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事業承継の検討順序・対策の進め方(1/2)

内山瑛

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テーマ:税金

■オーナー企業における事業承継の進め方
「事業承継」は大別すると、社長という地位の承継を含めた「経営承継」と「自社株承継の2つの承継から構成されますが、オーナー企業では次のような順序で検討し進めていくことが望ましいです。


■経営承継
① 承継すべき事業か
② 経営を承継すべき者は誰が望ましいか
■自社株承継
③ 自社株を承継すべき者は誰が望ましいか
■承継計画
④ 経営と自社株の継承計画の算定・実行

■経営継承
① 継承すべき事業であるか
「事業家であるあなたが、いまより30歳若返ったとしましょう。そして10億円のキャッシュが手に入ったとします。あなたがこのキャッシュを元手に何らかの事業を始めるとして、もう一度、今の事業を始めるでしょうか」という問いに対して「ぜひもう一度この事業をやりたい」と社長が思えるのであればこの事業は将来性があり、承継すべき事業であるといえます。

また、経常的に赤字となっている場合などは、承継する前に事業の再構築に取り組み、承継すべき事業にする、ということも必要です。

この場合、当然ですが、後継者と一緒に事業を立て直す、ということでも問題はありません。むしろ、後継者を見る周りの目が変わり、事業承継がスムーズに進むことも期待されます。重要なのは、後継者の覚悟です。

② 経営を承継すべき者はだれが望ましいか
企業を永続させるためには、経営を承継すべき者、いわゆる後継者を決定することが必要です。
次の「5つの資格」と「6つの資質」を備えている者が、後継者としてベストな人材であると言えます。
・「5つの資格」
 創始者と夢を共有できる・現場が大好き・無限責任を負う覚悟がある
 自社株を取得する覚悟がある・計数を学ぶ覚悟がある
・「6つの資質」
 素直である・謙虚である・目標に対して執着心をもつ
 プラス発想をもつ・研究熱心である・慎重である



自社株継承
③ 自社株を継承する者は誰が望ましいか
中堅中小企業においては、将来にわたり安定した経営を営むためにも、自社株を継承する者は経営を継承すべき者、いわゆる後継者と同じ者であることが望ましいと言えます。
後継者以外に容易に自社株を渡すことは、前回見てきたように、将来において問題が発生するかもしれない、というリスクが発生します。

承継計画
④ 経営と自社株の継承計画の策定、実行
経営については、後継者をどの時点で社長に就任させ、そして現社長が引退するのか、自社株については、どの時点で何株をどのような方法で後継者に継承するのか、ということを具体的に計画しておくことが必要です。
承継計画の策定は、当事者である社長と自社株も継承する後継者の双方が、迷いを断ち切って覚悟を決めるために必要です。
社長である父親と後継者であるご子息とが、計画策定を通じて会社に対する思いをそれぞれぶつけ合い、対話をし続け、その結果スムーズに継承を進めることが出来た、というケースがあります。
また、ご子息の年齢、経験年数を踏まえると、一時的には信頼できる役員の一人に経営の中継ぎをしてもらう必要がある、ということが計画策定を通じて明確になり、その準備を進めた結果、社長に明日、万が一のことがあったとしても、その役員に中継ぎをお願いできる状況が整い、結果としてリスクマネジメントをすることができた、というケースもあります。
逆に、承継計画委が策定されていないと、役割分担が明確になっていないため、社長とした退いたはずの父親が結果として院政を敷いてしまい、現場が後継者である社長と会長のどちらの指示に従えばよいのか、ということで混乱してしまうケースや、社長であった父親への多額の退職金支払いによって一時的に下がった自社株の評価額を自社株継承に活用できなかった、というケースもある。

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