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インテリアで魅力的に演出し、空室に命を吹き込む「ホームステージング」という仕事

ホームステージングを専門に手がけるインテリアコーディネーター

高安展子

高安展子 たかやすのぶこ
高安展子 たかやすのぶこ

#chapter1

売りたい部屋をモデルルームに変身させるインテリアのプロとして

家具や家電のレンタルサービスを行う「レンタブルワン」で働く高安展子さんは、ホームステージングを専門に手がけるインテリアコーディネーター。

ホームステージングとは、売却予定の物件にインテリアや小物を入れて「生活空間」を作り出し、モデルルームのように演出するサービスのこと。ただの「空室」より、購入を検討している人の記憶に残りやすく、「その部屋での生活」をイメージしやすくなると高安さんは話します。

「ドアを開けて6秒で、その部屋の印象が決まると言われています。そのため、賃貸マンションや中古物件に『ホームステージング』を加えるかどうかで、その先の販売に大きく影響してくると思っています」

家具が何も入っていない部屋を見たとき、人の印象に残るのは広さや日当たり程度。「そこでどんな生活が送れるのか」まではイメージしにくいものです。インテリアや小物での演出で、購入検討者の“理想の暮らし”を想起させることがホームステージング活用のメリットの一つです。

「魅力的な空間を作るだけでなく『その部屋の特徴を魅せる』ことも重要」と続ける高安さん。

「収納力のある部屋や、天井が高い部屋など、その物件によって特徴はさまざま。部屋の個性をしっかり理解して、その特徴を際立たせる演出を意識しています。ただし、私の仕事は空室に「付加価値」を付けて商品化すること。『魅力的な部屋を作る』ことがゴールではなく、『販売につなげる』ということを最終的な目標にしています」

#chapter2

物件ごとのユーザー像と視覚効果も意識して、販売につなげる部屋づくりを行う

前職はアパレル業界で、商品をより魅力的に演出することを仕事としていた高安さん。「人の生活にもっと深く関われる仕事をしたい」と考え、インテリア業界への転向を決意しました。

「住環境は心と人生を変えます。散らかった部屋だと心もすさんできますし、人間関係もギスギスしてくるはず。反対にホテルのような整った空間に身を置くと、リラックスすることができる…インテリアの力は、人の心にも作用すると思っています」

高安さんは、案件ごとの部屋の特徴を正しく把握するために、現地調査にも立ち会うなど、事前のリサーチを念入りに行います。

「同じ間取りでも、立地や賃料によって住む人は変わってきます。例えば3LDKのマンションでも、家賃8万円と20万円とでは、そこに住む人の年齢、職業、趣味、家族構成も違うはず。その物件のユーザー像をしっかり定めた上で、プランを提案しなければいけません」

顧客の「好み」に寄り添った提案を行うインテリア販売とは違い、その物件に住む「未来の住人」を意識してコーディネートするのがホームステージングの仕事。「30代前半の男性で、バイクが趣味。平日は会社員として勤務」など、細かにユーザー像を落とし込み、それに見合ったプランを提案。高安さんは「難しくもやりがいは大きい」と笑顔を見せます。

また、人間の視覚効果や心理効果を考慮した提案も大切にしていると話す高安さん。カーテンの柄をストライプにして天井を高く見せたり、暗いところから明るいところへ引き寄せられる照明効果を利用して、魅せたいポイントにフロアライトを置いたりするなど、見る人の視点や動線をも考慮します。

高安展子 たかやすのぶこ

#chapter3

「販売成約率を高め、売却期間を短縮する」。ホームステージングを広く活用してもらうために

日本でのホームステージングの歴史は浅く、不動産業界での認知度も海外に比べるとまだ低いのが現状です。「もっと積極的にホームステージングを活用してほしい」と話す高安さんは、ホームステージングは「販売成約率を高める」だけでなく、「売却期間を短縮する」効果も期待できると話します。

ずっと空室だった賃貸マンションにモデルルームを作ったところ、「翌日にすべて満室になった」という報告や、「入居率が20%から80%に上がった」という報告が届くたび、ホームステージングの必要性を肌で感じているそうです。

高安さんは、誰にでも好まれるようなベーシックなコーディネートだけでなく、その年ごとのトレンドをおさえたカラーや柄物を使用し、遊び心のある演出にも力を入れていきたいと話してくれました。

「お客さまから、私が手がけた部屋を見て『部屋が生き返った』と言ってもらえた時はうれしかったですね。これからも頼ってくださる方の期待に応えられる存在であり続けたい。そして手間と暇を惜しまずに、部屋に付加価値をつけて、ドアを開けた人の驚きを演出できるよう努力していきます」

真剣に話すそのまなざしからは、インテリアコーディネーターとして、そしてホームステージャーとしてのこだわりと熱意を感じることができました。現在はテーブルコーディネートの勉強もしているという高安さん。どんなオーダーにも答えられるインテリアのプロとして、成長へのステップを登り続けています。

(取材年月:2021年1月)

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高安展子

ホームステージングを専門に手がけるインテリアコーディネーター

高安展子プロ

インテリアコーディネーター

株式会社レンタブルワン

単身用レンタル家電家具サービス「かりとこ」を運営するレンタブルワン。不動産物件の空室をレンタル家具で魅力的なモデルルームにし、物件の価値を高める「ホームステージング」をしています。

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