地域の気候風土にも配慮した住まいに整え、使い勝手がよく快適な住空間を（2/3）

滋賀で住まいを守るために必要な仕様についても細やかに提案

　子どもの頃から手を動かすのが好きで、ものづくりが得意だったという池戸さん。小学生のときに自宅の建て替えを目にし、一から組み上げる建築の奥深さに感銘を受けます。

　大学の建築学科に進み、卒業後はゼネコンに就職。マンションや工場といった大規模な企画に携わります。もっと知見を広げたいとリフォーム会社へ転職。思い入れのある建物はそのままに、設計の力で内部の使い勝手を向上させるなど、手を加えて可能性を引き出すことに魅了されます。

　「大変やりがいがありましたが、キャリアアップするにつれて業績会議や社員教育、資料作りなど、対お客さまでない業務が増えていくことに寂しさを覚えました。工事に立ち会いたくても忙しさでかなわず、歯がゆさがありました」

　池戸さんは顧客一人一人に向き合いたいとの一心で、2020年に独立。コロナ禍の厳しい時期でしたが、迷いはなかったと言います。
　「故郷である東近江市に根を下ろし、手の届く範囲でお客さまの住まいを守る今のスタイルは、理想の働き方ですね」

　滋賀県は琵琶湖を持ち自然が豊かですが、湿潤な土地柄でもあります。近年は豪雨や台風が激しさを増し、昔の雨じまいのままで雨漏りするケースも少なくないそうです。
　「『捨て水切り』といって壁際の屋根瓦の下に板金の雨受けを設け、水を漏らさない仕様や、床下の湿気対策、防蟻処理、断熱は必ず提案しています。この地に長く住んでいるからこそ、何が必要か身をもって知っているので、見えない部分にも配慮しています」

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