冬の肌トラブル対策
アトピー性皮膚炎の患者さんの体質は?
現代の難病と言われるアトピー性皮膚炎で多くの方が夜も眠れないほど苦しんでいます。日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎の定義・診断基準」によると「アトピー性皮膚炎は増悪、寛解を繰り返す掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因をもつ」とあります。
わかりやすく言うと「アトピー性皮膚炎とは、よくなったり、悪くなったりを繰り返しながら、慢性に経過し、身体のあちこちに痒みを伴った湿疹が出る病気」です。日本人の3人に1人はアトピー性皮膚炎にかかりやすい体質を持っています。この体質は、遺伝によるものなので、家族は同じ遺伝因子を持つことになります。アトピー性皮膚炎は、環境・遺伝・食べ物・体質・自律神経のアンバランスなどが複雑にからみあって作られた病気と言えるでしょう。しかし、まだ原因はよくわかっていません。
その中でもアトピー性皮膚炎の患者さんの多くは、免疫異常を起こしやすい体質を持っています。免疫異常とはある物質に対して、免疫細胞が反応して、敵ではないのに身体が「敵だ!」と感知して免疫過剰の症状が出ることです。
花粉症をあげましょう。花粉症でない人なら何も感じない花粉を花粉症の人は免疫細胞が「敵だ!」とキャッチして、くしゃみや大量の鼻水で追い出そうとするのです。あのくしゃみのスピードは時速300km、なんと新幹線と同じくらいの速度です。いかに身体があの花粉をものすごい敵だと認識しているかわかります。
アトピー性皮膚炎の患者さんの親には花粉症の方が多くみられます。やはりアレルギー体質が遺伝するということがわかります。アトピー性皮膚炎の人は、原因となるものに対して免疫過剰反応を起こし、皮膚炎が悪化するのです。
中医学の考えでいう「熱」を持っていませんか?
身体にこもった熱が血を熱くし、身体の表面にまで熱症状が出て赤くなることを「熱」と言います。免疫過剰の反応のひとつは、中医学の考えでいうと「熱」に関係があります。その「熱」の原因になるものについては前回お話ししました。
中医皮膚科でいう「熱」とは主に血の熱「血熱」や汚い水がたまった「湿熱」などがあります。風邪をひいて微熱なら熱っぽいだけで顔は一般的には赤くならないですね。しかし40度の高熱なら顔は真っ赤になります。アトピー性皮膚炎で皮膚が赤いということはいかに身体の中に「血熱」がこもっているかお分かりになるでしょう。
漢方薬は内科などで処方される薬に比べてたくさんの量を飲まないと効果が出にくいものです。よくなってきて、赤みが治まってきたら量を減らし、徐々に体質改善の処方に変えていくと肌は潤い艶やかで美しくなります。みなさん、どの方もとてもきれいになり、オーラが出てくるのでびっくりさせられます。それがアトピー漢方相談の一番の喜びです。
「熱」のこもった人によい薬膳スイーツはいかがですか? ~ いいことづくめのココナッツミルク入り緑豆ぜんざい ~
<材料>
ココナツミルク 135g
緑豆 200g
キビ砂糖 90~100g
山楂子 5本程
(山楂子を入れる場合は甘さがあるので、砂糖の量を減らしてください)
①緑豆は良く洗い、たっぷりの水で一度沸騰させます。
②①を煮こぼし、新たに水を入れ、緑豆が踊らないくらいの火加減でアクをとりながら煮ます。
③柔らかくなったら、弱火にして、水分を減らし、ココナツミルク、キビ砂糖、刻んだ山楂子を入れ、煮溶かします。
緑豆はミネラル豊富。デトックス作用で、身体の熱を取り、炎症と痒みをやわらげます。
韓国で初めての医女になった『チャングム』のテレビドラマで、毒を飲まされたチャングムのお母さんが、仲間の女官に緑豆を煎じた汁で解毒してもらい助けられた場面がありました。むくみ対策にも。