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新型うつのセミナーの要点

安達嘉信

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 11月27日に広島大学で心理臨床セミナーがありました。セミナー講師として、筑波大学大学院人間総合科学研究科の松崎一葉教授が講演されました。松崎先生は、スペースシャトルの日本人パイロットの養成や選考委員もされています。講演の内容の一部をまとめてみます。
 
 テーマは『新型うつ』への対応です。『新型うつ』という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。最近では、島根の書店でも並んでいますし、先日はNHKのテレビ番組でも取り上げられていたので、知っている方もいるでしょう。
 
 従来型のうつは、自罰的なタイプで、まじめで几帳面、責任感が強い人がなりやすく、発病すると大好きな趣味にも興味を示さなくなってしまいます。一方、新型のうつは、他罰的なタイプで、自己愛が強く根拠のない自信をもっていて、仕事で失敗をしても反省をせず「自分が失敗したのは、能力のない上司のせいだ」と考えてしまいます。また、不満を言いながらでも日常生活は送ることができ、趣味や宴会なども楽しんで参加します。
 
 従来型うつと新型うつには、以上のような違いがあります。新型うつとわかるまでは、周囲の人は「攻撃的でわがままな人」と捉えてしまいます。この「新型うつ」については、統一した呼び名が決まっておらず、松崎先生は新型うつではなく『未熟型うつ』と名前をつけられています。
 「未熟型うつ」の背景には、子どもの時期に年上や年下の友達との間に関係を築けなかったため、人格が未熟なまま大人になったと指摘されていました。また、最近では「俺は新型のうつになった」と流行に敏感だというように考えてしまう若者もいることから、あえて新型とは言わないとコメントされました。
 
 このため新型うつと診断されると、「自分は新型うつという病気だ」と病気であることを主張し、「病気になったのは上司と会社のせいだ」と操作性をもって責任を追及してきたりします。
 新型うつの人への接し方の一つは、相手は人格が未熟なままなので、親代わりの意識をもって「一緒にがんばろう」と接してあげるとよいということです。


 講演では、チリの落盤事故の時、生存者へどのようなメッセージを送ったかなど、カウンセラーとしてとても参考になる事例も聞くことができました。今回の内容は、私の講演会の時にでもお伝えしていこうと思います。

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