瓦屋根住宅のメンテナンスとは
屋根のメンテナンスとしては一般的に塗装のイメージが強いかと思いますが、古い屋根の上に軽い屋根を張ってかぶせるカバー工法という工事をご存知でしょうか。
古い屋根をはがして処分する手間と費用がかからないので、工事費用と工事期間をおさえることが出来ます。
一般住宅ではスレート屋根のうえに軽い金属屋根(ガルバリウム鋼板)をかぶせる工事がよくおこなわれています。
本来の屋根カバー工法
屋根カバー工法の目的は、防水機能を新しくすることです。防水機能を持った二つの機能というものは、屋根材と防水シートのことです。
手順としては、スレート屋根の上に防水シートを貼るところから始まります。防水シートはルーフィングや下葺き材(したぶきざい)とも呼ばれます。雨漏りをふせいでくれる大切なシートです。防水シートを貼った後に、金属屋根を張るという流れになります。もちろん、金属屋根自体も防水機能が備わった構造になっています。この防水シートと、屋根材の二つが新しくなることで長期にわたる屋根本来の機能を取り戻すことが出来ます。
差し込み葺きの屋根カバー工法
古いスレート屋根に金属の鉄板を差し込む工法、屋根カバー工法とよんで販促されています。差し込み葺き工法と呼ばれる工法です。こちらの工法は屋根カバー工法とは全く性質や目的が異なる工法です。差し込み葺き工法は、古いスレート屋根のうえに「コの字型」の鉄板を貼るだけの工法です。防水シートは古いままで新しく重ねる鉄板に防水機能が備わっていません。もしこの工法を屋根カバー工法と勘違いをしていていたら、今すぐ屋根カバー工法の内容を再検討すべきです。
屋根カバー工法が出来ない屋根とは
実は、全ての屋根にカバー工法ができるわけではありません。たとえば、経年劣化がひどく、下地が傷んでいる屋根は、カバー工法が行えません。
屋根瓦
カバー工法の条件のひとつに、屋根面がフラットな状態であることが条件にあります。瓦屋根のように波立っている形状の屋根には、カバー工法が出来ません。また瓦屋根は重いので、荷重を付加するカバー工法は適していません。
古いトタン屋根
金属屋根にカバー工法をおこなうことは、技術的には可能です。
しかし、古いトタン屋根は屋根の下地である野地板(のじいた)が傷んでいることが多いです。なので屋根カバー工法をおこないたくてもできないことがほとんどです。
劣化が進んだスレート屋根
たとえスレート屋根であっても屋根カバー工法ができない場合があります。理由は先ほどの金属屋根と同じです。 築後40年が過ぎている場合は、屋根カバー工法はできません。また、雨漏りが生じている屋根も屋根下地が傷んでいることが多く、屋根カバー工法をするのはあまりおススメしません。
今回は、屋根カバー工事についてご紹介しましたが、工事が可能かその判断には必ず屋根の調査が必要になります。屋根の劣化状態を専門業者に調査してもらい、現状を把握しどういった工事内容が良いか相談してみるのも良いでしょう。