故人を星空へ。壮大なスケールで送る「宇宙葬」とは?
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「うちは、お付き合いのあるお寺(菩提寺)なんてないんだけど、仏式の葬儀はできるのだろうか?」
核家族化が進み、地域やお寺との繋がりが希薄になった現代において、こうした「菩提寺のない方の葬儀」に関するご相談は、私たち葬儀社に寄せられる質問の中でも、群を抜いて多いものの一つです。
お寺との付き合いがないからといって、仏式の葬儀ができないわけでは、決してありません。
しかし、そこには知っておくべき、いくつかの重要な手順と、注意点が存在するのです。
今回は、この極めて現代的な「菩提寺なしの葬儀」をテーマに、
- 誰が、どうやってお坊さんを探してくれるのか
- 事前に必ず確認すべき「宗派」の問題
- 気になる「お布施」の相場と、失礼にならない渡し方
- その後の納骨やお墓は、どうすればいいのか
などを、分かりやすく解説していきましょう。
【結論】菩-提寺がなくても仏式の葬儀は可能。葬儀社に僧侶の手配を依頼するのが一般的
特定の菩提寺がない方でも、仏式の葬儀を執り行うことは問題なく可能です。
その最も一般的で、確実な方法が、「葬儀社に、僧侶の手配を依頼する」こと。
私たちのような葬儀社は、各宗派の寺院と提携関係にあり、ご遺族のご希望に応じて、そのご葬儀のためだけに来ていただける僧侶を、ご紹介(手配)することができます。
この方法には、
- ご遺族が自らお寺を探す手間が一切かからない
- お布施の金額の目安を、事前に葬儀社を通じて確認できる
- その後の檀家付き合いなどを強要されることがない
といった、大きなメリットがあります。
お寺との付き合いがないことに不安を感じたら、まずは葬儀社に「菩提寺がないのですが、仏式でお願いできますか」と、正直に相談すること。
それが、すべての始まりであり、最も確実な解決策と言えるでしょう。
1. 僧侶手配の第一歩は「宗派」の確認から
葬儀社に僧侶の手配を依頼する際、まず最初に聞かれるのが「ご宗派は、どちらでいらっしゃいますか?」という質問です。
なぜ宗派が重要なのか:
仏教には、浄土真宗、浄土宗、真言宗、曹洞宗など、様々な宗派があり、それぞれに教えやお経、焼香の作法などが異なります。
故人様やご先祖様が信仰していた宗派があるのであれば、それに合わせるのが、最も丁寧な供養の形だからですね。
もし宗派が分からない場合は:
ご自身の宗派が分からない、という方も、今や決して珍しくはありません。
その場合は、
- ご親戚に確認する:ご実家や、ご年配のご親族に問い合わせてみましょう。ご実家のお仏壇に祀られているご本尊や、お墓(墓石に宗派が彫られていることもあります)を確認するのも有効です。
- 宗派を問わない、と伝える:どうしても分からない場合は、「特にこだわりはありません」と葬儀社に伝えれば、日本の仏教で信者数の多い宗派(浄土真宗や浄土宗など)の僧侶を手配してくれるのが一般的です。
- 無宗教葬を選ぶ:そもそも、特定の宗教形式にこだわらないのであれば、僧侶を呼ばない「無宗教葬」という選択肢もあります。
2. 最も気になる「お布施」の相場と、失礼にならない渡し方
お寺との付き合いがない方にとって、最大の悩み事が、この「お布施」の問題ではないでしょうか。
お布施とは何か:
お布施は、読経や戒名をいただいたことへの「対価」や「料金」ではありません。
それは、ご本尊へお供えする「寄付」であり、僧侶への「感謝の気持ち」を表すものです。
したがって、「いくらです」という明確な定価は存在しません。
葬儀社紹介の場合の相場:
葬儀社を通じて僧侶を手配した場合、後のトラブルを避けるため、お布施の金額の目安が、あらかじめ設定されていることがほとんどです。
地域や宗派、そして授かる戒名のランクによって大きく異なりますが、一般的な葬儀(通夜・告別式の2日間)の場合、
お布施(読経料+戒名料)の総額として、20万円~50万円程度が、一つの目安となるでしょう。
この金額には、通常、僧侶の交通費である「お車代」や、会食を辞退された場合の「御膳料」も含まれていることが多いですが、念のため葬儀社に確認しておくと、より安心ですね。
失礼にならない渡し方:
- タイミング:葬儀が始まる前の挨拶の際か、葬儀がすべて終わった後のお礼の際に、お渡しするのが一般的です。
- 包み方:奉書紙(ほうしょがみ)で包むのが最も丁寧ですが、市販の白い無地の封筒(郵便番号欄のないもの)でも構いません。不祝儀袋(水引のあるもの)は使いません。
- 表書き:表の中央上段に「御布施」と書き、その下に喪主の氏名(フルネーム)を書きます。裏面には、住所と、包んだ金額を「金〇拾萬円也」というように、旧漢字で記しておくと、より丁寧でしょう。
- 渡し方:直接手渡しはせず、切手盆(きってぼん)という小さなお盆に乗せるか、袱紗(ふくさ)に包んでおき、お渡しする際に袱紗から出して、その上に乗せて差し出します。
3. 葬儀の後、お墓や納骨はどうすればいい?
菩提寺がないということは、多くの場合、「入るべきお墓がない」ということでもあります。
葬儀が終わった後、ご遺骨をどう供養していくのかも、併せて考えておく必要があります。
- 公営・民営の霊園を探す:宗教・宗派を問わない霊園は、数多く存在します。新たにお墓を建立する、という選択肢です。
- 納骨堂を利用する:屋内の施設にご遺骨を安置する方法です。天候に左右されずお参りでき、永代供養付きのものが主流のため、承継者のいない方にも選ばれています。
- 樹木葬を選ぶ:墓石の代わりに、樹木や草花を墓標とするお墓です。自然志向の方に人気があります。
- 永代供養墓(合祀墓)に納める:お寺や霊園が、承継者に代わって永続的にご遺骨を管理・供養してくれるお墓です。他の方々と一緒に埋葬される形になります。
- 手元供養:すぐにお墓を決められない場合、しばらくの間、ご自宅でご遺骨を安置(保管)することも、もちろん可能です。
これらの選択肢についても、葬儀社が詳しい情報を提供してくれますので、焦らず、ご家族でじっくりと話し合って決めると良いでしょう。
【まとめ】菩提寺がなくても、心からの供養はできる
お寺との付き合いがないことが、故人様への供養の気持ちを妨げるものであってはなりません。
現代には、ご自身の状況に合わせた、多様な供養の形が存在するのです。
では、本日のポイントをまとめます。
- 菩提寺がなくても、葬儀社に依頼すれば、希望宗派の僧侶を手配してもらうことができ、仏式の葬儀は可能。
- 僧侶手配を依頼する際は、まず「宗派」の確認が第一歩。不明な場合は、親族に確認するか、「宗派不問」で依頼する。
- 葬儀社紹介の場合、お布施の金額の目安を事前に確認できるため、金銭的な不安が少ない。
- 菩提寺がない場合、葬儀と同時に、その後の「納骨先」についても考えておく必要がある。納骨堂や永代供養墓など、選択肢は様々。
- お寺との付き合いの有無にかかわらず、故人を敬い、心を込めて送る気持ちこそが、供養の最も大切な本質。
ご葬儀の場で、初めてお会いする僧侶様が、故人様のお人柄や生前のエピソードを、ご遺族から真摯に聞き取り、それを法話に織り交ぜて、心温まるお言葉をくださることがあります。
たとえ、その場限りのご縁であったとしても、その真摯な祈りは、きっと故人様と、そして残されたご遺族の心に、深く届くことでしょう。
形式や伝統も大切ですが、それ以上に、人と人との心の繋がりこそが、供養の原点なのだと、私たちは信じています。
株式会社大阪セレモニー



