コラム
役員だけの人間ドックは認められない
2016年11月17日 公開 / 2020年4月29日更新
今回は、税務調査でよくある指摘事項として、「人間ドック」をとりあげてみようと思います。人間ドックは、健康保険で受けた場合、法人にて支払いをする場合もあるので、一見問題なく経費にできるような気がしますが、落とし穴がありますので、注意してください。
社内的に人間ドック規程を準備し、その通りに処理をしていたとしても認められるとは限りません。
人間ドックを会社の費用で落とすには、まず全従業員が受診できることが条件になります。特定の者だけが認められる権利・行為は、その者に対する経済的利益(=給与)とする考え方があります。これを、「水平的公平性」といいます。もちろん、全従業員が受診できることが条件ですので、実際に本人の自由意志で受診しなくとも問題ありません。
もちろん、受診者にある一定の条件を課すこと自体は(公平性を逸脱しない範囲内であれば)認められています。例えば、「○月○日時点で雇用期間が1年を超える従業員を対象とする」とか、「○月○日時点で40歳以上の従業員を対象とする」などです。
一方、役員は5万円以内、従業員は3万円以内など、役員と従業員に差があったとして、その差が通常考えうる範囲内であれば認められます。これは、出張において役員だけがグリーン車・ビジネスクラスに乗っても経費となることと、解釈上は変わりありません。
繰り返しますが、「規程にあるから大丈夫」では税務上通らないこともありますので、ご注意ください。
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