発達障害者と一緒に働くことで見えてくるもの
昨年、ひだち教室の生徒(大学生のA君)による講演会を開催しました。
生徒は紆余曲折な人生を送っていますが、良い時期の話を聞くと、実に参考になりました。合理的配慮、指導方法を考えることも大切ですが、むしろ先生の関わり方次第で学校生活が大きく左右される、そんな話でした。
発達障害の知識がなくても最高の先生
先生の理解が乏しく、最悪の小学校生活を歩んでいたA君でしたが、高学年に上がると最高の学校生活を送れるようになりました。
クラス全体の雰囲気が良かったという点はありますが、それ以上に先生が大当たりでした。
A君が変わった行動や言動をしても、否定することなく受け止めてくれ、些細なことでも、とにかく褒めてくれた先生でした。
それまでの先生達からはダメ出しばかりを受けてきため、A君は相当衝撃を受け、感動を覚えたそうです。
その時はまだ診断はおりておらず、発達障害も現在みたいにそれほど認知されていない時代。
勿論先生はそういった知識もなかったそうですが、A君が最高の学校生活を送れたのは先生の人間性と言えるでしょう。
褒めると感性
ASDのある子供と長年関わってると、突拍子もない発想、行動、言動、遊びが多いと感じます。
そういった事は、幼児期は面白い子供と周りに受け入れらますが、成長するにつれて受け入れて貰えなくなります。
先生という職業の人は、子供の将来を考えて、なんとかそういった奇怪な行動等を直してあげようという考えになりがちです。
それが間違いとは言いませんが、全てを直そうとすると子供の個性を否定することに繋がります。
否定されたと感じた生徒は、落ち込んだり強い反抗心が生まれ、良くない方向へと向かいます。実際A君は否定した先生(小学4年の担任)に対しては、反抗的な態度をとっていました。
発達障害がだいぶ認知されてきている現代においても、否定する先生(本人は無自覚)の話は未だに保護者から聞きます。
しかし、昔も今も素晴らしい先生は存在します。
共通するのは、「よく褒める」「子供の言動・行動が面白いと感じる」先生です。
発達障害の知識があるのにこしたことはありませんが、この2つの要素を持ち合わせた先生と出会ったら、発達障害のある子供は非常に楽で、楽しい学校生活を送れます。
褒めるのは意識次第で出来ますが、面白いと感じるのは感性の部分であり、一朝一夕では身につきません。だからもし先生に求められるなら、まずは子供と一緒に思い切り楽しんで欲しいです。その子の良さが深まり、面白さを理解し、そして子供ウケの良い感性が磨かれるでしょう。
A君が高学年の時の担任は、その両方を持ち合わせていたので本当にラッキーでした。
講演会の最後に言っていました、「この先生に出会ったから、今の自分がある」と・・・。