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債権とは、売掛金や売買代金の支払いなど、特定の要求をできる権利のことです。
要求する権利を持っている人を「債権者」、要求される人を「債務者」といいます。
売掛金や売買代金などが未払いになっている場合、債権者は債務者に対して、
その支払いを要求する権利がありますが、現代社会では、こうした権利を実行したいときに、
司法手続きを取らずに、自分の力であるべき状態にしようとすることは禁止されています
(「自力救済の禁止」)。
そのため、権利を持っていたとしても相手が拒む場合は、すべて司法の手を借りなければなりません。
そもそも「債権」という権利には、次の2つの特徴があります。
(1)第三者からは目に見えない権利であること
土地の売買であれば、その土地があることは目でたしかめればわかりますが、売買代金を請求する
権利があるかどうかは目では確認できません。
しかし、すべての取引に必ずしも契約書があるわけではなく、債権の成立は原則として、
債権者・債務者それぞれの意思の合致によって成立しています。
そのため、裁判官や弁護士などの第三者にとって、その権利が本当にあるかどうかは、
契約書などの証拠がなければ疑問が生じることにもなりかねないのです。
このように、「債権は第三者からは目に見えないものである」という特徴から、
債権回収にあたっては、当事者間で契約書や確認書を交わしたり、究極的には裁判所に
判決をもらうというかたちで権利を目で見えるようにしなければなりません。
(2)債務者に弁済(給付)という行為を要求する権利であること
たとえば、自宅の金庫や財布には現金があるのに、買主が代金を払ってくれないとしても、
債権者が勝手に金庫や財布を奪って現金を得ることは認められていません。
代金を払ってもらおうとすれば、現金を確保してもらい、それを代金の弁済・履行にあてて
もらうという債務者の行為が必要になります。
つまり、債務者が弁済しようという「意思」と、弁済する「能力」(資力)を持っていることが
債権を回収するうえでは重要なのです。
そのためには、債務者に資力があるかどうかを調べると同時に、交渉や訴訟などの法的手段で
弁済する意思を生じさせ、あるいは法的手段によって強制的に執行する必要があります。
契約書や確認書を交わすなどで、債権という権利を目で見えるようにするタイミングは、
本来は契約を取り交わすときがベストでしょうが、支払期限になっても入金を確認できないなど、
契約内容に疑義が生じたときでもかまいません。
ところで、債権には時効があります。じつは債権は、永遠なものではありません。
「権利の上に眠る者は許さず」という法諺や、「債権は第三者からは目に見えないもので
証拠が散逸する」などの理由から、当事者が一定の行為をしなければ、期間が経過すれば
消滅することになっています。
債務者に一部でも支払ってもらうなど、時効を止める方法もあります。