葬儀費用の"ブラックボックス"を解明! 「葬儀本体費用」の内訳と注意点
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「もしもの時、子供たちに迷惑をかけたくない」
「自分らしいお葬式を、元気なうちに準備しておきたい」
こうした想いから、ご自身の葬儀について、生前から準備をされる方が、年々増えています。
その代表的な方法が、「互助会」「葬儀保険」、そして私たちのような葬儀社と直接結ぶ「生前契約」です。
しかし、この3つは、似ているようでいて、その仕組みも、メリットも、そして潜んでいるリスクも、全く異なります。
今回は、この「葬儀の事前準備」の3つの選択肢をテーマに、
- 「互助会」「葬儀保険」「生前契約」、それぞれの根本的な違い
- 積立金だけでは葬儀ができない「互助会」のカラクリ
- 現金で備える「葬儀保険」の自由度と、掛け捨てのリスク
- 想いを形にする「生前契約」の魅力と、葬儀社の選び方
などを、それぞれの長所・短所を公平に比較しながら、徹底的に解説していきましょう。
【結論】備え方は3種。サービスか現金か、それとも想いを託すか
葬儀の事前準備の方法は、大きく分けて3種類。
その最大の違いは、もしもの時に、何を受け取る(利用する)かという点にあります。
- 互助会:葬儀という「サービス」を、会員価格で利用する権利。
- 葬儀保険:葬儀費用にあてるための「現金」。
- 生前契約:ご自身の希望する葬儀内容を事前に確定させ、その「想い」を葬儀社に託す約束。
どの方法が一番優れている、というわけではありません。
ご自身の価値観や、何を最も重視するか(価格、自由度、希望の実現度など)によって、その最適解は全く異なるからです。
しかし、どの方法を選ぶにしても、その仕組みとメリット・デメリットを正しく、そして深く理解しておくことが、後悔しないための絶対条件です。
特に、「お得」「安心」といった耳障りの良い言葉の裏に隠された、追加費用や解約のリスクといった“不都合な真実”から、目を背けてはなりません。
1. 【選択肢①】互助会 ― “サービス”を積み立てる仕組み
将来行う葬儀のために、毎月一定の掛け金を長期間積み立て、契約したプランの葬儀サービスを会員価格で利用する権利を得る、というシステムです。
■ メリット
- 割引特典:一般価格よりも割安な会員価格で、祭壇や棺といった基本セットを利用できる場合があります。
- 計画性:毎月コツコツと積み立てることで、将来への備えをしているという安心感が得られます。
■ デメリットと、絶対に知るべき注意点
- 積立金だけでは、絶対に葬儀はできない:これが最大の注意点です。積立金は、あくまで葬儀プランの一部に充当されるだけで、飲食費、返礼品、お布施、火葬料などは、すべて別途、高額な追加費用として請求されます。
- 葬儀社を自由に選べない:その互助会が指定する葬儀社でしか、権利は利用できません。
- プランの自由度が低い:「これは不要だから安くして」といった、柔軟な変更が難しい場合があります。
- 高額な解約手数料:途中解約すると、払い込んだ総額から1~2割程度の解約手数料が差し引かれます。
- 経営破綻リスク:万が一、互助会が経営破綻した場合、法律で保全が義務付けられているのは、払込金の半額のみです。
2. 【選択肢②】葬儀保険 ― “現金”を準備する仕組み
葬儀費用に備えるための、少額短期保険の一種です。
毎月保険料を支払い、亡くなった時に、契約した保険金が受取人に現金で支払われる、というシンプルな仕組みですね。
■ メリット
- 圧倒的な自由度:これが最大のメリットです。保険金は現金で支払われるため、葬儀費用だけでなく、お墓の費用や遺品整理費用など、ご遺族が本当に必要とするものに、自由に使えます。
- 葬儀社を自由に選べる:特定の葬儀社に縛られることなく、ご自身やご家族が最も信頼できる葬儀社を、自由に選ぶことができます。
- 加入のしやすさ:高齢者向けに、簡単な健康告知だけで加入できる商品が多いのが特徴です。
■ デメリットと注意点
- 基本的に「掛け捨て」:貯蓄ではないため、保険期間中に亡くならなければ、支払った保険料は戻ってきません。
- 元本割れのリスク:長生きした場合、支払う保険料の総額が、受け取れる保険金額を上回ってしまう可能性があります。
- 加入条件:加入できる年齢に上限があり、健康状態によっては加入できない場合もあります。
3. 【選択肢③】生前契約 ― “想い”を葬儀社に託す仕組み
これは、互助会や保険とは全く異なるアプローチです。
元気なうちに、私たちのような葬儀社と直接相談し、「自分は、こんなお葬式をしてほしい」という具体的な希望を、見積りと共に書面に残しておく、という“約束”です。
■ メリット
- 希望の100%反映:これが最大の魅力です。祭壇の花の種類、流してほしい音楽、遺影に使ってほしい写真、呼んでほしい友人のリストまで、ご自身の希望を、ミリ単位で、そして具体的に形にしておくことができます。
- 費用の透明性:その希望に基づいた、詳細な見積書を作成するため、死後、ご家族が「一体いくらかかるのか」と不安になることがありません。追加料金の心配も不要です。
- 家族の負担を劇的に軽減:死後、ご家族が決めなければならないことは、ほとんどありません。ご家族は、純粋に故人を偲ぶ時間に集中することができるのです。
- 金銭的な負担がない:相談や契約自体に、費用は一切かかりません。掛け金や保険料の支払いは不要です(※葬儀費用を事前に預かる「預託型」の契約もありますが、まずは相談からで十分です)。
■ デメリットと注意点
- 法的拘束力:通常の生前契約(相談・見積り型)には、法的な拘束力はありません。あくまで、紳士協定としての「約束」です。
- 葬儀社の倒産リスク:もし、契約した葬儀社が倒産してしまえば、その約束は反故になってしまいます。そのため、経営基盤の安定した、信頼できる葬儀社を選ぶことが極めて重要です。
【まとめ】“備え”の前に、まず“知る”こと。それが後悔しないための第一歩
葬儀費用の準備は、残される家族への、最後の愛情表現の一つです。
しかし、その愛情が、知識不足から、かえって家族を縛る“足かせ”になっては、本末転倒ではないでしょうか。
では、本日のポイントをまとめます。
- 葬儀の事前準備には「サービス」で備える互助会、「現金」で備える葬儀保険、「想い」を託す生前契約の3つがある。
- 互助会は、積立金以外に必ず高額な追加費用がかかるという、最大のデメリットを絶対に忘れてはならない。
- 葬儀保険は、自由度が高い反面、掛け捨てであり、長生きすると元本割れするリスクがある。
- 生前契約は、ご自身の希望を最も忠実に反映でき、家族の負担を劇的に減らせるが、信頼できる葬儀社選びがすべて。
- 最も重要なのは、これらの“備え”を検討する前に、まず「自分はどんなお葬式をしたいのか」を、葬儀社に「事前相談」して具体化すること。
私たちは、ご葬儀の現場で、故人様が生前にご自身の希望を書き残してくださっていたおかげで、ご遺族が本当に穏やかな表情で、心から故人様に感謝しながらお見送りをされている光景を、何度も目にしてきました。
それは、故人様の「想い」という、目に見えないけれど、何よりも温かい遺産が、ご家族を支えているからに他なりません。
どんな備え方を選ぶにしても、まずはご自身の想いを整理し、それを誰かに伝えておくこと。それこそが、あらゆる事前準備の、最も確かな第一歩となるはずです。
株式会社大阪セレモニー



