子が大学入学時に受けた奨学金を親が一括返済した場合における課税関係
知人から得た情報を頼りに遠隔地にある病院で受診した場合、診療費のほか交通費と宿泊費を支出しすることになります。この交通費と宿泊費についても医療費控除の適用を受けることはできるのでしょうか。
医療費控除の対象となる医療費は、その対価が通常必要と認められるものであり、かつ、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされていますので、知人から得た情報などの風聞を頼りに遠隔地にある病院で受診するという場合、その選択はあくまでも自己の意思に基づくものであって、当該病院で受診せざるを得ないという必要性という点において相当の事由があるとまでは客観的に認められないということになり、そのために要した交通費については、医師等による診療等を受けるための通常必要な費用として捉えることはできず、医療費控除の対象とはされないことになるものと解されますので、付き添いの長男に係る交通費も同様に判断されることになるものと解されます。
遠方で医療費控除の対象となるのは、難病で、治療の実績があるのが当該医療機関のみであるといったような客観的な事情が求められます。
《解説》
医療費控除の対象となる医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち「通常必要であると認められるもの」としてをいい、それは、その病状等の状況に応じて「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」とされており、過去の判例では、「『医師等による診療等』を受けるために直接必要な費 用に限定されるべきである。」と判示しています。
そうしますと、医療費控除の適用対象とされる交通費とは、例えば、難病に罹患し、限られている病院の専門医による診療を受けるために支出した交通費、あるいは、かかりつけの医師からより高度な専門治療等の受診を勧められ、当該専門医に赴くための交通費を支出した場合など、その必要性について相当の事由があると認められるときに限って医療費控除の適用対象とされることになると解するのが相当と考えられています
したがって、ご質問のように、知人から得た情報などの風聞を頼りに遠隔地にある病院で受診するという場合、その選択はあくまでも自己の意思に基づくものであって、当該病院で受診せざるを得ないという必要性という点において相当の事由があるとまでは客観的に認められないということになり、そのために要した交通費については、医師等による診療等を受けるための通常必要な費用として捉えることはできず、医療費控除の対象とはされないことになります。
また、宿泊費については、病院等に支払う入院費や病院へ収容されるための費用とは異なりますので、医療費控除の対象とはなりません。