子が大学入学時に受けた奨学金を親が一括返済した場合における課税関係
不要になった衣服や生活用品などを、誰でも簡単にインターネット上で販売できるスマートフォンアプリが急速に普及しました。単なる不用品の処分にとどまらず、副業としてこれを活用している人も多いと考えられます。より身近になったスマートフォンアプリの活用による衣服や生活用品などのインターネット上での販売について、どのように所得課税が行われるかを整理します。
■資産の譲渡による所得に対する課税
所得税法上、資産の譲渡による所得は、原則として、譲渡所得とされます。ただし、営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得は譲渡所得には含まれず、事業所得または雑所得とされます。
■資産の譲渡による所得で課税されないもの(非課税所得)
「自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゅう器、衣服その他の資産で法令で定めるものの譲渡による所得」については、非課税所得とされ、課税されません。なお、上記の「法令で定めるもの」は、生活に通常必要な動産のうち、1個または1組の価格が30万超の貴金属、書画、骨とうおよび美術工芸品など以外のものとされています。
■衣服や生活用品などのインターネット販売による所得に対する課税
一般に、個人が有する衣服や生活用品(販売を目的として有するものを除く)は、生活の用に供する資産で生活に通常必要な動産に該当し、これらを譲渡したことによる所得は、原則として、非課税所得に該当します。
したがって、個人が、不要になった衣服や生活用品を、スマートフォンアプリを活用してインターネット上で販売したことによる所得は、原則として、非課税所得に該当し、課税されません。
ただし、1個または1組の価格が30万超の貴金属、書画、骨とうおよび美術工芸品などは、譲渡による所得が非課税所得となる生活に通常必要な動産から除かれ、これらを譲渡したことによる所得は、事業所得または雑所得として課税される場合を除き、譲渡所得(総合課税)として課税されます。
一方、販売を目的として有する衣服や生活用品などを、継続的にインターネット上で販売したことによる所得は、事業所得または雑所得として課税されます。
■資産の譲渡による損失が生じた場合の税務上の取り扱い
譲渡所得(総合課税)の金額の計算上生じた損失の金額は、原則として、他の各種所得の金額から控除(損益通算)することが出来ます。しかしながら、その損失の金額のうち、生活に通常必要でない動産や1個または1組の価格が30万超の貴金属、書画、骨とうおよび美術工芸品などに係るものがあるときは、その損失は生じなかったものとみなされ、損益通算することは出来ません(総合課税の譲渡所得内で通算することは出来ます)。
事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することが出来ます。
雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することが出来ません(雑所得内で通算することは出来ます)。
資産の譲渡による所得が非課税所得である場合、資産の譲渡による損失が生じた場合であっても、損失はないものとみなされ、税務上は考慮されません。