定年後の起業を成功させるための秘訣
定年後、起業するためにはお金だけでなく、情報や人脈、体力・気力など、さまざまな“もの”が必要です。シニア起業家は、定年前から起業に必要な“もの”を知り、準備しておくことが大切です。この記事では、その内容について解説します。
事業計画書を作成し、情報を仕入れ、定年後の起業に備える
定年後、スムーズに起業するためには、しっかりと事業計画を練っておくことが大切です。
事業計画は、日本政策金融公庫をはじめとした、起業を支援する企業や団体が公開している「事業計画書」を使用して、作成するのがよいでしょう。
「事業計画書」には、売り上げ見込みや資金繰りなど、ビジネスに必要なさまざまな要素が盛り込まれており、フォーマットに従って書き進めるだけで、ある程度完成させることができます。
とはいえ、自分の視点だけで作成した「事業計画書」に不安を感じる人もいるでしょう。その場合は、客観的な意見を求めることも重要です。商工会議所などでは、専門家による無料の経営相談が行われているので、参加してみるのもよいでしょう。
起業して成功するためには、役に立つ「情報」を適宜仕入れておくことも大切です。
近年は、テクノロジーが進化するなか、情報の有無が企業の成否を分ける時代になっています。開業しようとしている業界の情報は、無料セミナーに行くなどして、しっかりと収集するようにしておきましょう。
人脈や社会貢献意欲が起業を推進するエンジンに
人脈は、ビジネスを動かすために欠かせない大切な要素です。人脈は信頼関係を築く時間が必要になるので一朝一夕に構築できるものではありません。シニアになって起業を考えているのであれば、会社員である40代、50代のときから人脈づくりを行っておくのがよいでしょう。
しかし、どのように構築したらよいか分からない人も少なくないでしょう。「人脈を築こう」と必死になるのではなく、セミナーや勉強会などに行って、まずは友人を作ることから始めてみましょう。
ただし注意してほしいのは、セミナーや勉強会など、人脈づくりを行う中で知り合った人は「自分にお客さんを紹介してくれる人」と、自分にとって都合がよい人ではありません。自分の利益だけを追求しようとする人は、相手にもそれが伝わり、距離を置かれてしまいます。
人脈とはコミュニケーションを重ねるなかで人柄を知ってもらい、相手から信頼を得て培われていくものです。
また、人脈に加えて、社会貢献するなど、自分の生きる姿勢や理念を示すことも必要です。
近年、シニアで起業する人も増えていますが起業で成功するのは簡単ではありません。多くの起業家が1年以内に事業をたたんでいる現状もあります。厳しい競争社会でビジネスを長く続けていくためには、困難に立ち向かう強い気持ちを持っていることも大切です。
そして、折れない心を支えてくれるのが「自分が今後どう生きていきたいか」、また「社会にどのように貢献していきたいのか」という思いでしょう。「お金を稼ぐために起業する」という利益追求よりも「○○の役に立ちたいから起業する」といった、社会に貢献する思いを持った起業をするほうが、逆境に立たされたときにふんばりがききます。
お金は、再就職をするなど、ほかの手段でも稼ぐことは可能です。起業の際は自分の過去を振り返り、そして未来を見据えて「なぜ起業するのか」についてしっかりと考えるようにしましょう。
お金や専門アドバイザーもシニア起業家に必要なもの
起業直後、多くの人はビジネスをひとりで進めることが多いかと思います。その場合、長時間労働になる可能性があります。
そうならないように準備しておくのが理想ですが、体力気力を充実させて、起業時の荒波を乗り越えることも起業家に求められます。定年前から、適度な運動を心がけ、塩分やお酒を控えるなどの体調管理をしっかりと行うこともシニア起業の心得と言えるでしょう。
ビジネスを行うためには、それ相応のお金が必要です。ビジネスの内容によっては、資金調達を要することもあるでしょう。
自己資金でまかなう場合も、資金調達を行うときも、お金で困らないように、定年前から貯金をしっかりとしておきましょう。
また、小売りや製造などで起業する場合、仕入れ額や製造原価を管理して、円滑に事業を行うことも求められます。多くの起業家は、こうした煩雑な会計をおろそかにしたために、いくら利益が出ているのか把握できず、赤字となり倒産の憂き目にあっています。
資金調達も会計も、専門知識が必要な業務です。自分の事業の経営状態を把握するために、一定のレベルまで自分で行うのもよいですが、財務諸表の作成や税務申告ともなれば、高度な知識が求められるため、そう簡単に対応することはできません。
経理などの複雑な業務は、税理士などの専門家に任せることで収支について常に明確に管理ができるメリットがあります。
煩雑な会計業務に時間を割くことがなくなると、営業活動を行うなど自分のやるべきことに集中することができるようになるでしょう。