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栗原憲二(くりはらけんじ) / 薬剤師

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薬剤師になる方法

2023年7月7日 公開 / 2023年7月9日更新

テーマ:富士市、薬剤師

コラムカテゴリ:スクール・習い事

富士市にて在宅医療に携わらせていただいている薬剤師の栗原です。
 
 今日は「薬剤師になる方法」について紹介したいと思いました。自分が薬剤師になりたいと思ってグーグルを調べる方もいらっしゃいますでしょうし、自分の子供を薬剤師にしたいと思っておられるご両親もおられることでしょう。

 そこで今日は、薬剤師になるためにはどうしたらいいか?ということについて私の経験を踏まえながら少し書きたいと思いました。

1)条件1 薬学部卒業

 薬剤師になるためには、今は「6年制」の薬学部を卒業しなければなりません(薬学部が4年制から6年生に移行してから10年以上経ちます)。最終的には薬剤師国家試験という名の国の試験に受からなければならないのですが、その受験要件に、薬学部卒業が義務付けられているからです。

 薬学部には国公立と私立がありますが、ここでは私立大学の薬学部を基準に解説していきたいと思います。

2)条件2 進級

 1年目は他学部と同じように一般教養(文学、一般法律、第3カ国語など)などの単位を習得する必要がありますが、2年目からは徐々に薬学の専門課程を学ぶことになります(ですが最近は、私立の薬学部では、国家試験の難易度が高くなったこともあり、1年目から専門課程につながる学びをさせるようになっています)。

 私立大学の薬学部の場合、薬学部の偏差値の違いもありますが、学年が上がるごとに留年生が出てくることになります。ここで、いわば薬剤師になるための「適性」が問われることになるのです。

 大学の偏差値にもよりますが、大体2〜3割程度の学生が、薬剤師になるまでに留年や浪人生活を過ごすことになります。

 国公立の薬学部では、通常の学部同様、定期テストで落ちると留年になるわけですが、私立の薬学部だと、ある一定数の単位を落とすと、3年生から4年生に上がるときに篩(ふるい)にかけられることが多いです。

3)条件3 CBT 試験とオスキー試験

 4年生から5年生になるときには、CBT試験と呼ばれる、薬剤師としての基礎的な知識を問うテストと、実務実習に出るための実務的なテストであるオスキー試験を受ける必要があります。
 CBT試験のレベルは、国家試験の「必須問題」レベルです。大学附属のパソコンルームで、演習問題を繰り返し解いていくことで点数を上げていくことができます。
 オスキー試験は、実際の薬局内の作業能力を計測するための試験です。例えば粉剤を、処方箋通りに計量して取ること、注射筒を用いてアンプルから薬剤を取り混合したりする作業です。実技的なことについては手の器用さなども多少は影響してくると言えますが、むしろ基本的な作業の知識を持っているかどうかがポイントになっています。

 これらのテストを通して、実務自習に出る能力的があるかどうかが見られていると言えます。

4)条件4 研究室のお手伝いと卒業論文

 CBT試験もオスキー試験も受かると、5年生となり、卒業後、そして薬剤師になった後を視野に知識習得と訓練を受けることになります。

 前述の通り、薬剤師になるためにはそもそも薬学部を卒業しなければなりません。そして「薬学部」には、お薬とその周辺を研究している先生方がおられるので、その下で「訓練」を受けることになります。

 実験のお手伝い、論文発表など、この点で苦労する学生が多いです。国家試験受験前に、これでめげてしまう薬学生も一定数います。でもこれは、薬剤師になる上でとても大切な訓練です。なぜなら薬剤師は「化学者」としての側面を多分に持っているからです。研究室に所属し、各分野で名の知られている先生方の下で訓練を受けることは、実のところ一生の財産とも言える経験といえます。

 薬学部を卒業するためには「卒業論文」を書く必要がありますが、研究室に所属し研究のお手伝いをすることで、この卒業論文は纏っていくわけです。それらは、学問的には指導教官の先生方の「最先端研究」に関わる作業で、とても貴重な経験といえます。

5)条件5 卒業単位充足

 卒業論文がまとまる6年生の夏となると、本腰を入れて国家試験に向けての準備を進めていくことになりますが、実際のところ私立の薬学部の場合、この「国家試験に向けての準備」と、学部卒業のために必要な単位の習得が結び付けられています。先生方も知恵を絞って、「どうすれば国家試験に受かる学力を学生たちが習得することができるのか」を考えてカリキュラム、テスト内容を組むため、これは学生にとっても、とても辛抱のいる取り組みになります。
 薬学部の場合、取らなくても良い選択科目も勿論ありますが、卒業のためによほど余裕があり、単位獲得の見込みがある生徒以外は「取れる単位は可能な限り取っていく」という姿勢が必要になります。

6)条件6 予備校による模擬試験

 卒業に向けての単位習得の取り組みと並行して、薬剤師国家試験のための予備校が準備する「模擬テスト」を、本番までに一般的には5回以上受けることになります。薬剤師国家試験は、基本的には基準値に達すれば合格する試験ですが、年毎に難易度に変動があることもあり、毎年8000人から1万人の薬剤師に合格証が与えられる傾向が顕著にありますから、全国順位の出る模擬試験はとても大切なテストです。
 実際、予備校の模擬テストで実力を測りつつ、自分に足りない点を補っていく手続きを踏んでいくことで本番の合格点が見えてくる様になります。
 各大学は、過去データに照らしてこの時期のこの模擬テストで何点取れば合格といったデータを持っているため、そのデータと睨めっこしつつ、受験生は自分の足りないところと向かい合うことになるわけです。知的にも体力的にもしんどい時期を迎えることなります。

7)条件7 卒業試験

 6年生も新しい年を迎えると、「卒業試験」を迎えますが、多くの私立大学では、それまでに段階的な試験を設け、年を迎える前に卒業を決めている生徒も少なからずいます。そして卒業資格を得ることが出来れば、毎年春に行われる国家試験を受けることになります。

 卒業試験をパスすることができなかった場合は?その場合、卒業が半年以上遅れることになります。一つ下の学年生と一緒に勉強したりして、必要な単位をクリアすれば卒業が決まることになります。

8)条件8 国家試験

 そして国家試験です。2日間にわたって行われるハードな試験です。最終的には1回で合格する現役生は7〜8割浪人生を入れると6割の学生がこの試験に合格することになります。

 こう考えると、「薬剤師になるって大変だな」と思われるかもしれません。でも、私が経験的に言うと、その学生の基本的な学習能力というよりも、本人の気持ちが第一という気がします。成績の良い生徒が、高校生までの成績で、必ずしもいい点数を取っていたわけではない場合が少なくないからです。

 日本における薬剤師の人口比率は1,000人に1人。「専門職」と言って良いレベルだと思います。特に静岡県には私立の薬学部がないこともあり、全国的にもトップレベルに薬剤師不足地域です。やりがいのあるお仕事と思います。私どもと一緒に仕事をしませんか??
 

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