外壁の色あせ対策
建物の外壁材は複数の種類があります。建材によって耐用年数が違ったり、それぞれの特徴からメリット、デメリットがあります。どの建材がどのような環境に適しているかそれぞれの特徴、耐久年数について解説していきます。
外壁材の種類
モルタル
ALCボード
タイル
サイディング
●窯業系サイディング
●金属系サイディング
●木質系サイディング
それぞれの特徴と、メンテナンス時期の目安
モルタル壁
モルタルとは、砂とセメントと水を混ぜ合わせ固めた建材です。それを外壁の一番外側に塗り固めることでモルタル壁が完成します。モルタルの特徴としてサイディング、ALC、タイルとは違い、壁材同士の継ぎ目がないため、目地のコーキングを補修する必要がなくメンテナンスが比較的簡単です。金属また、どんな形状の外壁にも対応できる為、デザインの自由度の高さがあることも人気な理由です。
デメリットとしては、ひび割れに弱い建材と言えます。ひび割れの原因として振動と、塗膜の劣化があります。防水性の低いモルタルを保護するためには定期的な塗装が必要になります。
メンテナンス時期の目安は10年前後となりますが、立地環境によって劣化速度はそれぞれな為、以下の症状がみられた場合は塗装のメンテナンスが必要になります。
劣化の症状
●チョーキング現象(壁を触ると白い粉が付く状態)
●ひび割れ
●塗膜の剥がれや、塗膜が膨れ上がっている
●色褪せや、コケや藻などの汚れが付着している
ALCボード
ALCとは、ケイ酸質、石灰質、セメント、アルミニウム粉末を主原料とし高温で発泡加工した軽量気泡コンクリートパネルです。ALCボードの特徴として断熱性、防火性、遮音性、調湿性に優れるなど多くのメリットがあります。重量がクリートの約1/4と軽量な為、建物への負担も軽く耐震性も高いといえます。定期的に塗装のメンテナンスを行うことで、50年以上もつと言われています。
デメリットとしては、吸水性が高い建材であるため定期的に塗装を行い防水性を保つ必要があります。また、ALC壁の住宅はALCパネル同士のつなぎ目が多くあるため、コーキング材の劣化を見逃しやすく雨漏りが発生する例が多くあります。
メンテナンス時期の目安は10年~15年辺りですが、モルタル同様で立地環境によって劣化速度はそれぞれな為、以下の症状がみられた場合は塗装のメンテナンスが必要になります。
劣化の症状
●チョーキング現象(壁を触ると白い粉が付く状態)
●ひび割れ
●塗膜の剥がれや、塗膜が膨れ上がっている
●色褪せや、コケや藻などの汚れが付着している
●綱ぎ目の隙間を埋めているコーキングのひび割れ
タイル壁
タイル壁とは、粘土を主成分とした原料を板状に焼き固めた建材です。防水性に優れ汚れにくくい特徴があります。また強度もあるので傷に強く、紫外線による変色や褪色といった経年劣化もほとんどないので、他の壁材が経年劣化するのに対してタイル自体の変質はほとんどありません。ただ、衝撃には弱く強い衝撃でひび割れしたり、経年で取付け部分からの浮きや剥がれがおき落下してしまう場合がありますので、やはり定期的に点検は必要です。
メンテナンス時期の目安は、20年~30年辺りですが、他の壁材同様で立地環境によって劣化速度はそれぞれな為、以下の症状がみられた場合は塗装のメンテナンスが必要になります。
劣化の症状
●ひび割れ
●タイルが下地から浮きあがっている
●タイルが剝がれている
●目地のコーキングが割れている
●白華現象(エフロレッセンス現象)といって、白い汚れが出てきている状態
窯業系サイディング
窯業系サイディングは、セメント質と繊維質などの原料を板状に形成したもので、近年では約70%の住宅で採用され最も人気がある建材です。さまざまなメーカが製造しているので、色やデザイン、機能性も非常に豊富です。また、施工も比較的容易であり、建材としてコストパフォーマンス優れています。デメリットとしては、ALC壁と同様にサイディング同士のつなぎ目が多く、外壁材の劣化よりも早く目地が劣化するため雨水浸入リスクが高い外壁材といえます。また、塗装のタイミングを延ばし過ぎるとボードが反り返り始めひび割れが発生してきます。このような劣化が進行すると、塗装だけのメンテナンスでは対応できず、新しく張り替える必要も出てくるので10年目辺りから点検することが重要です。
メンテナンス時期の目安は、10年前後ですが他建材同様で立地環境によって劣化速度はそれぞれな為、以下の症状がみられた場合は塗装のメンテナンスが必要になります。
劣化の症状
●チョーキング現象(壁を触ると白い粉が付く状態)
●ひび割れ
●塗膜の剥がれ
●建材板が反っている
●色褪せや、コケや藻などの汚れが付着している
●綱ぎ目の隙間を埋めているコーキングのひび割れや、欠落
金属系サイディング
金属サイディングは、金属板を成形・加工して柄付けし、断熱材で裏打ちした外壁材です。
表面の金属板には、溶融亜鉛メッキ鋼板・ガルバリウム鋼板・アルミニウム合金・ステンレス鋼板などが使用され、金属板の種類によって耐久性やコストに大きな差があります。外壁材としては軽量なので、モルタル外壁の重ね貼り(カバー工法)にも使用されます。
メンテナンス時期は、10年~15年が目安になります。金属素材なので、ひび割れの心配はありませんが錆び対策のために定期的な塗装を行うと長期的に美観を保ち、耐年数を延ばすことができます。
劣化の症状
●チョーキング現象(壁を触ると白い粉が付く状態)
●塗膜の剥がれ
●塗膜の膨れ
●錆びの発生
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは、塩化ビニルなど樹脂(プラスチック)を主原料としており非常に軽量な建材です。重量は窯業系サイディングに比べると10分の1程度とされ、建物への負荷を軽減できます。また、耐用年数も長くメンテナンスがほぼ不要でで30年前後持つとされています。北米で主流となっている建材ですが、日本でのシェアは5%未満とまだまだ少ない建材です。建材の特徴として凍害によるひび割れに強いため、寒冷地域の住宅に適しています。また、海沿いの地域で多い塩害による腐食にも強いとい強みもあります。デメリットとしては、サイディング材の中で一番高価でもあり、施工できる業者も少ないです。また、色やデザインの種類が少ないためデザイン性を求める方には不向きと言えます。
メンテナンス時期は、築30年辺りが目安です。樹脂系サイディング自体に撥水性があるため塗装をすると塗膜が剥離しやすい建材です。そのためメンテナンスとしては基本的に張り替えになります。劣化の進行状況によっては部分張り替えのみも可能です。
劣化の症状
●建材がもろくなる
●割れ
木質系サイディング
木質系サイディングとは、木材の表面を加工して薄い板状のにしたものを外壁に貼りつけて使用します。天然の木材なので見た目も自然な風合いで温かみがあります。この自然な風合いは、経年とともに色を変え味わい深くなるのも魅力の一つと言えるでしょう。また、断熱効果が高く夏や冬の気温の変化に左右されにくく、他の建材よりも室温を快適な状態で保つことができるメリットもあります。デメリットとしては、木材のサイディングを施工する業者が少ないことと、天然木を使用するため他の建材よりも価格が高めな傾向があります。また、他の建材よりも劣化が早いのでメンテナンスの周期が短く維持費がかかります。
メンテナンス時期は、約7年前後です。他の建材よりも劣化が早いので定期的に点検をし、劣化が見られたら早めに塗装をすることで建材自体の寿命を延ばすことができ、長期的に美観を保つことができます。
劣化の症状
●カビや苔、藻などの発生
●反り返り
●ひび割れ
●塗膜の剥がれ