自動車の売買契約書と印紙税の関係
工場や事務所の修繕工事などで、決算日をまたぐ場合があります。そのような場合に、経費にできる時期について迷うことがあります。どこまで、今期の決算で経費にできるのでしょうか。検討していきます。
例えば、4月末決算の法人で、事務所の修繕工事を4月末までに完了引渡しが出来るように、3月に建設会社と工事請負契約を締結したとしましょう。この修繕工事は、建物の経年劣化・毀損した部分を同程度の品質の物に交換する工事であり、工事内容は以下のように3つに区分されましたが、3つの工事を4月末までに同時に完了引渡し予定であったため、ひとつの工事請負契約書にまとめ、工事代金合計 2,000万円で契約を取り交わしました。
工事① 建物窓ガラス枠部分のゴム目地交換工事 500万円
工事② 建物外壁タイルの枠部分のゴム目地交換工事 700万円
工事③ 建物全体の防水加工の再塗装工事 800万円
しかし、工事遅延のため、4月末までに完了引渡しとなったのは工事①のみであり、工事②及び③は未完であったため、4月末までに建設会社からは工事①に係る工事代金の請求書が発行されていました。
このように、決算期末までに工事請負契約に係る工事内容の一部について完了引渡しがなされ、建設会社から当該部分に係る工事代金の請求があった場合には、当該請求に係る工事代金を修繕費として、当期の損金の額に算入して差し支えないでしょうか。
一般的に修繕費などの費用については、期末までに債務の確定していることが損金算入の要件とされていますので、単に修繕費の一部の代金を支払ったという事実のみでは、債務の確定としては捉えられず、一種の前払金的な性格を有するものと考えられますので、経費にすることはできません。
法人税法における損金は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算することとされており、損金をいつの事業年度に計上すべきかについては、企業会計上の発生主義及び費用収益対応の原則が妥当するものと解されています。また、販売費等の費用については、「債務確定基準」を採用することが明らかにされています。
この「債務確定基準」については、次のような要件のすべてに該当するものをいうとされています。
(1)当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2)当該事業年度終了の日までに原因となる事実が発生していること。
(3)当該事業年度終了の日までにその金額を算定することができること。
お尋ねの場合、修繕工事について、3つの工事内容の修繕をひとつの工事請負契約書にまとめたところで契約締結に至っているとのことですが、それぞれの工事ごとに工事内容が明確に区分され、それに伴う工事代金もそれぞれ工事ごとに決められていますので、その工事ごとに工事の進行状況などが把握でき当該工事 が終了していること及び当期末までに請求された工事代金が、終了した工事に係るに工事代金であることが確認できるような状況であれば、上記の「債務確定基準」にいう(1)債務成立、(2)具体的給付原因発生、(3)金額の合理的算定の各要件を充足しているものと認められますので、債務確定という観点から損金算入は可能と考えられます。したがって、お尋ねの工事①に係る修繕費相当額については、当期の損金の額に算入することができると考えられます。