屋根材別葺き替えタイミング

林照剛

林照剛

テーマ:屋根塗装の豆知識

家を建てる際やリフォームを考える際、屋根材の選択は非常に重要です。屋根材にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や耐用年数、メンテナンスのタイミングがあります。本記事では、代表的な屋根材の特徴、耐用年数、および適切な葺き替えのタイミングについて詳しく解説します。

各屋根材の葺き替えタイミング

屋根材の耐用年数は、使用する素材や気候条件、メンテナンスの頻度によって異なります。一般的に、以下のようなタイミングで葺き替えを検討することが推奨されます。

●粘土瓦 50〜60年

ひび割れや欠けが見られた場合は早めの対処が必要です。

●ガルバリウム鋼板 25〜30年

錆びや腐食が見られた場合は早めに対応することが大切です。

●スレート 20〜30年

割れや欠け、建材の脆さが見られた場合は早めに対処することが重要です。

●トタン 10〜20年

錆びが広がってきた場合は迅速に対応する必要があります。

●銅板 50年以上

経年変化による緑青が発生しますが、大規模な損傷がない限りは長期間使用可能です。

●アスファルトシングル 20〜30年

剥がれや損傷が見られた場合は早めに対処することが求められます。

●セメント瓦・コンクリート瓦 30〜40年

ひび割れや欠けが見られる場合は葺き替えを検討します。



各屋根材の特徴

粘土瓦

粘土屋根は、天然の粘土を高温で焼成して作られる瓦を使用した屋根材で耐火性です。伝統的な日本の屋根材で美しい外観と、高い耐久性が特徴です。また、断熱性に優れているため他の建材よりも夏は涼しく、冬は暖かい特徴があります。
耐用年数は一般的に30〜40年ですが、気候条件やメンテナンスによって異なります。

メリット
耐久性が高い: 粘土瓦は非常に長持ちし、通常50年以上の寿命があります。
メンテナンスが少ない: 防水性能に優れ、塗装や特別なメンテナンスがほとんど不要です。
遮音性が高い: 外部の騒音を効果的に遮断する能力があります。
耐熱性がある: 粘土瓦は高温にも耐え、熱による劣化が少ないです。
防水性能: 水が浸透しにくく、雨水の侵入を防ぎます。

デメリット
重量がある: 建物に負担をかけるため、地震に対する耐性が弱くなる可能性があります。
初期費用が高い: 他の屋根材と比べて設置費用が高いです。
破損のリスク: 何か物が当たったり大きな衝撃を受けた場合に割れやすい。



ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板の屋根は、鋼板に亜鉛とアルミニウムの合金被膜を施した金属屋根の一種です。軽量で耐候性に優れ、風や雨、雪などの自然災害に強いのが特徴です。また、防錆性が高く、長期間の使用でも錆びにくいです。施工が容易で、短期間で取り付けられます。耐用年数は一般的に30〜40年ですが、気候条件やメンテナンスによって異なります。

メリット
耐久性: 長期間使用可能で、風や雨、雪などの自然災害にも強い。
軽量: 建物への負担が少なく、施工効率が高い。
美観性: 美しい外観で、様々な色やデザインが選べる。
環境に優しい: リサイクル可能で、耐久性が高く廃棄物の削減につながる。
施工の容易さ: 短期間で施工可能で、様々な形状に対応。

デメリット
料金: 初期費用が高い。
音の反響: 雨音や風の音が響きやすい。
施工時の注意: 専門知識や技術が必要。
熱伝導性: 夏場は屋根下の温度が上がりやすい。
錆のリスク: 被膜が損傷すると錆びやすい。



スレート(化粧スレート、カラーベスト、コロニアル)

化粧スレート屋根は、セメント、繊維、合成ポリマーなどが混合されて約5mm程度の薄い板状に加工された屋根材です。天然スレートの見た目を模倣しつつ、軽量でコスト効率に優れています。耐用年数は20〜30年ですが、立地や気象環境によって劣化の進行速度が変わることがあります。

メリット
コスト効率: 低価格で初期投資を抑えられる。
取り付けが簡単: 軽量で扱いやすく、施工コストや時間を削減できる。
メンテナンスが容易: 壊れた部分の交換が簡単。
軽量: 屋根の構造にかかる負担が少ない。
バリエーション: 色や形状の選択肢が豊富。
耐候性: 雨や風、寒冷に強い。

デメリット
耐久性: 天然スレートや瓦屋根に比べると耐久性が劣る。
劣化: 長期間の使用で色あせやひび割れが発生しやすい。
環境への影響: リサイクルが難しく、環境への負担が懸念される。



トタン

トタン屋根は薄い鉄板を使用した屋根材で、軽量でありながら強度があり、耐久性に優れています。施工が容易で短期間で取り付けが可能です。耐用年数は10〜20年程度ですが、使用される鉄板の品質や気候条件によって異なります。メンテナンスとしては、錆や劣化を防ぐために定期的な塗装と雨漏りや破損箇所の点検が必要です。

メリット
軽量: 建物への負担が少なく、施工が容易。
価格が安い: 他の屋根材に比べて経済的。
耐火性が高い: 火災のリスクを低減。

デメリット
錆に弱い: 定期的な塗装が必要。
遮音性が低い: 雨音が大きくなることがある。
熱伝導が高い: 夏場は屋根下が暑くなる。



銅板

銅板屋根は適切なメンテナンスを行えば、60年以上持つことができます。塗装は不要ですが、定期的な清掃で美観を保ち、劣化を防ぎます。錆が発生しても重大なダメージにはなりませんが、穴あきやズレがないか定期的に点検し、早めに修理することが重要です。

メリット
高級感と美観性: 美しい光沢と特有の経年変化で高級感を演出。
耐久性: 錆びにくく、耐候性・耐火性が高い。
軽量性: 軽量で建物の構造に負担をかけない。
環境に優しい: リサイクル可能で長期間使用でき、廃棄物の削減に寄与。

デメリット
高価格: 初期費用が高い。
錆のリスク: 長期間の使用や劣化で錆が発生する可能性。
施工の難しさ: 専門知識や技術が必要で、施工費用が高い。



アスファルトシングル

アスファルトシングルは、ガラス繊維基材にアスファルトを含浸・コーティングし、スレート砂や彩色焼成砂を圧着して製造されています。耐久性が高く、外観のバリエーションが豊富で、住宅や商業施設の屋根に広く使用されている人気の屋根材です。耐用年数は20〜30年とされています。

メリット
軽量: 建物の負担を軽減し、耐震性が高い。
割れや錆に強い: ひび割れや錆びの心配が少ない。
防水性が高い: 長期間にわたって防水性を維持。
防音性が高い: 雨音や外部の音を軽減。
デザイン性が高い: 多様な形状の屋根に対応。

デメリット
強風に弱い: 強風で破れることがある。
苔やカビが繁殖しやすい: 湿度の高い地域や日陰で発生しやすい。




セメント瓦

セメント瓦は、セメント、砂、繊維、顔料などを組み合わせて作られています。粘土瓦やコンクリート瓦より軽量で、建物の構造に対する負担が少ないです。耐用年数は約40年で、10〜15年ごとに塗装することで防水機能を向上させ、寿命を延ばすことができます。劣化の進行状況によっては、屋根材を葺き替えたり、カバー工法で軽量な金属屋根を重ね貼りすることがあります。

メリット
耐久性: 耐久性が高く、40年以上持つことが多い。
軽量: 建物の構造体への負担が少ない。
耐火性: 火災に対して高い耐火性を持つ。
防音性: 頑丈な素材で防音性に優れている。
遮熱性: 遮熱性が高く、屋内温度を安定させる。

デメリット
色あせ: 定期的なメンテナンスが必要。
設置コスト: 専門的な技術が必要で高額。
割れやすさ: 強い衝撃で割れる可能性がある。




コンクリート瓦の特徴

コンクリート瓦は、セメントと砂、水などを混ぜて作られ、天然石の粉末や顔料を加えて様々な色や質感を持たせることができます。耐久性が高く、耐用年数は約30〜40年です。経年劣化による色あせや塗装の剥がれが見られた場合は、専門の業者に依頼して塗装をするか、葺き替えが必要になることがあります。

メリット
耐久性: 強度が高く、長期間使用可能。
耐火性: 耐火性が高く、火災時の安全性が高い。
デザインの多様性: 色や形状の選択肢が豊富。
保温性・遮音性: コンクリートの厚みが提供する。

デメリット
重量: 重量が重く、建物の構造に負担をかける。
設置コスト: 専門技術と機材が必要で高額。
クラックの可能性: 小さなクラックが生じやすい。
色あせ: 長期的な紫外線や雨風の影響で色があせる。




まとめ

屋根材の選択は、住宅の寿命やメンテナンスの手間、コストに大きく影響します。それぞれの屋根材の特徴、耐用年数、メンテナンスのタイミングを理解し、自分の住まいに最適な屋根材を選ぶことが重要です。定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、屋根の寿命を延ばし、安全で快適な住環境を維持することができます。メリット

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Mybestpro Members

林照剛
専門家

林照剛(1級建築施工管理技士)

株式会社ラディエント

遮熱・断熱塗装のほか、ひび割れなどに強い特殊塗装によるリフォームで省エネ(節電)を実現し、快適空間を創造します。特殊塗装に慣れた職人の丁寧な作業は、お客様から高い評価を得ています

林照剛プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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