交通事故に関する法律相談

西村隆志

西村隆志

 交通事故に遭ってケガをした。または、不幸にも父母、子ども等親類の方が亡くなった。
 交通事故は突然やってきます。
 でも、日常生活は苦しみや悲しみとは裏腹に待ってくれません。亡くなった場合には、葬式、初七日などしなければならないことがあります。ケガをしていても、生活のために仕事を考えなければいけなくなることもあります。
 交通事故の場合、それに追い打ちをかけるように、
 ・治療費の支払はどうするのか、
 ・加害者・保険会社から治療の打ち切りと言われてしまいどうしたらいいか
 ・後遺症・後遺障害認定に不満がありどうしたらいいか
 ・加害者・保険会社から示談の提案がありどうしたらいいか。
 ・加害者・保険会社からの示された損害賠償額・慰謝料額に不満がある。
と、次々に考えなければいけないことが出てきます。
 そのような交通事故によりお悩みをお持ちの方、是非一度、昇陽法律事務所に相談にお越し下さい。

 昇陽法律事務所では、相談された方から丁寧に事故の状況、ケガの状況、事故後の治療の状況、加害者・保険会社との話合いの状況、そして、相談された方のお悩みをうかがって、相談された方のより良い方向性をお示しできると思います。
 弁護士が示談交渉等を行うことにより、被害者の方のご負担が軽減されます。
 保険会社の担当者と交渉したり、後遺障害認定を争ったりすることは、被害者に心身ともに負担のかかることです。
 弁護士は、交渉・訴訟の専門家ですので、あなたに代わり、交渉・訴訟をすることができます。
そして、なにより弁護士が示談交渉・調停・訴訟等に関与することによって、損害賠償の金額がアップすることが多くあります。
 保険会社は、損害賠償の最低保障を定める自賠責基準、任意保険会社独自の任意保険基準を使って、損害賠償額を低くしようと考えています。
 しかし、裁判所の基準、つまり訴訟をした場合の裁判所に認定される基準は、実は自賠責基準・任意保険基準より高額に設定されており、弁護士が裁判所の基準を適切に利用すれば、損害賠償がアップするのが通例なのです。

 交通事故でケガを負わされました。まず、何をするべきでしょうか。
 事故直後にご覧の方には注意していただきたい事があります。
1.まず、身の安全を確保してください。
そして、けがの程度に応じ、できる範囲で以下のことをしましょう。
2.加害者の確認をしましょう。加害者に対し、運転免許証の提示を求め、住所・氏名を確認し、電話番号等連絡先を聞きましょう。
3.そして、119番、110番通報をしましょう。
4.目撃者がいる場合には、名前、電話番号等の連絡先を聞き、後日の協力をお願いするとよいでしょう。後日裁判等で、両当事者のお互いが「私の信号が青だった」と過失相殺等で事故の態様が争われることがよくあります。

 これに対し、被害者の方にしないことをお勧めしたいことがあります。
1.加害者に全責任がある旨の念書等を書かせることに固執しないほうがいいでしょう。このような念書を相手に書かせたとしても裁判所はその文書の効力について否定的です。ですので、相手に念書を書かせることに異常に労力を注ぐことは得策ではないと思います。
2.さらに、大した怪我ではないとして、110番に連絡せず、相手方の連絡先を聞かずに放置することです。のちに、体の調子が悪くなった場合でも、相手がわからない、事故の存在を争われる、事故とケガとの関係を争われるというように、被害者に不利な状況を生むことになります。

 交通事故によりケガを負った場合、まずは、ケガの治療に専念すべきです。
 後ほどにも述べますが、加害者に対して請求する損害賠償額が確定するのは、けがが完治した時またはケガがこれ以上治らないという認定を受けた時(症状固定時)です。
 ですので、交通事故の被害にあった場合には、治療に専念するのが第一です。
 それに伴い、治療が完了していない段階で簡単に示談に応じるべきではありません。
 まだ、治療が終わっていないにもかかわらず、加害者が執拗に示談を求めてくるのであれば、一度ご相談ください。

 症状固定とは。
 交通事故によってケガを負った後、医師による治療を受けると、怪我は治癒に向かいます。
 しかし、治癒に至らず、顔に傷痕が残ったり、腕等が曲がらなくなったり症状が残り、これ以上治療を続けても改善が期待できない状態になる場合があります。
 この状態が、「症状固定」といわれるものです。

 交通事故の損害賠償請求を解決するためには、どのような方法をとることになりますか。
 まず、加害者側と話合い(示談交渉)をすることから始まります。
 通常、任意保険には「示談代行」制度がついているので、事故からしばらくすると加害者側の任意保険会社から連絡があり、示談交渉が始まることになります。
 示談交渉にてお互いが納得すれば、示談書が作成され、損害賠償金が支払われます。
 示談交渉がまとまらない場合には、裁判所において民事調停を申し立てたり、訴訟を提起して、損害賠償請求をすることになります。

 民事調停とは、裁判所において調停委員に中に入ってもらい、加害者と話合いをすることになります。民事調停でお互いが納得すれば調停調書が作成され、損害賠償金が支払われます。なお、調停調書は、判決と同じ強い効力を持つことになります。
 民事調停でもまとまらない場合には、裁判所において民事訴訟をすることになります。
 訴訟においても、お互いの話合いが納得すれば和解調書が作成され、損害賠償金が支払われます。なお、和解調書も、判決と同じ強い効力を持つことになります。
 最終的に、お互いの納得がいかなければ、裁判所が判決という形で決着をつけることになります。

 交通事故には、
1.被害者が亡くなった死亡事故、
2.被害者がケガを負った傷害事故
3.車など物が損傷した物損事故
の3つのケースがあり、それぞれ請求できる損害が若干異なります。
一般的には、交通事故によって失った財産的損害、交通事故により精神的に受けた精神的損害(慰謝料)がそれぞれ問題となります。

財産的損害
●治療費
 事故後、亡くなるまでの治療費を請求できます。

●葬儀費用
 定額で決められており、現在は裁判基準で、130万円から170万円程度(大阪では150万円)です。もっとも、実際の費用が基準より低い場合には、実費相当額しか認められません。

●逸失利益
 仮に、事故がなければ、被害者が以後得られたであろう利益を失った損害をいいます。

によって算出されます。

精神的損害(慰謝料) 
 親族がなくなった場合に、遺族が受ける精神的損害は人によって異なると思いますが、裁判基準では、ある程度の類型化・定額化が図られています。
 裁判基準では、
一家の支柱の場合 1700~3100万円
一家の支柱に準ずる場合 2400~2700万円
その他の場合 2000~2400万円
を目安として、諸般の事情(加害者側・被害者側の事情)を総合的に考慮されて決定されます。

 逸失利益での基礎収入額とはどのように判断されるのですか?
 原則として、事故直前の収入額を基準として判断されます。
 事故直前直近2、3カ月分の給与明細書、源泉徴収票や確定申告書、年金受給証明書等収入の分かるものをお持ちになり、ご相談下さい。
 また、新就労の未成年であった方、主婦であった方など事故直前の収入が不明確な方の場合には、平均賃金を使用した請求も可能ですので、ご相談下さい。

財産的損害
●治療費
 必要かつ相当な医療機関における入・通院費用は請求できます。

●付添看護費
 入院・通院した場合に、医師の指示や症状の内容・程度,年齢からみて必要性がある場合には、付添に必要な費用が認められています。
職業付添人を利用した場合:必要相当額
近親者の場合:入院付添 6,000円
通院付添:3,000円
が一定の基準とされています。

●入院雑費
 入院中の日用雑貨費(寝具、衣類類)、通信費、文化費(新聞代)として、入院1日あたり1500円を請求できます。

●通院交通費
 通院に必要な交通費について実費相当額請求できます。電車・バスなど公共交通機関については実費相当額、タクシーについては利用が相当な場合には実費、そうでない場合には公共交通機関相当額になります。
 自家用車の場合には、ガソリン代や高速代を請求することができます。

●休業損害
 事故のために休業したことから、得られたであろう利益を失ったことによる損害を請求することができます。
 休業損害は、現実に休業したことにより支払われなかった給与、減額された賞与、利用した有給休暇分などが認められます。
 また、自営業者の場合には、休業したことによって生じた減収分、無駄に支出した固定経費などが請求することができます。
 事故直前直近2、3カ月分の給与明細書、源泉徴収票や確定申告書、年金受給証明書等収入の分かるものをお持ちになり、ご相談下さい。

●入通院慰謝料
 入・通院を強いられたことによる精神的損害を償うために認められるものです。精神的損害は人によって異なると思いますが、裁判基準では、ある程度の類型化・定額化が図られています。
 入通院慰謝料は、原則として、入院期間、通院期間、通院実日数によって計算された金額を目安に、諸般の事情(加害者側・被害者側の事情)を総合的に考慮されて決定されます。
 入通院慰謝料は、任意保険基準と裁判基準との間で大きく差があるところでもありますので、示談をされる前に一度ご相談ください。

 人身・傷害事故と同じ損害が認められます。
 なお、治療費、入通院慰謝料は、症状固定時までのものに限定されます。
 それに加えて、後遺障害が残る場合には、次の損害も請求することができます。

財産的損害
●後遺障害による逸失利益
 後遺障害が認定された場合には、後遺障害が残ったことによる労働能力低下によって喪失した就労可能期間までの収入減額分を請求することができます。

●精神的損害・後遺障害慰謝料
 入通院慰謝料に加えて、後遺障害が残ったことによる精神的損害を償うために認められるものです。
 精神的損害は人によって異なると思いますが、裁判基準では、ある程度の類型化・定額化が図られています。
 後遺障害慰謝料は、原則として認定される後遺障害等級によって計算された金額を目安に、諸般の事情(加害者側・被害者側の事情)を総合的に考慮されて決定されます。
 後遺障害慰謝料についても、任意保険基準と裁判基準との間で大きく差があるところでもありますので、示談をされる前に一度ご相談ください。

 後遺障害の認定は、どのように認定されるのですか?
 後遺障害の認定は、まず医師に後遺障害診断書を書いていただくことから始まります。
 医師が記載した診断書は後遺症認定の際に重要な意味があるので、慎重に記載して頂いてください。
 医師に交渉診断書を加害者側の任意保険または自賠責保険に提出すると、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査センターに送付されます。
 損害保険料率算出機構の自賠責損害調査センターでは、後遺障害診断書等を基に調査を行い、後遺障害の有無、1~14級の等級を判定することになります。
 後遺障害非該当、低い認定等級の認定この判定に不服であれば、異議の申立てができます。
 さらに、不服の場合には、自賠責保険・共済紛争処理機構による紛争処理申請をしたり、最終的に裁判を提起し、訴訟の中で後遺障害等級を主張・立証をしていくことにより、後遺障害が認定されることになります。
 相手方からから後遺障害診断書をとるように求められて不安のある方、自賠責の等級認定に不服のある方は、一度ご相談ください。

●修理費または時価額の高い方
 原則として、修理費が損害となります。
 しかし、物理的損害(技術的に修理が不可能な場合)や経済的損害(修理費が時価額(事故当時の中古額)を上回る場合)には、時価額(事故当時の中古額)の範囲でしか損害が認められないことになります。

●代車料
修理期間中の代車料

●営業補償
営業車の場合には休業したことによる営業損が損害となりえます。

●格落ち(評価損) 
修理代の1割~3割程度が格落ちとして損害となる場合があります。
※物損事故の場合、精神的損害(慰謝料)は原則として認められていません。なお、深夜に自宅に自動車が突入した事例など、慰謝料が認められる場合もありますので、ご相談ください。

 損害が発生したことについて、被害者にも過失がある場合、損害は公平な分担から、過失割合に応じて損害賠償額が減少させられます。
 過失相殺は、交通事故態様に応じて類型化がすすめられていますが、被害者、加害者の地位(自動車運転者、歩行者、自転車)、事故現場の状況、事故態様によって、さまざまな例外などがあります。
 示談交渉における相手方からの過失割合の主張に納得がいかない方は、ぜひご相談ください。ご相談の際には、事故現場の状況、被害者・加害者の地位、事故態様の概要をお示しくださいますようお願いします。

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西村隆志(弁護士)

西村隆志法律事務所

中小企業経営者、事業主の立場にたって、迅速、的確な債権回収に努めています。同志社大法科大学院出身の弁護士4人のチームワークもよく、何でも気軽に相談できる弁護士事務所です

西村隆志プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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