【要注意】デジタル遺産トラブルが急増しています。
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「終活って、よく聞くけど具体的にいつから始めればいいの?」
「定年退職を迎える60代くらいから考えれば十分かな?」
「まだ元気なのに、死ぬ準備なんて縁起でもない…」
終活の重要性は理解しつつも、その始めるタイミングに迷ったり、心理的な抵抗を感じたりする方は少なくありません。
しかし、私たち葬儀のプロは、その「先延ばし」が、後にどれほど深い後悔を残されたご家族に与えるかを、嫌というほど目の当たりにしてきました。
今回は、この極めて重要な「終活を始める理想のタイミング」をテーマに、
- なぜ「60代からでは遅い」と断言できるのか、その医学的・法的な根拠
- 終活を意識すべき、人生の3つの“サイン”
- 【年代別】50代、60代、70代で、最低限やっておくべき終活リスト
- 今日からできる!終活の、最も簡単で、確実な“最初の一歩”
などを、徹底的に分かりやすく解説していきましょう。
【結論】終活は「判断能力が確かなうち」が鉄則。思い立った“今”が始めどき
結論から申し上げますと、終活を始めるのに「早すぎる」ということは、決してありません。
むしろ、巷でまことしやかに言われる「60代から始めれば良い」という考え方では、すでに手遅れになってしまう可能性があるというのが、私たちの現場での偽らざる実感です。
なぜなら、終活で取り組むべき、
- 遺言書の作成
- 任意後見契約の締結
- 生前贈与
- 不動産の売却
といった、極めて重要な事柄の多くは、ご本人の「明確な判断能力」がなければ、法的に有効なものとして実行することが、一切できなくなるからです。
認知症や突然の病気で判断能力が低下した後では、できることは非常に限られてしまいます。
したがって、終活を始める理想のタイミングとは、年齢で機械的に区切るものではなく、
「心身ともに健康で、冷静な判断ができるうち」
「終活の必要性を感じた、まさにその時」
つまり、「今」なのです。
1. なぜ「60代では遅い」のか?終活と“判断能力”の残酷な関係
終活を、単なる「死ぬ準備」と捉えていると、その本質と、始めるべきタイミングを見誤ります。終活とは、「残りの人生を、自分らしく、より豊かに生きるための、前向きな準備活動」なのです。
■ 60代からでは遅い、2つの医学的・物理的理由
① 判断能力の低下リスク
厚生労働省の調査によると、65歳以上の高齢者のうち、約6人に1人が認知症であると推計されています。
特に、60代後半から70代にかけて、その発症リスクは急激に高まります。
一度、認知症が進行し、判断能力が不十分とみなされてしまうと、預金口座は事実上凍結され、不動産の売却も、有効な遺言書の作成も、法的に不可能になります。
まさに、全ての道が閉ざされてしまうのですね。
② 体力の低下
終活には、家の片付け(生前整理)や、役所・金融機関を回っての手続きなど、私たちが想像する以上に、体力と気力が必要です。
「いつかやろう」と思っているうちに、気力や体力が衰え、重い腰が上がらなくなってしまう。これもまた、多くの方が陥る現実です。
「まだ自分は大丈夫」という、その根拠のない過信こそが、将来のご家族に、計り知れないほどの精神的・経済的負担を遺してしまう、一番の原因となるのかもしれません。
2. 人生の“節目”が始めどき!終活を意識すべき3つのタイミング
年齢に関わらず、以下のような人生の節目は、ご自身のこれからを、そして「終わり方」を考える、絶好の機会と言えるでしょう。
タイミング①:子供の独立や結婚
ご自身の肩の荷が下り、人生の一区切りがついた時です。
「自分のため」だけでなく、「残される子供たちに、決して迷惑はかけたくない」という、親としての愛情の視点から、終活を始めるきっかけになります。
タイミング②:定年退職
仕事中心だった生活から、第二の人生へと移行する、最も大きな転機です。
時間に余裕ができるこの時期に、これまでの人生を振り返り、これからの生き方を考える「人生の棚卸し」として、終活に取り組むのに最適です。
タイミング③:親の介護や死、自身の病気
身近な人の「死」に直面したり、ご自身の健康診断の結果に不安を感じたりした時。
「明日は我が身」として、終活を、より現実的で、切実な課題として捉えることができるようになります。
3. 【年代別】いつ、何から始める?後悔しないための終活ロードマップ
どの年代から始めても良いのですが、一つの目安として、それぞれの年代で、最低限これだけは取り組んでおきたい、という課題をご紹介します。
【50代~】準備期:情報収集と“人生の棚卸し”
まだ心身ともにエネルギーに満ち溢れている50代は、終活の“助走期間”です。
- エンディングノートを書き始める:まずは、市販のエンディングノートを一冊購入し、書けるところから、気軽に自分の考えや情報を整理してみましょう。これが、すべての始まりです。
- 資産の“見える化”:預貯金、保険、不動産、ローンなど、ご自身の財産の全体像を、一覧表にまとめてみます。
- 健康管理とセカンドキャリアの検討:これからの人生をどう健康に、そしてどう生きがいを持って過ごすかを考え始めます。
【60代~】実行期:具体的な“手続き”と“意思決定”
定年を迎え、時間に余裕ができる60代は、終活の本格的な実行期間です。
- 家の片付け(生前整理):体力があるうちに、不要なものを処分し、身の回りをスッキリさせます。
- 法的な意思表示:遺言書の作成や、認知症に備える任意後見契約の検討など、法的な効力を持つ形で、ご自身の意思を、明確に残しておきます。
- 葬儀・お墓の具体化:葬儀社に生前相談し、ご自身の希望する葬儀の見積りを取るなど、より具体的な準備を進めます。
【70代~】総仕上げ期:“情報共有”と“見直し”
70代は、これまでの準備を総仕上げし、その情報を、確実に次世代へ引き継ぐための期間です。
- 家族への情報共有:完成させたエンディングノートや、遺言書、重要書類の保管場所を、信頼できるお子様などに、明確に伝えておきます。「ここに全てある」と伝えておくだけで、家族の負担は劇的に減ります。
- 定期的な見直し:家族構成や心境の変化に応じて、エンディングノートや遺言書の内容を、年に一度は見直し、更新します。
【まとめ】終活の第一歩は“知る”こと。そして、想いを“書き残す”こと
ここまで読んで、「やっぱり、やるべきことが多くて大変そうだ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、終活は、決して一度にすべてをやろうとする必要はないのです。
では、本日のポイントをまとめます。
- 終活の成否は「判断能力」と「体力」が鍵。心身ともに元気なうちに始めるのが、絶対的な鉄則。
- 年齢で区切るのではなく、「終活の必要性を感じた“今”」が、あなたにとっての最高の始めどき。
- 60代からでは、認知症などのリスクにより、遺言書の作成や不動産売却といった、重要な法的行為ができなくなる可能性がある。
- 最初の一歩として、まずは市販の「エンディングノート」を一冊購入し、ご自身の想いや情報を、書けるところから書き出してみることが、最も有効。
- 終活は、残される家族のためであると同時に、ご自身の残りの人生を、より豊かに、安心して生きるための、未来への投資。
ご葬儀の場で、ご遺族が「生前、父がノートに色々書き残してくれていたので、本当に助かりました」と、穏やかな表情で話してくださることがあります。
それは、故人が遺してくれた想いのバトンが、残された家族を支え、導いている、何よりの証拠なのですね。
私たち葬儀社も、ご葬儀の生前相談はもちろん、エンディングノートの書き方のアドバイスや、遺言書・後見制度に詳しい専門家のご紹介まで、皆様の終活をトータルでサポートしております。
株式会社大阪セレモニー



