塗料の機能や特性

林照剛

林照剛

テーマ:外壁塗装の豆知識

外壁や屋根の塗装を検討される際、塗料によってさまざまな特性を目にするかと思います。塗料は単に建物を彩るだけでなく、多様な機能を持ち、建物を保護し長持ちさせる役割も果たします。今回は、塗料が持つ一般的な機能について解説していきます。

塗料の主な機能性


耐候性
主に「天候」に関連する外的要因(特に太陽の紫外線、雨、風、湿度、温度変動など)に対する材料の抵抗力を指します。
耐候性が高い材料や製品は、外部の気象条件の影響を受けにくく、色あせ、劣化、変形などの変化を最小限に抑える能力があります。
その為、外壁塗料や屋外塗料などの屋外で使用される製品には、高い耐候性が求められます。

耐久性
耐久性が高い塗装は、表面の構造が安定し長期間にわたり外壁の保護を行います。
外壁塗装が一度施された後、効果的に長期間保護機能(防水、防カビ、遮熱など)を維持する『保護性能の維持』、色あせたりや、はがれを抑える『美観の維持』、ひび割れや剥離など塗装の物理的な劣化が起こりにくい状態を維持する『構造の維持』機能を発揮できるかという点で非常に重要です。
耐久性が高いと、塗り替えの周期が長くなり、長期的なコストも削減されるため、塗料を選ぶ際にはその耐久性を確認することが大切です。

防水機能
防水性とは、塗料が建物の外壁や屋根を水や湿気から守る能力を指します。
防水機能の働きによって、水分が壁材に浸透しないため建物内部のダメージを防ぎ、劣化のスピードを緩やかに保てます。また、湿った環境はカビや藻の発生源となるため、防水を行うことでこれらの生育も抑制し美観の維持や劣化を防ぎます。防水機能により雨や湿気からしっかりと保護された建物は美しく長持ちします。

透湿性
透湿性とは、建物内の湿気(水蒸気)を通し、同時に液体の水(雨水など)の侵入を防ぐ性質を指します。湿気を外に通すことでカビや結露の発生を抑制でき、外壁内の腐食などの劣化を防ぐことができます。一般的に外壁材料や外壁塗料には、室内の湿気を外に逃がし、外からの雨水などを防ぐという、ある種のバリアの役割はもっていますが、特に室内が高湿度になるお建物では、透湿性の高い塗料を施工することで建物の劣化を防ぐ効果があります。

防カビ・防藻機能
防カビ・防藻機能とは、建物の外壁に発生するカビや藻の成長を抑制する機能を指します。これらの生物の成長は外壁を汚し色褪せや変色を引き起こします。また、外観を損なうだけでなく、湿度が同じ場所に長く留まることにより建物の構造にもダメージをもたらします。
特に多湿な環境や影の多い場所では、カビや藻が発生しやすく、防カビ・防藻塗料は、湿度が高い地域や多雨地帯、森林に近い場所など、カビや藻が発生しやすい条件下での使用が推奨されます。

耐汚染性
耐汚染性とは、塗料が外部からの様々な汚れや汚染物質に対して抵抗力を持ち、長期間にわたって外壁の美観を保つ能力を指します。特性として塗装表面が滑らかであるため、汚れが付きにく、特殊な樹脂や成分が汚れの発生や定着を防ぐので塗膜が汚れにくくなります。また、雨水によって表面の汚れを自然に洗い流す性質を持ち汚れを簡単に落とすことができます。
ここで言う「汚れ」や「汚染物質」とは、主に排気ガスからのスス、雨に含まれる酸、埃、花粉、藻やカビなどが含まれます。特に都市部や交通量の多い地域、工場や農場など汚染源が多い場所での使用において、外壁の美観を長期間保つうえで非常に有益です。

自己洗浄機能
自己洗浄機能とは、塗料が持つ特殊な性質により、壁面が自動的に清潔を保つ機能を指します。この機能は特に、建物が都市部や交通量の多い地域にある場合、外壁が汚れやすい条件下で大変役立ちます。
自己洗浄機能を持つ塗料は多くの場合、光触媒作用を利用しており、光(特に紫外線)を受けると、塗料中の二酸化チタンが反応し、活性酸素を発生させます。この生成された活性酸素は、壁面に付着した有機物を分解し、塗料表面を超親水性に変化させます。これにより雨水により水滴と共に分解された汚れを洗い流すしくみになっています。
自己洗浄塗料は、特に都市部や工場の近くなど、大気汚染が気になるエリアでの利用に適しています。また、高所や複雑な形状の建物においても、手が届きにくい場所のメンテナンスの手間を減らす点で有益です。

断熱性
断熱性とは、建物の外壁と建物内を通じての熱の伝わりを抑える性能を指します。具体的には、外からの熱が建物内へ伝わりにくくしたり、逆に建物内の熱が外へ逃げにくくしたりする機能があります。高い断熱性を持つ外壁塗装は、冷暖房の効果を外に逃がさないため、エアコンやヒーターの使用時間やパワーを減らすことができ、エネルギーコストを節約にもなり居住者に快適な室内温度を提供する上で大変有益です。また、建物自体も急激な温度変化から守る為、塗膜や建材の経年劣化を緩やか保てます。

遮熱性
遮熱性とは、塗料が太陽からの熱を反射し建物内への熱の取り込みを軽減する機能を指します。遮熱塗料は、特定の材料(たとえば、セラミック微粒子や金属粒子など)を含み、これらが太陽光(特に近赤外線)を効果的に反射して外壁表面の温度上昇を抑えることで、屋内の温度を安定させる効果があります。外壁や屋根の表面温度が低くなることで、室内の温度も一定に保ちやすくなり、冷却に要するエネルギーコストを削減します。
遮熱塗料は、特に夏の暑い期間や、一年を通して気温が高い地域で大きな効果を発揮します。
また、遮熱効果により熱からの経年劣化を緩やかにする為、塗膜や建材の経年劣化を緩やかに保てます。

防音機能・遮音機能
防音機能・遮音機能とは、外からの音の侵入を軽減し、また建物内の音が外へ漏れるのを防ぐ役割を果たします。防音機能を持つ塗料は、特殊な構造や材料により音波を吸収、または拡散させ音波の伝播を抑える機能を持っています。
遮音機能を持つ塗料は、遮音塗料は、音波が物質を通り抜けるのを物理的に妨げ、外部からの音の侵入と室内の音の外部への漏れを低減します。
その為、外部からの騒音や振動の低減により、室内環境が快適になったり、室内の音が外へ漏れにくくなり、プライバシーの保護に寄与します。


防火機能
防火性とは、塗料が火災に対してどれだけの抵抗力や防護機能を持っているかを表すものです。防火性を持つ塗料は、高温に晒されても簡単には発火しない、または発火しても燃え広がりにくい特性を持っています。火災が発生した際に火の拡大を遅延させたり、火の進行を抑制したりする能力を持ちます。このように万が一の火災時にも時間を稼ぎ、人々が逃げる時間を確保につながる為、建物自体の安全性が高まります。この機能は、特に建物が密集している都市部や、火災のリスクが高い場所で非常に重要とされます。



解説の通り、塗料には多様な機能があります。塗装をする際は、専門業者と共にどの塗料が適しているか、どのような機能を重視したいのか、建物の状態、地域の気象条件、および予算などを総合的に考慮して選定すると良いでしょう。

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林照剛
専門家

林照剛(1級建築施工管理技士)

株式会社ラディエント

遮熱・断熱塗装のほか、ひび割れなどに強い特殊塗装によるリフォームで省エネ(節電)を実現し、快適空間を創造します。特殊塗装に慣れた職人の丁寧な作業は、お客様から高い評価を得ています

林照剛プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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