ALC造のメリットは?・デメリットは?

林照剛

林照剛

テーマ:外壁の種類

ALCとは軽量気泡コンクリート(製造メーカーによってはヘーベルという場合もある)この建材は幅60cm×厚10cm×長さ3m程度の板状に成型された建材で、 昭和50年代頃から鉄骨造建物の外装建材として多く使われるようになりました。
特徴として、多孔性・軽量・無機質で工業化製品としてJISの規格を取得し、 工場生産で品質が安定しており軽量ということで、 施工性も良く現在でも多くの建物で使われています。



ALCのメリットは

①軽量
何故軽いことがそんなにメリットになるのでしょうか?
それは、 軽量 = 施工性アップ = 工期の短縮 = コストが低い建物の工事コストが削減できることで、売りやすく、買いやすい建物を造ることが出来るからです。

②断熱性
ALC建材は多孔性の為内部に空気の気泡があり、その空気気泡が断熱効果を高めております。空気層の断熱効果が高いことは現在の建築建材の常識となっており、たとえばペアガラスや発泡スチロールなども内部にある空気層により断熱性能を高めています。その為、夏は涼しく、冬は暖かい建物になるのです。

③品質
建物は現場作業で作られるのでどうしてもその品質管理に重点をおきますが、それなりの熟練した技術が必要となります。その為工場生産で部材を組み立てる、プレハブ工法も多く存在しますが、ハウスメーカーなどが規格として作る住宅にとどまり、もう少し規模のある中規模建物には不向きです。ALC壁建材はJIS規格により品質が安定しオーダープランの建物にも適応できることなります。


ALCのデメリット

①水に弱い
本来コンクリートは耐水性建材と言われており水分を通しにくいのが特徴ですが、ALCは特徴として気泡が多くある建材になります。その為、比重(重さ)は水よりも軽いので水に浮きますが、 長時間水分が表面にかかると水が内部の気泡に浸透し耐水性能が低下します。その為、工場出荷時に外部に使用するALC板は特殊な防水材を塗って出荷するもしくは、 工事現場で防水処理をしてから仕上げを行うことになります。

②強度が弱い(一般的なコンクリートと比較するとです。)
ここで前置きをしておかなければならないのが、一般的なコンクリートと比較すると、ということなので、 一般的な建材と比較してではありませんので誤解がないようお願いします。
では何故、一般的な建材と比較では無く普通のコンクリートと比較しなければならないのでしょうか?
それは、仕上げに使う材料が鉄筋コンクリート建物に使われるものと同じ物を使用するからです。比較的弱いALC建材  は表面の付着力も弱くなります。その為多くの建物で防水材としているシーリング材料もALCの表面付着力に合わせて弱い物を使用します(ウレタンシーリング材など)そういったことから耐久性にも影響が出てしまうのです

③ 建物全体に継ぎ目が多くなる。
 ALC建材は幅600mm×厚さ100mm×長さですので、パネルの継ぎ目がとても多くなります。
 これは何を意味するのかというと、
 ・継ぎ目が老朽化するとその防水性が低下し雨漏りの原因となる
  ・その継ぎ目シーリングの寿命が他の部分より短い
 ・メンテナンス工事ではその目地処理が全て必要となりコストが高くなる

④タイル貼りの下地としては適しておりません。
耐水性が弱いならタイルを貼ることで耐水性が向上するという考えもありますが、ここでは経年によりメンテナンスをする時期に起こる現象から考えております。タイル貼りも初期のころは良いのですが、経年によるタイル目地の劣化や地震の揺れによるひび割れなどから長期的には壁内部に水分が吸収され、水分を吸収したALC基材はタイル面との付着力も低下し剥離の原因にもなりかねません。


弱点を防ぐ方法

•耐水性能については仕上げ材の種類にもよりますがALC壁面に適した防水性能の高い材料があります。
•表面付着力と伸縮性がALC建材に適しているシーリング材料があります。
•高耐久&防水性の良いシーリング材を使用することで長期間の防水性能が保てます。
•外装メンテナンスと同時にタイル浮調査と貼り替え、目地補強をすることができます。

ただし、このような処理も決して特殊なことではありませんが、 正しいALC建材に関する知識と工事の経験がある工事会社に依頼することをお勧めします。経験や知識が無いと、ちょっとした箇所の判断ミスが建物に影響を与えてしまうこともあるので注意が必要です。

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林照剛
専門家

林照剛(1級建築施工管理技士)

株式会社ラディエント

遮熱・断熱塗装のほか、ひび割れなどに強い特殊塗装によるリフォームで省エネ(節電)を実現し、快適空間を創造します。特殊塗装に慣れた職人の丁寧な作業は、お客様から高い評価を得ています

林照剛プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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