海沿い住宅の塗装で考慮すべき事項
外壁塗装は建物にとって非常に大切なメンテナンスです。定期的に塗装をすることで建物の寿命を延ばす効果があります。しかし、全ての建物が塗装ができるわけではありません。また、塗装は可能だが注意しないと失敗する建材もあります。今回は塗装ではメンテナンスが不可能な建物や、注意が必要な建物とはどのようなものなのかご紹介していきます。
塗装が難しい建物
築年数が長い・長期間メンテナンスされていない建物
外壁の塗装はだいたい10年~15年おきに定期的にメンテナンスが必要とされています。しかし長期間メンテナンスをおこなっていない場合、劣化状態によっては塗装では対処できない場合があります。また、築年数が長い場合は下地材の状態が悪い可能性があります。塗装工事を行う場合は、工事をする前に外壁内部の構造や防水シートなどの点検をしっかり行うことと、割れや剥がれがある部分はしっかり修繕をする必要があります。
サイディングを直接張っている建物
90年代に建てられた住宅の多くは、サイディングを柱に直接貼り付ける直貼り工法が一般的でした。この工法では、外壁と下地材の間に通気層がないため中に湿気が溜まりやすい特徴があります。湿気により塗膜は剥がれやすくなりサイディングボードを腐食させていきます。そのため塗装をすると内部により湿気が溜まりやすくなるため建材の劣化の原因となります。
隣と建物との幅が30センチ以下の場合
外壁塗装を行う場合は足場を設置する必要がありますが、最低でも30センチ以上の空間がないと足場が組めません。
また、隣の建物が近すぎる場合は敷地に入らせてもらわないと作業ができませんので住人の許可がもらえないと工事ができません。
難付着サイディングを使用している建物
近年の建材はどんどん進化してきており、高耐候、汚れにくい、色褪せしにくいなどの特徴を持つ外壁材も出回ってきています。外壁の汚れを分解する光触媒、色褪せしづらい無機系ハイブリッド塗料、雨が降ることで塗料が汚れを落とす親水性、そもそも汚れがつきにくいフッ素系の技術など、さまざまな機能性のある塗料が実用化されています。建材としては優れていますが、通常の塗装を行うと剥がれなどのトラブルが起こるため、塗装のメンテナンスを行う際には注意が必要です。
難付着サイディングの塗装に注意が必要な理由
光触媒を施している
光触媒の塗料は、酸化チタンが含まれた塗料で、太陽の光に反応して吸着した汚れを分解し、雨水ですっきりと洗い流してくれる、セルフクリーニングの効果を持っています。
清浄効果の他には、遮熱効果や、抗菌効果があるとされていますが、汚れを寄せ付けないため、新しい塗膜が定着しづらくなり、ハジキなど塗膜の欠落状況に陥りやすくなります。
撥水塗料で塗装している
撥水塗料とは、水をはじく塗料のことで、鉄部への浸水を防いだり、美観を保つ効果がありますが、水をはじくため、塗料が定着しづらいのが難点です。
撥水塗料を行って15年以内であれば撥水性のある塗膜が活きた状態なので、外壁塗装は控えておいた方が良いでしょう。
特殊なコーティングをしている
特殊なコーティングには、フッ素や無機塗料などを使用した高耐久塗料が挙げられます。
高耐久塗料には、紫外線や雨水などの天候の変化に強い、耐候性があるのが大きな特徴で、大型の建造物や紫外線のダメージを受けやすい場所に施す場合があります。
このような高耐久な建材や塗装している場合は、必ず専用の下塗り剤をしようする必要があります。専用下塗り剤を使用しないと浮きや剥がれが早い段階で発生しやすくなります。また外壁塗装を検討する一般的なタイミングでは、塗膜の劣化が生じていない場合もあるため、塗装をしても定着しづらく、剥がれる可能性もあるため見極めが必要です。