わたしたちの薬学管理と在宅訪問活動報告
こんにちは。ふじやま薬局の栗原です。
在宅の仕事で色々なご家庭に足を運んでおりますと、コミュニケーションの大切さということをよく思い知らされます。それだけでなく、相手の立場を理解し、適切に対処していくということの重要さを痛感させられます。
当たり前のこととはいえ、いつもその当たり前のことに向かい合うことの大切さを思い知らされています。
第二次ベビーブーマーの悲哀
私は第二次ベビーブームの世代ですので同級生も多かったのですが、その友人関係も、なにか相手側に対して優位に立たなければならないといった必要に迫られていたような気がします。人より優れたものがなければ集団に埋もれてしまう・・。自分の能力を主張するために、時には人を押し除けてでも自分を前面に出していかないといけない・・。
以前、同世代のキャリアカウンセラーの先生とお話しした時も、この点について共感していただけました。
人のことを理解したり思い遣ったりする前に、まずは自分・・。私は正直、そういう世代に育ったのです。ですから、人に迷惑をかけないとか、人にまずは譲るといった礼節では、正直、今の若い人たちに到底及びません。
・・もちろんそんな自分に甘えているわけにはいきません。学び続けることが大事だと肝に命じています。
構造を読み解く??
先日、帯にあった「他者への理解・共感力が同時に鍛えられる」という言葉が気になり、『構造を読み解く力』という本を購入してみました。昔の小学校の国語の学習で知られていた「構造学習」という手法に、あらためて現代的な価値を見出そうという本でした。言葉、文章の背後にあるテーマの階層を見定めて全体像を浮かび上がらせるような視点の紹介、と言ってもいいかと思います。
相手を理解し、信頼を得る
どうしてこの本を興味深く読んだのかと言いますと、まさに患者様との会話で自分の考えていることのプロセスにとても近いと感じたからです。
薬剤師が患者様と会話するのはお薬の話だけではありません。何気ない世間話をする中で相手のことを理解するからこそ、信頼していただいて、服薬指導を受け入れていただけるといったことは珍しいことではありません。上部だけで聞いていただくのではなく、こちらからの指導に信頼を得て受け入れていただくこと。両者は似て非なるものです。
そのためにはまずは相手を理解するための筋道が必要になります。
人の考えは複雑だけど、言葉を手がかりにする
ところが人の考えにはいろんな要因が絡みます。経済的な関心、健康への行き過ぎた自信、またそもそもが薬に対する考え方など・・。それらを紐解いていくことは、考えてみればそう容易なことではないはずです。
でも、少なくとも言葉として現れた情報には、全部ではないにしても、それらの複雑な因子が言葉として表現されているわけです。そこに着目しない手はありません。
そこで患者様ならびにご家族の言葉の全体像を把握して、理解し、患者様にアプローチしていく上で、この「構造学習」という手法はとても有効なのではないかと感じたのです。
患者様を多面的に理解する
著者によりますと、国語学習の手法の一つである「構造学習法」は、時間の中で一度立ち止まって、言葉として全体の構造を浮かび上がらせる手法だとされます。どのように全体を浮かび上がらせるかは、視点の立ち方によって異なってくるとのことです。別に一つの正解でなくていい、と。
患者様との会話の中で得られた情報も、こちらが聞き取りたいこと、関心のあることによって、要するにある部分は取捨され、ある部分がピックアップされているわけです。でも別な関心に立てば、それまで意味をなさなかった患者様の言葉が意味を持つようになります。「構造学習法」による言葉の理解は、患者様をより多面的に理解し、必要な時に必要な情報を思い出すための手法として有効なのではないかと感じたのです。
患者様との信頼関係の構築を目指す
患者様の頭の中に入り込んで考え方、感じ方を理解する、なんてのは夢物語でしかないでしょうが、少しでも患者様とのより確かな信頼関係の構築に繋がるなら、これからも、なんでも貪欲に吸収していきたいと考えています。
在宅医療、疾病を抱えられたご家族様の今後のことなどについて、ご不安なことがありましたら一度お問い合わせください。誠実に対応させていただきたいと思います。