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壁画は公害にもなる!!!

奥村昇

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テーマ:壁画

壁画の動機と結果のギャップ


壁画を描く動機はいろいろあります。
・自分が楽しみたいから
・壁が殺風景だから
・目立たせたいから
・街が閑散として活気がないから
・景観のイメージが悪いから
・楽しい空間にしたいから
・人をあっと驚かせたいから
・人を元気づけたいから 
等々。

大抵は、現状に不満があり、それを改善したいという思いから出発しています。
つまり、よかれと思ってやっているのがほとんどです。
ところが結果として、残念な結果になっているケースがあちこちで見られます。
・街の風情が失われた。
・かえって美観が損なわれた。
・見る人に不快感を与えるようになった。
・恐怖の名所になってしまった。
現状の改善どころか逆効果になってしまったということです。

ギャップの2つの原因


大きくは2つの原因が考えられます。
ひとつは、最初の動機とめざした方向(ゴール)に整合性なかったということ。
もうひとつは、当初の想定外のトラブルが発生したこと。

前者は、壁画を発案した人(依頼者)と壁画をデザイン・制作する人の双方が、情報を 共有できていなかったことが考えられます。
つまり、依頼者が制作者に丸投げしてしまい、目標(着地点)がずれてしまった。
しかも、最後まで軌道修正されなかったというケースです。

この場合、動機となった現状の問題点と課題を明確にし、解決につながる方向性(コンセプトやデザイン)を関係者全員が共有して協働していくことが重要です。

一方後者は、制作当事者が周囲や将来への配慮を怠って、独走してしまったケースです。
壁画のテーマや表現法にばかり気を取られて、完成した壁画がまわりにどんな影響を与える可能性があるかについて、考えが及ばなかったことが原因です。
主観(固定観念、思い込み、専門バカ)だけにとらわれずに、まわりの声に耳を傾けたり、いろんなな視点から俯瞰してみることが重要です。

私自身、30年前に壁画制作会社を立ち上げた当初は何度か失敗を繰り返しました。
元々、壁画で街を面白くしたい、元気にしたいと思ってスタートしたのに、自分の携わった壁画が人に迷惑をかける結果になったことに気づき、自分の仕事を継続することに疑問を感じ悩んだこともあります。
問題となった壁画は、試行錯誤しながら自腹でやり直しました。
結果がプラスに転じ、地域の人に感謝されることになったり、マスコミでも取材されるようになり、以後私の大きな自信につながりました。
また、壁画制作に対する独自のポリシーも持てるようになりました。

壁画の準備段階で必ずやっておきたいこと


私は、壁画の企画段階で、必ずやっていることがあります。
その1 壁画で解決すべき問題と課題を明確にする。
その2 問題解決のためのブレーンストーミングを行う。
その3 ブレーンストーミングで出たアイデアを効果とネガティブチェックで取捨選択する。

事前のネガティブチェックを忘れずに!


ネガティブチェックとは、例えば次のようなことです。
・その場所に、その壁画が相応しいか?デメリットが発生しないか?
・その壁画は、見る人に不快感や恐怖感を与えることはないか?昼間はよくても、夜間は?大人には問題なくても、幼児子供にはどう見えるか?
・その壁画は、今はよくても、数年後はどうなのか?
等々。
できるだけ多くの視点で、その壁画のネガティブ要素を事前にチェックし、修正することが重要です。
——————————————————————————————————————————————————————
以上で述べたことは、あくまで不特定多数の人が目にする公的スペースの壁画についてです。
個人で自由に楽しめる室内は対象外です。
また、特定な人が楽しむ店舗や娯楽施設などクローズドな空間も対象外です。

参考記事「まちの景観誰のもの?」(河北新報)

河北新報「まちの景観誰のもの?」

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奥村昇
専門家

奥村昇(アートディレクター)

有限会社ビッグアート

アート制作が目的ではなく、アートのパワーを活用した戦略的なデザイン(しかけ)で人や社会に大きな変化をもたらし、新しい価値や新しい流れを生み出します。人がワクワク元気になるまちを目指して!

奥村昇プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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