義援金に関する税務あれこれ
軽減税率の導入を間近に控え、改めて消費税の意義が問われてきています。そもそも、消費税が課税される意義は何なのでしょうか。何のために導入されたのか、その目的・趣旨(国税庁見解)をおさらいしてみようと思います。
1.税制全体の公平性の確保のために
国が、歳入確保のための税を考えるとき、何に対して課税するか、国民の経済活動の中でどの段階で課税するかが問題となります。いかなる税目もそれぞれの長所を有する反面、何らかの問題点を有することから、所得・消費・資産等に関する課税を適切に組み合わせることにより、税制全体として、その時代、その社会の要請に応えることのできるバランスのとれたものにしていくことが必要です。
戦後における日本の税制は、昭和25年のシャウプ勧告に基づいた所得税中心の税体系を根幹としてきましたが、その後数十年を経て、様々な歪みが目立ってきました。
これは、戦後の日本の経済・社会が、産業・就業構造の変容、所得水準の上昇・平準化、消費の多様化・サービス化・経済取引の国際化等著しく変化してきている状況下においても、税制については、基本的な見直しがされることなくきたため、経済・社会の実態に合わなくなってきたことが原因といわれています。
国民生活をめぐるこのような著しい環境の変化を背景として、税制に対する国民の関心は、税負担について、垂直的公平ばかりでなく、水平的公平を考える方向に向けられてきました。
また、税負担と勤労意欲に対する関心も深まってきました。
基本的には、豊かで安全な日本社会においては、誰もが享受している社会共通の便益を賄うための基礎的な負担は、国民ができる限り幅広く公平に分かち合うことが望ましいという考えも広まってきました。
このような国民の税に対する受け止め方の変化や所得課税、消費課税の特徴を踏まえ、昭和63年4月の税制調査会の「税制改革についての中間答申」においても「これからの税制を考えるにあたっては、消費を基準として広く薄く負担を求める間接税の役割について、より積極的に評価することが必要である」と指摘されました。
2.従来の個別間接税の問題点の根本的解決
消費税導入前の間接税は、特定の物品やサービスに課税する個別間接税制度が中心でした。しかし、この制度には次のような問題点がありました。
例えば、毛皮製品やゴルフ用品、水上スキー、普通の家具に対しては課税されていましたが、高級織物(毛織物、絹織物)、テニス用具、スキー、桐の家具、漆塗りの家具には課税されていませんでした。
所得水準が上昇し、国民の価値観や消費態様の多様化もあって、消費支出全体の中から課税すべき物品やサービスを客観的に選択し、特定することがもはや困難になってきました。また、経済のソフト化、サービス化が進展し、消費の面でもサービスへの支出の比重がかなり高まってきたにもかかわらず、こうした分野への直接の課税がほとんど行われておらず、物品とサービスの間の負担の不均衡という問題が生じていました。
さらに、世界の主要国をみても、個別間接税制度を採用していたのは日本だけであり、国際摩擦の一因となっていました。
3.高齢化社会への対応
今後、日本は、世界の主要国においても例をみない早さで人口の高齢化が進む見込みです。これに伴い、年金、医療、福祉のための財源が今後とも増加することは必至です。こえを主として「働き手」に頼っていたこれまでの税制では、今後予想される高齢化社会においては、働き手の税負担も限界に達し、納税者の重税感、不公平感が高まり、事業意欲や勤労意欲をも阻害することになりかねないことが懸念されています。
4.消費税導入の必要性
以上のようなことから、税制全体としての負担の公平を高めるうえで、間接税が果たすべき役割を十分に発揮させ、従来の個別間接税制度が直面している問題を根本的に解決するためには、従来の間接税制度を抜本的に改正し、消費全体に、広く、薄く、負担を求める消費税の創設が必要であると考えられました。
その結果、「消費税法」は昭和63年12月30日に施行され、平成元年4月1日から適用、施行されました。