コラム
国内で作成した領収書の国外交付と印紙税
2018年3月6日 公開 / 2020年4月29日更新
【質問】
A国所在の取引先Bから送金を受けて、国内でその領収書(本件領収書)を作成し、本件領収書をA国に駐在している当社の社員に送付し、その社員がBに本件領収書を交付する場合、印紙税の納税義務が生ずることになるのか、お尋ねします。
【回答】
1.印紙税の納税義務について
印紙税法3条1項は、課税文書の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある旨規定しており、印紙税法は国内法であり、その適用地域は日本国内(本邦地域)に限られることから、課税文書の作成が本邦地域外(国外)で行われた場合には、印紙税の課税関係は生じない、すなわち、印紙税の納税義務は生じないことになります。
2.課税文書の「作成」について
上記にいう「作成」に意義については、「単なる課税文書の調製行為ではなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをい」(印紙税法基本通達第44条1項)い、例えば、金銭の受取書等、相手方に交付する目的で作成される課税文書については、当該課税文書の「交付の時」と解されております(印紙税法基本通達第44条2項)。
3.本件領収書について
本件領収書については、国内において調製されているものの、A国(国外)において、作成者の社員がBに交付し、そのときに所持が失われることから、国外において、本件領収書がその目的に従って行使されたと解するのが相当であり、したがって、本件領収書について印紙税の納税義務が生ずることにはならないと考えられます。
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