【大阪市】孤独死の葬儀はどうなる?費用は?知っておきたい基礎知識
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「火葬場の予約が1週間以上とれず、葬儀ができない・・・」。
こうした深刻な「葬儀待ち(火葬待ち)」の問題は、東京や大阪などの大都市圏特有の課題だと思われていませんか?
しかし、その常識は、もはや過去のものとなりつつあります。
近年、これまで問題にならなかったはずの地方都市や過疎地域ですら、火葬場の不足が深刻化し、ご逝去から1週間、長い時には10日以上も火葬ができないという、衝撃的な事例が実際に起き始めているのです。
今回は、全国的な問題となりつつある「火葬場不足」をテーマに、
- なぜ地方でも火葬場が足りなくなっているのか?その構造的な原因
- 「葬儀待ち」が長引くことで遺族を襲う、金銭的・精神的な二重の負担
- 長期安置に備えるための具体的な選択肢「エンバーミング」とは
- これからの時代に必須となる、葬儀社選びの新たな基準
などを、警鐘を鳴らす意味も込めて、詳しく解説していきます。
【結論】火葬場不足は全国的な問題へ。原因は“火葬場の統廃合”。長期安置に備えた葬儀社選びが地方でも必須の時代に
先日、ある地方都市で葬儀のお手伝いをした際、私たちは信じがたい現実に直面しました。
その地域では、近隣の市町村がそれぞれ運営していた複数の火葬場が老朽化で相次いで廃止・集約され、たった一つの新しい広域火葬場に需要が殺到。結果、火葬の予約が10日以上も先まで埋まっていたのです。
ご遺族は、愛する家族を亡くした深い悲しみに加え、
- 葬儀の日程がいつになるか分からないという「先の見えない不安」
- ご遺体の状態を保つためのドライアイスなど「日々の追加費用」
- 遠方の親族との「日程調整の困難」
という、三重苦に苛まれることになりました。
これは、もはや他人事ではなく、地方自治体の財政難を背景とした火葬場の統廃合は、全国的な大きな流れです。
これからの時代は、都市部だけでなく、地方においても「葬儀はすぐにはできないかもしれない」という前提を持ち、長期のご遺体安置に専門技術で対応できる葬儀社を選ぶことが、ご遺族の負担を軽減する上で不可欠となっています。
1. なぜ地方で?「火葬場クライシス」の知られざる3つの背景
なぜ、これまで問題のなかった地方で、急に火葬場が足りなくなるという事態が起きているのでしょうか。その背景には、大きく3つの構造的な原因があります。
原因①:自治体の財政難による「火葬場の統廃合」
地方の自治体は、人口減少と深刻な財政難に直面しています。
老朽化した複数の火葬場をそれぞれ維持・改修するには莫大な費用がかかるため、近隣の市町村が共同で一つの新しい広域斎場を建設し、古い施設を廃止するという「集約化」が全国で進んでいるのです。
原因②:死亡者数の急増に追いつかない処理能力
日本の年間死亡者数は増加の一途をたどっており、2040年には約167万人のピークを迎えると予測されています。
新しい広域斎場は、建設時点での需要予測に基づいて設計されていますが、将来の急激な需要の伸びに対応しきれていないケースが少なくありません。
結果、一つの火葬場にキャパシティを超える予約が殺到してしまうのです。
原因③:火葬炉の高性能化とメンテナンスの問題
近年の火葬炉は、環境への配慮などから性能が向上している一方、構造が複雑化しています。
そのため、1日に稼働できる回数が限られたり、定期的なメンテナンスに時間がかかったりすることも、予約枠が少なくなる一因となっています。
2. 葬儀ができない10日間…遺族を襲う「2つの負担」
「葬儀待ち」の期間が長引くことは、ご遺族に深刻な金銭的・精神的負担をもたらします。
負担①:深刻な金銭的負担(日々の追加費用)
ご遺体を衛生的に、そして尊厳あるお姿で保つため、安置日数に応じて費用が加算されていきます。
- 安置施設利用料:1日あたり 約1万円~
- ドライアイス代:1回(1日分)あたり 約1万円~
例えば10日間ご安置する場合、単純計算でドライアイス代だけで10万円以上の想定外の費用が発生することになります。
こうした事態に備え、長期安置でもご遺体を衛生的に保てる「エンバーミング(ご遺体衛生保全)」という技術も、これからの時代、重要な選択肢となります。
負担②:先の見えない精神的負担
「いつになったら、故人をきちんと送ってあげられるのだろう」という不安と焦りは、ご遺族の心を少しずつすり減らしていきます。
また、遠方に住む親族も、いつ帰省すればよいか分からず、仕事や生活の予定が立てられずに困惑してしまいます。故人とゆっくりお別れするための大切な時間が、ただただ先の見えないストレスの時間に変わってしまうのです。
【まとめ】「葬儀は数日後にできる」という“当たり前”が終わる時代へ
「亡くなれば、数日後にはお葬式ができる」という、これまでの当たり前は、もはや日本全国で通用しない時代に突入しつつあります。
この厳しい現実を、私たちは真正面から直視しなければなりません。
では、本日の重要なポイントをまとめます。
- 火葬場不足は、もはや大都市だけの問題ではない。地方でも「葬儀待ち」はすぐそこに迫る危機である。
- 主な原因は、自治体の財政難による「火葬場の集約・廃止」と、団塊世代の高齢化による「死亡者数の急増」に、インフラが追いつかないこと。[1][2]
- 葬儀が1週間以上遅れると、ご遺族には「高額な追加費用」と「先の見えない精神的疲弊」という二重の負担が重くのしかかる。
- これからの葬儀社選びは、万が一の長期安置に備え、遺体保全の専門技術(エンバーミング等)を持ち、費用に関しても誠実な説明ができるかどうかが極めて重要な判断基準となる。
- 「自分の地域はまだ大丈夫」と過信せず、もしもの時に備え、地域の火葬場の現状などを信頼できる葬儀社に事前に聞いておくことも、有効な自衛策となる。
葬儀の日程がすぐに決まらないという異常事態は、ご遺族の悲しみをさらに深く、そして複雑なものにしてしまいます。
このような状況下でこそ、ご遺族の不安に徹底して寄り添い、ご遺体を尊厳もって大切にお預かりし、先の見通しを誠実にお伝えすることが、私たちプロフェッショナルな葬儀社の最も重要な使命です。
変わりゆく社会情勢の中で、私たちも常に知識と技術を更新し、ご遺族の最後の砦とならなければならないと、決意を新たにしています。
株式会社大阪セレモニー



