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スマートフォンアプリにより衣服や生活用品を販売した場合の所得課税(2/2)

内山瑛

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テーマ:税金

不要になった衣服や生活用品などを、誰でも簡単にインターネット上で販売できるスマートフォンアプリが急速に普及しました。単なる不用品の処分にとどまらず、副業としてこれを活用している人も多いと考えられます。より身近になったスマートフォンアプリの活用による衣服や生活用品などのインターネット上での販売について、どのように所得課税が行われるかを整理します。

ケース1 会社員が、自分が使用していた衣服やバッグが不要になったので、インターネット上で販売した。

自分が使用していた衣服や生活用品については、生活の用に供する資産で生活に通常必要な動産に該当します。また、1個または1組の価格が30万円超の貴金属、書画、骨とうおよび美術工芸品などを除いて、これらを譲渡したことによる所得は、非課税所得に該当します。
したがって、所得税の確定申告義務のない会社員であれば、その年分について所得税の確定申告は不要です。

ケース2 会社員が、販売目的で、インターネットオークションでブランド物のバッグを仕入れ、これらを継続的にインターネット上で販売した。

販売目的でバッグや財布を仕入れ、これらを継続的に販売したことによる所得は、事業所得または雑所得に該当します。一般に、会社員が副業程度に行っている場合は、雑所得に該当する場合が多いと考えられます。
したがって、所得税の確定申告義務のない会社員であっても、これらを販売したことによる事業所得または雑所得の金額が20万円を超える場合には、その年分について所得税の確定申告をしなければなりません(20万円以下の場合であっても、住民税の申告は必要です)。なお、雑所得に該当する場合、青色申告をすることが出来ないことに注意してください(ケース3も同様です)。

ケース3 専業主婦が、自分でアクセサリーなどの雑貨小物を製作し(いわゆるハンドメイド商品)、これらを営利を目的として継続的にインターネットで販売した。

販売することを目的に自分で作成したアクセサリーなどの雑貨小物は、「自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゅう器、衣服その他の資産で政令で定めるもの」ではないため、これらを譲渡したことによる所得は非課税所得に該当せず、これらを営利を目的として継続的に販売したことによる所得は、事業所得または雑所得に該当します。一般に、専業主婦が家計の足しにする程度に行っている場合は、雑所得に該当する場合が多いと考えられます。
したがって、無職で他に収入のない専業主婦であっても、これらを販売したことによる事業所得または雑所得の金額が、基礎控除などの所得控除の合計額を超え、所得税額が発生する場合には、その年分について所得税の確定申告をしなければなりません(配偶者控除や配偶者特別控除の対象となっている場合にも注意が必要)。

ケース4 会社員が、自分が使用していた金のネックレス(10年前に40万円で取得)が不要になったので、インターネット上で販売した(譲渡価格50万円)。

自分が使用していた金のネックレス(譲渡価格50万円)は、譲渡による所得が非課税所得となる生活に通常必要な動産から除かれます。また、たな卸資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡でもないため、この金のネックレスを譲渡したことによる所得は、譲渡所得(総合課税)に該当します。なお、譲渡所得の金額(所有期間が5年超のため長期譲渡所得)は、次のとおり計算されます(譲渡費用はないものとします)。

譲渡価格(50万円)-取得費(40万円)-特別控除額(10万円)=0円

したがって、所得税の確定申告義務のない会社員の場合、譲渡所得の金額が0円となるため、その年分について所得税の確定申告は不要です。
なお、譲渡所得の計算上、特別控除額は短期譲渡所得と長期譲渡所得の合計で50万円までであり、先に短期譲渡所得の譲渡益から控除します。また、譲渡益が50万円より少ない場合には譲渡益が特別控除額となるため、ケース4では譲渡益である10万円が特別控除額となります。

個人間取引への課税強化
いわゆるシェアリングエコノミーへの課税強化が政府税制調査会でも議論されています。今後、個人間取引についても、税務当局が課税上必要な情報を収集できるような制度的な対応がなされることも想定されます。税務上の取り扱いとともに今後の動向を注視しましょう。

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