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内山瑛

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内山瑛(うちやまあきら) / 公認会計士

内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所

コラム

土地譲渡契約の取消しに係る不動産取得税について

2018年7月9日 公開 / 2020年4月29日更新

テーマ:税金

コラムカテゴリ:ビジネス

【質問】
3月決算法人の同族会社(甲社)とその甲社所有建物の敷地を所有している甲社代表取締役会長は、その敷地の土地譲渡契約を平成29年1月に締結しました。その譲渡代金については、一部については現金にて支払い、残りは未払金として、土地の所有権移転を完了させ甲社の決算を行いました。
平成29年6月になって、譲渡人である会長から譲渡代金の返金を行うから譲渡契約の取消(契約解除)をしたいとの申出がありました。甲社は、会長の申出を受けいれて、土地の取得が無かったものとして処理を考えています。
この場合における不動産取得税の課税についてご教授下さい。

【回答】
不動産取得税は、流通税に属し、不動産の移転の事実自体に着目して課税されるものであって、不動産の取得者がその不動産を使用・収益・処分することにより得られるであろう利益に着目して課せられるものではありません。
 すなわち、不動産取得税は、不動産の取得に対し、当該不動産所在の道府県において、当該不動産の取得者に課することとされており、また、 不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格とされていますが、ここにいう「不動産の取得」とは、不動産の取得者が実質的に完全な内容の所有権を取得するか否かには関係なく、所有権移転の全ての形式を含むものと解されています。したがって、地方税法に規定する非課税に該当する以外の場合において、所有権の移転がある度に不動産取得税が課税されることになります。
そこで、ご質問の事実関係を見ますと、土地の譲渡契約を行い、代金を支払い(一部未払)、所有権移転を完了させ、決算を行ったとありますから、当該土地の取得があったとして不動産取得税は課税されることとなります。また、契約解除をして会長に戻された場合にも、所有権の移転があり、不動産の取得があったとみなされ、不動産取得税が課税されることになります。
なお、地方税法には、形式的な所有権の移転の場合として、相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)による不動産の取得や法人の合併などを非課税とする規定がありますが、いずれも限定列挙したものであるから、拡張解釈して非課税としないように留意することとされており、この点からも、ご質問のような場合について非課税とはならないものと考えます。

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