が、給与所得の金額から控除されます。これを所得金額調整控除といい、新たに導入されます。
 また、給与収入が850万円以下で、公的年金等の収入金額が1,000万円以下の場合、給与所得控除額および公的年金等控除額がそれぞれ10万円引き下げられたため、引き下げ額の合計が20万円となり、基礎控除額が10万円引き上げられても、課税所得が10万円増加してしまうことになります。
 そこで、その年の給与所得控除後の給与等の金額および公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、給与所得控除後の給与等の金額および公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超える者の総所得金額を計算する場合には、給与所得控除後の給与の金額(10万円を限度)および公的年金等に係る雑所得の金額(10万円を限度)の合計額から10万円を控除した残額を、給与所得の金額から控除することとし、基礎控除の10万円の引き上げと合わせて、課税所得は変わらず増税とならないようにしました。これも改正の影響を受けないようにするために導入された所得金額調整控除です。

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