【遺言書の書き方完全ガイド】自筆証書と公正証書、どっちを選ぶ?無効にならないための全知識
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「親が亡くなったが、どの銀行に口座があるか全く分からない…」
「遺品を整理しても、通帳や印鑑が見つからず、途方に暮れている」
「もしかしたら、故人に隠れた借金があったのではないか…?」
ご葬儀の後、いざ相続手続きを始めようとした矢先、この「財産調査」という、あまりにも高く、そして分厚い壁に突き当たり、呆然としてしまうご遺族は少なくありません。
故人の財産がどこに、何が、どれだけあるのか。
それを知らなければ、相続手続きは、一歩たりとも前に進めることができないのです。
今回は、すべての相続の出発点となる、この「死後の財産調査」をテーマに、
- なぜ、財産調査は“時間との勝負”なのか
- 通帳がなくても銀行口座を特定する、具体的な方法
- “隠れた借金”を見つけ出す、プロの調査テクニック
- どうしても見つからない時に、絶対に頼るべき専門家
などを、徹底的に分かりやすく解説していきましょう。
【結論】財産調査は“相続放棄”の期限との戦い。手がかりを探し、専門家へ依頼を
故人の財産調査は、相続手続きを進める上で、最も重要かつ、最初に行うべき最優先の作業です。
預貯金や不動産といった「プラスの財産」だけでなく、借金やローン、誰かの保証人になっていないかといった「マイナスの財産」も、そのすべてを洗い出す必要があります。
しかし、この財産調査には、法的な知識が必要な上、非常に手間と時間がかかります。そして何より、「相続放棄」を検討する場合、その期限は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」と、法律で厳格に定められているのです。
この限られた時間内に、すべての財産と負債を調査し、相続するか放棄するかの重大な決断を下すのは、深い悲しみの中にいるご遺族にとって、あまりにも過酷な作業と言えるでしょう。
通帳や印鑑が見つからなくても、諦める必要はありません。
故人宛の郵便物やキャッシュカードといった、わずかな「手がかり」から調査を進めることは可能です。
しかし、自力での調査に限界を感じたら、相続トラブルや期限切れのリスクを避けるためにも、無理をせず、できるだけ早い段階で弁護士や司法書士といった専門家へ相談すること。
それが、最も確実で、賢明な選択なのです。
1. なぜ、財産調査は“時間との勝負”なのか?
財産調査の結果によって、相続人が取れる選択肢は、天国と地獄ほどに変わってきます。
■ 財産調査の3つの目的
①遺産分割協議のため:誰がどの財産をどれだけ相続するかを話し合う「遺産分割協議」の、絶対的な前提として、全財産を正確に把握する必要があります。
②相続税申告のため:相続財産の総額を確定させ、相続税の申告が必要かどうかを判断し、納税額を計算します。
③相続方法を決定するため:調査結果に基づき、以下の3つの相続方法から、どれを選ぶかの重大な決断を下します。
■ 相続の3つの選択肢と、非情なタイムリミット
- 単純承認:プラスもマイナスも、全ての財産を無条件に相続する方法。
- 限定承認:プラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産を相続する方法。
- 相続放棄:プラスもマイナスも、一切の財産を相続しない方法。
特に、借金の方が多い場合に選択する「相続放棄」と「限定承認」は、家庭裁判所への申立てが必要で、「相続の開始を知った時から3ヶ月」という、極めて厳しい期限が定められています。
このため、迅速な財産調査が、文字通り、ご遺族のその後の人生の命運を分けることになるのです。
2. 【プラスの財産】預貯金・不動産の探し方・調査手順
まずは、故人のご自宅を丁寧に捜索し、財産の存在を示す「手がかり」を見つけることから始めます。
■ 預貯金の調査
STEP1:手がかりを探す
通帳やキャッシュカードはもちろんのこと、金融機関からの郵便物(取引報告書、満期案内、ダイレクトメールなど)が、最も有力な手がかりとなります。
その他、手帳やカレンダーへのメモ、PCのブックマーク、財布の中のカード類も、くまなく確認しましょう。
STEP2:金融機関へ、残高証明書と取引履歴を請求
手がかりのあった金融機関の窓口へ、相続人であることを証明する書類(故人の除籍謄本、ご自身の戸籍謄本、身分証明書など)を持参します。
そして、「死亡日時点の残高証明書」と、可能であれば過去5~10年分の「取引履歴」の発行を依頼します。
取引履歴は、生前の不自然なお金の動き(使い込みなど)がなかったかを確認するためにも、非常に重要です。
■ 不動産の調査
- 手がかり:「権利証(登記識別情報通知)」が最も確実ですが、見つからない場合も多いでしょう。その場合、毎年4~6月頃に市区町村から送られてくる「固定資産税の納税通知書」が、極めて有力な手がかりとなります。
- 「名寄帳(なよせちょう)」の取得:故人が所有していた不動産があると思われる市区町村の役所(資産税課など)で、「名寄帳」の写しを取得します。これにより、その自治体内に、故人名義の不動産が他にないか、一覧で確認することができます。
3. 【マイナスの財産】“隠れた借金”を見つけ出す、プロの調査方法
プラスの財産よりも格段に見つけにくいのが、借金です。これを調査せずに放置すると、ある日突然、多額の返済を迫られることになりかねません。
■ 借金・ローンの調査
STEP1:手がかりを探す
消費者金融からの郵便物、ローン契約書、督促状、クレジットカードの利用明細などを、徹底的に探します。
STEP2:「信用情報機関」へ、情報開示請求を行う
これが、借金調査の最も確実で、網羅的な方法です。個人の借入状況は、以下の3つの信用情報機関に登録されています。
相続人として、故人の信用情報を開示請求することができます。
・CIC(シーアイシー):主に信販会社、クレジットカード会社系の情報
・JICC(ジェイアイシーシー):主に消費者金融系の情報
・KSC(全国銀行個人信用情報センター):主に銀行系の情報
相続放棄を検討する上で、極めて重要な情報となるため、この3機関すべてに照会をかけることを、強くお勧めします。[/No箇条書き]
【まとめ】相続は“時間との勝負”。一人で抱え込まず、専門家を頼ろう
財産調査は、ご遺族だけで完璧に行うのは、非常に困難な作業です。
特に、故人がどこに財産を遺しているか全く見当がつかない場合や、相続人が複数いて多忙な場合は、専門家の力を借りるのが賢明な判断と言えるでしょう。
では、本日のポイントをまとめます。
- 財産調査は、相続の方向性を決めるための第一歩であり、プラスもマイナスも全て調べる必要がある。
- 相続放棄には「3ヶ月」という極めて短い期限があるため、調査は迅速に行わなければならず、まさに“時間との勝負”。
- 通帳がなくても、郵便物や納税通知書、そして「名寄帳」といった手がかりから、不動産や預貯金の調査を進めることができる。
- 借金の有無を網羅的に調べるには、「信用情報機関」への開示請求が、最も確実で有効な手段。
- 自力での調査に限界を感じたら、期限切れという最悪の事態を避けるため、すぐに弁護士や司法書士に相談する。
ご葬儀の場で、故人様を偲ぶご遺族が、その数ヶ月後、財産の在処が分からず、あるいは予期せぬ借金の発覚で、途方に暮れる。
そんな姿を見るのは、私たちにとっても非常に辛いことです。
そうした事態に陥らないためにも、故人自身が、元気なうちに財産目録を遺しておくことの重要性を、私たちは改めて感じずにはいられません。
株式会社大阪セレモニー



