【世帯主が死亡】死後14日以内の「世帯主変更届」とは?手続きしないとどうなる?

山田泰平

山田泰平

テーマ:契約関係

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

ご家族がお亡くなりになった後、ご遺族には、死亡届の提出から始まり、健康保険や年金、相続に関する手続きなど、本当に多くの手続きが必要になります。

その中でも、もし亡くなられた方が「世帯主」であった場合、通常の手続きに加えて、さらに特別な手続きが必要になることをご存知でしょうか?

世帯主は、その世帯の代表者として、行政サービスの基本単位となる重要な存在です。

そのため、世帯主が亡くなった場合は、残されたご家族がその後の行政サービスを滞りなく受けられるようにするための、いくつかの重要な手続きが求められます。

これらの手続きを怠ってしまうと、「行政からの重要な通知が届かない」「国民健康保険料の請求がおかしい」といった、生活に直結する不利益が生じる可能性があるのです。

そこで今回は、この見過ごされがちだが極めて重要な「世帯主が亡くなった場合の手続き」をテーマに、

  • 「世帯主変更届」は、どんな時に必要で、どんな時に不要なのか
  • 14日以内という、タイトな提出期限の重要性
  • 公共料金からNHKまで、名義変更が必要な手続きの全リスト
  • 膨大な手続きを、混乱なくスムーズに進めるための実践的なコツ


などを、徹底的に分かりやすく解説していきましょう。

【結論】残された世帯員が2人以上なら、14日以内に「世帯主変更届」が必須

世帯主が亡くなられた場合に、まず最初に行うべき、最も基本となる手続きが「世帯主変更届」の提出です。

これは、残された世帯員の中から新しい世帯主を一人決めて、お住まいの市区町村役場に届け出る手続きですね。

ただし、この世帯主変更届は、全てのご家庭で必要になるわけではありません。その要・不要の判断基準は、非常に明確です。


【世帯主変更届が“必要”なケース】
世帯主が亡くなり、残された世帯員が2人以上いる場合
(例:父が世帯主で、母と子が残された場合など)


【世帯主変更届が“不要”なケース】

  1. 残された世帯員が1人だけになる場合(その人が自動的に新しい世帯主となります)
  2. 残された世帯員が「15歳未満の子供とその親権者(母親など)」のみの場合(親権者が自動的に世帯主となります)

もし、あなたの世帯が「必要」なケースに該当する場合、原則として、世帯主が亡くなった日から「14日以内」に、届け出なければならないと、法律で定められています。

この期限を正当な理由なく過ぎてしまうと、過料(罰金)が科される可能性もあるため、注意が必要でしょう。

さらに、世帯主変更届以外にも、公共料金や各種契約の名義変更など、やるべきことは山積みです。これらを計画的に、そして正確に進めていくことが、残されたご家族のその後の生活を安定させる上で、極めて重要となるのです。

1. なぜ必要? 世帯主の死亡で、行政サービスが止まるリスク

そもそも、なぜ世帯主が亡くなると、特別な手続きが必要になるのでしょうか?

それは、「世帯主」が、単なる家族の代表というだけでなく、行政サービスを提供する上での「世帯の窓口」として、法的に位置づけられているからです。

  • 住民票の筆頭者:世帯主は、住民票において、その世帯を代表する者として登録されています。
  • 行政からの通知の宛先:選挙の投票案内、税金の通知書、各種助成金の案内など、行政からの重要な通知の多くは、世帯主宛に送付されます。
  • 国民健康保険の納付義務者:これは非常に重要なポイントです。国民健康保険では、世帯主が、その世帯に加入している家族全員分の保険料の納付義務者となります。たとえ世帯主自身が、会社の健康保険に入っていて国保の被保険者でなくても、この義務は変わりません。

世帯主が亡くなった後、これらの情報を正しく更新しておかなければ、行政は正確な世帯状況を把握できず、適切な行政サービスを提供できなくなってしまいます。

最悪の場合、必要な給付が受けられなくなったり、保険料の請求に混乱が生じたりする可能性があるのです。

2. 【最重要】「世帯主変更届」― 手続きの全知識

では、この最も重要な手続きについて、その詳細を見ていきましょう。


■ 法的根拠

住民基本台帳法第25条において、世帯主に変更があった日から14日以内に、その旨を届け出ることが義務付けられています。


■ 提出期限と窓口

  1. 提出期限:原則として、世帯主が亡くなった日(または変更があった日)から14日以内です。死亡届の提出(7日以内)と、同じタイミングで役所に行った際に、併せて行うと非常にスムーズです。
  2. 提出場所:お住まいの市区町村の役所(役場)の、住民課や戸籍住民担当課といった窓口です。



■ 誰が、何を持っていく?
届け出る人:新しく世帯主になる方、または、同じ世帯の方が届け出るのが一般的です。

もし、代理人が届け出る場合は、委任状が必要になることが多いので、事前に役所に確認しましょう。

必要な持ち物:

  • 届出人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 届出人の印鑑(認印で可。自治体によっては押印不要の場合も)
  • (該当する場合)世帯全員分の国民健康保険証
  • (該当する場合)委任状



■ もし、手続きをしないとどうなる?

正当な理由なく期限内に届け出なかった場合、住民基本台帳法に基づき、5万円以下の過料が科される可能性があります。

また、前述の通り、行政サービスが適切に受けられなくなる、といった実生活上の不利益が生じる恐れもあるため、必ず期限内に手続きを済ませましょう。

3. まだまだある!世帯主変更に伴う「名義変更」手続きの全リスト

世帯主変更届は、あくまでスタートラインです。

故人が世帯主として契約していた、生活に密着した様々なサービスの名義変更や解約が、ここから始まります。


■ 必ず確認すべき手続きリスト

  • 公共料金(電気・ガス・水道):契約者が故人だった場合、そのまま使い続けるなら名義変更、空き家になるなら解約の手続きが必要です。検針票や領収書に記載されている各事業者へ連絡します。
  • NHK受信料:契約者変更または解約の手続きを、NHKのふれあいセンターへ連絡して行います。
  • 電話・インターネット・携帯電話:契約の承継(名義変更)または解約の手続きが必要です。承継できる条件は、各通信会社によって異なります。
  • 金融機関(銀行口座):故人名義の口座は、死亡の事実を伝えた時点で凍結されます。家賃や公共料金の引き落とし口座になっていた場合は、大至急、引き落とし口座の変更手続きを行わなければなりません。
  • クレジットカード:故人名義のカードは、カード会社へ連絡して解約します。家族カードも原則として使えなくなりますので、注意が必要です。
  • 保険(生命保険・損害保険):死亡保険金の請求や、故人が契約者だった保険の契約者変更手続きなどを行います。
  • (賃貸住宅の場合)賃貸借契約:大家さんや管理会社と協議し、契約を引き継ぐか、解約するかを決め、手続きを進めます。
  • その他:証券口座、各種会員権、動画配信などのサブスクリプションサービスに至るまで、故人が契約していたものは全て確認し、一つひとつ解約や名義変更の手続きが必要となります。

これらの手続きは、それぞれ窓口も期限も必要書類もバラバラです。

一つずつ、根気強く進めていくしかありません。

4. 膨大な手続きを、混乱なくスムーズに進めるための4つのコツ

これだけ多くの手続きがあると、何から手をつけていいか分からず、パニックになってしまいますよね。

混乱を最小限に抑えるためには、以下の4つのコツを意識すると良いでしょう。

①「やることリスト」を作成し、“見える化”する:これが最も効果的です。やるべき手続きをすべて書き出し、「担当窓口」「期限」「必要書類」「担当者(家族内で分担する場合)」などを一覧表にまとめ、終わったものからチェックを入れていきましょう。頭の中が整理され、進捗が一目で分かります。

②必要書類は、まとめて複数枚取得しておく:死亡診断書のコピー、故人の除籍謄本、相続人の戸籍謄本・印鑑証明書などは、多くの手続きで何度も提出を求められます。役所で手続きをする際に、あらかじめ複数枚ずつ取得しておくと、その都度取りに行く手間が省け、非常に効率的です。

③遺品の中から“契約書類”を探し出す:故人の遺品を整理する際は、まず、あらゆる契約書類、請求書、領収書、保険証券、年金手帳などを探し出し、一つの箱にまとめておきましょう。これが、手続きを進める上での、貴重な情報源となります。

④分からないことは、すぐに聞く。専門家も頼る:各手続きの窓口に、不明な点は遠慮なく問い合わせましょう。また、手続きが複雑で手に負えない、時間がない、という場合は、行政書士(役所手続き、契約解除など)や司法書士(相続登記など)といった専門家に、費用はかかりますが、依頼することも有効な選択肢です。

【まとめ】世帯主の死後は“情報戦”。計画的な準備が、家族の生活を守る

世帯主の死後に発生する膨大な手続きは、まさに“情報戦”です。

正しい情報を、いかに効率的に集め、計画的に処理していくか。

それが、残されたご家族のその後の生活を、スムーズに軌道に乗せられるかどうかを左右します。

では、本日のポイントをまとめます。

  • 世帯主が亡くなり、残された世帯員が2人以上いる場合、14日以内に「世帯主変更届」の提出が法律で義務付けられている。
  • この届出を怠ると、過料のリスクがあるだけでなく、国民健康保険など、行政サービスに支障が出る可能性がある。
  • 世帯主変更届と同時に、公共料金、NHK、金融機関など、故人が契約していたあらゆるサービスの名義変更・解約手続きが発生する。
  • 膨大な手続きを乗り切る鍵は、「やることリスト」を作成して全体像を把握し、必要書類を事前にまとめて準備しておくこと。
  • 手続きの多さに圧倒されたら、一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも、残された家族の負担を軽減する賢明な判断。


ご葬儀という、非日常的で、心身ともに疲弊する儀式を終えた直後に、ご遺族は、この現実的で、あまりにも事務的な手続きの数々に、否応なく向き合わなければなりません。

その過酷なプロセスの中で、ご遺族が道に迷うことのないよう、正しい情報を提供し、道筋を照らして差し上げること。

それもまた、故人様を見送るお手伝いをさせていただいた、私たち葬儀社に課せられた、大切な社会的責任だと考えております。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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