定年後のシニア起業する上でおススメの業種
定年後、起業した場合、さまざまな税金を負担する必要があります。税金の種類は法人か個人事業主かで異なり、税率も大きな差があります。
起業家の多くは、残念ながら税金で苦しんでいるのが実態です。事業が想定外に大きくなったものの、税金を支払うタイミングを把握していなかったために支払に窮するケースも散見されます。
この記事では、法人と個人事業主において、起業後に支払わなければならない税金について解説します。
定年後、起業すれば税金負担に直面する
定年後に起業する場合、税金を自ら支払う必要があります。サラリーマンのときには税金の支払は会社が代行してくれていましたが、起業するとなるとそうはいきません。ご存じの通り、税金は国民の義務です。税金についてしっかりと把握して、追徴されることのないよう注意しましょう。
税金は法人か、それとも個人事業主か、その形態によって負担が変わります。
まずは法人から見ていきましょう。
法人が負担する税金は「法人税」「地方法人税」「法人市民税」「法人府(県)民税」「法人事業税」「源泉所得税」「消費税」等があります。順に説明していきましょう。
「法人税」「地方法人税」は文字通り、法人に課される税金でその税率は15~23.4%(年間所得によって異なる)。後ほど、個人事業主の税金について解説する際に詳しく触れますが、最高税率は23.4%と低いため、初年度から大きな売り上げが見込める場合は法人を選択したほうがよいでしょう。
次に「法人市民税」「法人府(県)民税」と「法人事業税」です。
「「法人市民税」「法人府(県)民税」は会社の規模問わず課される税金で、税率は地域によって異なります。東京都23区の場合は12.9~16.3%などとなっています。「法人事業税」は所得金額に対して課され、所得が増えていくほど高額になります。
「源泉所得税」は、主に従業員を雇い入れた場合に発生する税金です。原則、毎月納付することが必要です。そのため、起業して資金繰りに余裕がないケースでは「源泉所得税」の支払に窮するケースも散見されるので注意しましょう。
最後に「消費税」です。「消費税」は1,000万円以上の売り上げがある場合などの法人に課されます。決算月から2か月以内に納付する必要があるため、資金繰りには十分配慮して営業しましょう。
個人事業主として起業した場合の税金
次に個人事業主の税金です。
課される税金は「所得税」「個人住民税」「個人事業税」「源泉所得税」「消費税」です。
「所得税」は、事業所得から必要経費を差し引いて求められた所得金額に対して課税されます。その税率は所得金額によって大きく異なります。
所得金額が「195万円以下」である場合は5%である一方で、「695万円を超え900万円以下」である場合は23%、「4,000万円超」では45%となります。法人税の最高税率は23.4%ですから、随分と差があることがわかります。
先ほど、法人税の解説で「法人税の最高税率は23.4%」と書きました。この税率は上記で触れた通り、「695万円を超え900万円以下」の近似値です。つまり、“900万円以上”の所得金額が見込める場合は、法人にした方が税金の支払を抑えることができる可能性があります。「所得税」は確定申告と同時に納付します。納付のタイミングを逃すと追徴課税の恐れがあるため、期限を守ることが大切です。
次に「個人住民税」です。起業してすぐの場合、サラリーマン時代の所得に対して課税されます。思いのほか多額になるケースもあるため、準備をしっかりとしておきましょう。
そして「個人事業税」です。事業の種類によって課される税金です。その税率は3~5%。例えば、柔道整復事業では3%、運送業や不動産貸付業では5%などとなります。税金がかからない業種もあるため、先にチェックしておくとよいでしょう。
税金の種類を把握して自分らしい起業を
従業員を雇用している場合、法人と同様、「源泉所得税」も負担しなければなりません。毎月支払う必要があるため、手元現金の確保に努めましょう。
最後に「消費税」です。前述した通り、消費税は1,000万円以上の売り上げがある場合等の事業者に課される税金です。起業初年度はあまり考える必要はないかもしれませんが、売り上げが伸長した場合等に備えて、消費税について学んでおくことも大切でしょう。
税金について意識が低いゆえに、苦労する起業家が多いのが実態です。起業すると思いのほか、税金が多額になるケースも多く、資金繰りに窮する恐れがあります。このような状態になってから対処するのは遅すぎます。定年を迎える前から、税金について学んでおくことが必要不可欠です。
また、税金は法人と個人事業主で、その種類は変わります。このことは、どちらの形態でビジネスを行うのか、事業の形を決定する要因にもなります。税金の内容をしっかりと把握して自分に合った事業運営のあり方を見つけましょう。