自動車の売買契約書と印紙税の関係
熊本地震の被災地や被災者に対して、様々な形で復興支援が行われています。過去にも、義援金の取り扱いについて、取り上げたことはありますが、今回は、個人が義援金を支出した場合の税制上の措置について概観します。
1.寄附金控除(所得税)
各年ごとに、2,000円を超える「特定寄附金」を支出した場合、一定の要件の下で、所得控除の対象となります。所得税は、累進税率となっていますので、適用される税率の高い人のほうが、寄附金控除の適用による所得税の減少額が大きくなります。
匡・地方公共団体への寄附金、その義援金が最終的に匡や地方公共団体に拠出されることが明らかであるもの(日本赤十字社や各種募金団体を通じたものがあります)については、「特定寄附金」として寄附金控除の対象となります。
そのため、震災義援金を募る募金団体に支出した義援金であっても、「特定寄附金」に該当しない場合には、寄附金控除の対象となりません。
2.寄附金税額控除(住民税)
住民税所得割の納税義務者が、前年中に地方自治体や一定の団体に対して2,000円を超える寄附金を支出した場合、個人住民税の計算上、税額控除の対象となります。なお、地方自治体に対して寄附をした場合には、一定の要件の下、「ふるさと納税」として税額控除額が上乗せされます。
所得税法上の寄附金控除と同様に、募金団体に義援金を支出した場合でも、その義援金が最終的に被災地方公共団体または義援金配分委員会等に拠出されることが明らかであるものについては、「ふるさと納税」の対象となります。
3.義援金とワンストップ特例制度
確定申告義務のないサラリーマンなどが5以下の地方公共団体に対して「ふるさと納税」を行う場合、寄附時に寄付先の地方公共団体に申請書を提出することにより、確定申告を行わなくても、「ふるさと納税」の適用を受けられます。
この特例を適用した場合、所得税の確定申告(還付申告)をしないため、寄附金控除の適用が受けられません。そのため、所得税は減少しないのですが、寄附金控除を適用した場合の所得税の減少額に相当する額が、寄附金税額控除として、住民税から控除されます。
この結果、確定申告(還付申告)によって寄附金控除を行った場合と同等の税の減少効果が得られます。なお、募金団体を通じた義援金については、この特例制度の適用はありません。
4.ふるさと納税謝礼金と被災者が受け取った義援金に対する課税
個人が、ふるさと納税の謝礼品を受け取った場合、当該経済的利益は、一時所得として課税対象となります(50万円の特別控除枠あり)。
一方、被災者(個人)が地方公共団体から受け取った義援金は、所得税法上非課税となります。