被害者は証拠のひとつ!?犯罪被害者に対する考え方
正しい選択はどっち!?
わが子が突然犯罪者に…。その前に、犯罪者になるように育てましたか?
詐欺グループの手口は、言葉やシチェーションに変化があっても、疑わしい現実を題材にしていることに変わりはありません。そして、変化する言葉やシチェーションに合わせた防止策は、場当たり的と言っても過言ではないのです。疑わしい現実を信じるのか、確かめるのか。言葉やシチェーションを鵜呑みにするのか、疑うのか。
被害拡大と根絶を願う私たちは、原点に立ち戻る必要があります。
被害者の殆どが、人生経験豊富な高齢者
年々増え続ける振り込め詐欺の被害額は、2015年(平成26年)の統計で559億4354万円にまで跳ね上がっています。また、金融機関などによる声かけで阻止した額が約296億円です。つまり、855億円分の被害が想定できることになり、早急に防止策を検討する必要があります。
振り込め詐欺の形態は、「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「還付金等詐欺」の4つに分類され、最も被害件数が多いのはオレオレ詐欺、次いで還付金等詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺の順で続きます。そして見逃せないのが、オレオレ詐欺と還付金等詐欺の被害者は、65歳以上の高齢者(共に90%以上)であることです。
詐欺事件は古くからあり、親切心を利用した「寸借詐欺」「募金詐欺」「義援金詐欺」、インターネットを利用した「オークション詐欺」「ワンクリック詐欺」「架空請求詐欺」などが挙げられます。この他にも社会問題に発展した「リフォーム詐欺」や「前金詐欺」など、詐欺は身近な犯罪です。しかし、身近な筈の犯罪に、経験豊富な高齢者がターゲットになり、巨額の被害が発生しています。つまり、詐欺グループは、人生経験が役に立たない手口を用いている。いいえ、豊富な人生経験を利用した手口です。
振り込め詐欺の実態と防止策
詐欺グループの手口は、心配(不安)や欲を掻き立てて思考を鈍らせ、解決策を提示したり当事者を登場させるなどで信用させます。次に、今日中に…など時間の制約を付けることで慌てさせ、相談する時間を与えず金銭を搾取します。近年では、金銭の受け渡し方法に変化が見られます。
振り込め詐欺は、その名の通り金融機関の口座へ振り込ませる手口が主流でした。しかし、ATM付近で携帯電話が利用できなくなったり、声かけなどの効果で阻止されるケースが増え、手渡しや宅配便などを利用する受け取り方に変化しました。また、思い込みからこの変化で一層の被害拡大を招いたとも言えます。
人は、歳を重ねるたびに経験が増え、気づくことも多くなっていきます。そして、コミュニケーションの低下で不安が増していきます。被害に遭われた高齢者の殆どが、夫婦もしくは単身の高齢者世帯であることも報告されています。詐欺グループの手口は、不安な高齢者をターゲットに、豊富な経験を逆手に取った巧妙かつ卑劣な手口です。防止策としては、不安を和らげる程度のコミュニケーション増加と共通の話題を作ることが大切です。
突然の子や孫の「たすけて」という電話も、日常の不安が和らいでいれば、ゆとりが生まれます。また、コミュニケーションの増加で得られた情報は、疑わしい現実を減らして、言葉やシチュエーションに違和感を覚えます。
また、金融機関職員などの声かけによる阻止率も増加の一途です。私たちは、振り込め詐欺を個人や家族の問題とせず、社会全体で取組む犯罪と考えるべきです。