コラム
知っておきたい相続登記の基礎知識(1/2)
2017年4月6日 公開 / 2020年4月29日更新
不動産を所有していた者が亡くなり相続が開始した後、遺産分割協議が成立すれば、不動産を取得する者が確定します。ただし、何もしないまま放置すれば不都合が生じる場合も考えられる。今回は、不動産の所有者が亡くなった場合にその不動産の登記名義を被相続人から相続人へ名義変更を行う「相続登記」の意義や、登記におけるポイントを考察していきます。
★相続登記の意義
相続により不動産を取得し、「自分は所有者だ」と主張しても、それだけでは誰もが信用してくれるわけではありません。法律的には第三者に対して自分の権利を主張できることが重要である。これを「第三者に対抗できる」といい、その手段として不動産の場合、登記があります。しかし、登記には義務も期限もありません。そのため、後回しにしたり、登記をしないまま放置をされたりしてしまうケースも少なくありません。
相続登記をしないデメリットは非常に多くなります。何代にもわたり放置しているといたずらに相続人が増えることになり、手続きを複雑化させるだけでなく、相続人同士が揉める可能性も高まります。相続登記をする際に、増えた相続人全員の承諾が必要になる場合も多くあります。被相続人の名義のままでは、売却することも当該不動産を担保にした借り入れもできません。また、不動産が共有状態であるときに相続人の1人が借入をしていた場合には、債権者が自己の債権を保全するために、債務者(その相続人)に代わり相続を原因とする登記をすることもできます。さらに最悪の場合、遺産分割協議が成立しても、権利のない他の相続人が法定相続分どおりの登記申請をして自分の持ち分を第三者に売却し、その買主が先に登記してしまうことも考えられます。その場合でも、登記をしていない所有者は原則として自己の権利を第三者(この場合、買主)に対抗することはできません。
★相続登記の種類とポイント
登記は、登記権利者(登記によって利益を受ける者)と登記義務者(登記によって利益を失うもの)による協働申請が原則ですが、判決や相続による登記など、登記権利者が例外的に単独でできる場合もあります。相続登記の場合、登記権利者は不動産を取得した相続人であり、不動産を取得した相続人が複数いれば全員が申請人となります。しかし、遠方に住んでいる相続人がいるため全員で申請することが困難な場合や、相続登記を訂正する際に再度相続人全員の訂正印が必要となる手間を回避したい場合などは、委任状を作成し、相続人のうちの1人に登記を委任することもできます。
相続に関連する登記にはいろいろなケースがあるが、次回、それぞれのポイントを見ていきます。
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