自動車の売買契約書と印紙税の関係
若年層の生活難が社会問題となっている昨今、親が、子が借りた奨学金を肩代わりして返済するケースも多いようです。しかし、医学部や私立の理系学部などのように、学費が高額になってしまうケースもあり、その場合の課税関係が問題となります。
●事例
個人甲の子乙は、平成26年春にめでたく○○医科大学に入学し、その際納入した入学金等3,000万円については、その全てを申請していた△△奨学金を充てました。
しかし、乙は、奨学金の支払いが滞るようになり、その奨学金の返済については、親甲が一括返済することとしました。これは、教育費であるから、贈与税は非課税となるものと考えられますが、どうでしょうか。
●回答
相続税法8条に規定する債務免除等によるものとして贈与税の課税対象となるものと考えられます。
●解説
贈与税における非課税財産について規定する相続税法21条の3第1項2号においては、扶養義務者相互間(親や祖父母と子・孫など)において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要なものは、非課税財産であるとしています。
その場合における「教育費」とは何をいうかが問題となります。
そこで、相続税法基本通達においては、その21の3-4では、教育費の意義について、被扶養者の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいうものとし、更に、同通達21の3-5では、その取扱いとして、教育費として必要な都度直接これらの用に当てるために贈与により取得した財産としています。
なお、また、同通達21の3-6では、その「通常必要と認められるもの」は、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいうものとしているところです。
ところで、本件の奨学金については、返済義務が伴うものであり、その場合の債務者は当然のことながら、本件でいえば、子乙であることは間違いありません。
本件において、親甲が子乙が返済すべき奨学金を肩代わりして返済したことは、上記1の「教育費」つまり「教育費として必要な都度贈与により取得したもの」ではないことは明らかです。(必要な都度、という要件に抵触します)そうしますと、それは、相続税法8条に規定する「債務の引受け」に他ならないものということになります。
したがって、結論としては、子乙は親甲から奨学金返還債務の肩代わりを受け、それは、相続税法8条の規定により贈与により取得したものとみなされることとなり、贈与税が課されるものとなります。なお、この場合は、借入金の返済の肩代わりですから、「教育資金の一括贈与の非課税特例」の適用は受けられません。