葬儀場のキャンセル料トラブル〜急な延期・中止の判断基準
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「親を施設に入れたいけれど、連帯保証人になってくれる人がいない…」
「兄弟は遠方だし、甥や姪にこんな重い責任は頼めない…」
親御様の高齢者施設への入居を考えた時、多くの方がこの「連帯保証人」という高い壁に直面します。
頼れる人が見つからないばかりに、入居を諦めざるを得ないというケースも、決して少なくありません。
今回は、この避けては通れない「高齢者施設の連帯保証人問題」をテーマに、
- 「連帯保証人」と「身元引受人」の決定的な違い
- 連帯保証人が負う、あまりにも重い金銭的責任
- 保証人がいなくても入居できる、3つの具体的な解決策
- 安易に引き受けてはいけない、その理由
などを、分かりやすく解説していきましょう。
【結論】連帯保証人は「本人と同等の支払い義務」を負う重責。安易に親族に頼らず、「保証会社」の利用が現代の最適解
まず、絶対に誤解してはならないのが、「連帯保証人」と、単なる「保証人」や「身元引受人」は、その責任の重さが全く違うということ。
連帯保証人は、入居者本人の財産状況にかかわらず、施設利用料の滞納などがあれば、本人と全く同じ支払い義務を負わなければなりません。
しかし、幸いなことに、核家族化や人間関係の希薄化が進む現代において、この問題に対する社会的な解決策も進化しています。
近年では、保証料を支払うことで保証人の役割を代行してくれる「保証会社」の利用が、一般的になりつつあります。
将来の親族間トラブルを防ぎ、誰にも過度な負担をかけないためにも、まずは「保証会社の利用」や「保証人不要の施設」を検討すること。
これが、現代における最も賢明で、思いやりのある選択と言えるのではないでしょうか。
1. 「連帯保証人」と「身元引受人」、役割は全くの別物
施設入居の際、多くの場合、この2つの役割を求められます。
連帯保証人とは:
金銭的な責任を負う人です。
施設利用料や医療費などが滞納された場合に、本人に代わって全額を支払う義務があります。
身元引受人とは:
身上に関する責任を負う人です。
緊急時の連絡窓口、入院時の手続き、そして本人が亡くなられた際のご遺体や遺品の引き取り、葬儀の手配などを担います。
施設によっては、この2つの役割を、別々の人に依頼することも可能です。
2. これが現実!連帯保証人が負う、重すぎる責任
民法で定められた連帯保証人には、通常の「保証人」が持つ、以下の権利がありません。
- 催告の抗弁権がない:施設側から請求されたら、「まずは本人に請求してください」と主張できません。
- 検索の抗弁権がない:本人に支払い能力(財産)があることを証明しても、「まずは本人の財産から差し押さえてください」と主張できません。
つまり、施設側は、本人の状況にかかわらず、いきなり連帯保証人に「全額支払ってください」と請求でき、連帯保証人はそれを拒むことができないのです。
これは、事実上、もう一人の契約者になることと同義であり、極めて重い責任と言わざるを得ません。
3. 保証人がいなくても大丈夫!3つの現実的な解決策
では、頼れる親族がいない、あるいは迷惑をかけたくない場合は、どうすれば良いのでしょうか?
解決策①:家賃債務保証会社を利用する
近年、多くの高齢者施設が、この保証会社と提携しています。
入居者は、所定の保証料(初期費用や月額費用)を支払うことで、保証会社に連帯保証人になってもらいます。費用はかかりますが、誰にも気兼ねすることなく、スムーズに入居できる最も現実的な方法です。
解決策②:「保証人不要」の施設を探す
数は多くありませんが、民間施設の中にも保証人を求めない施設は存在します。
また、公的な施設である特別養護老人ホームなどは、原則として保証人は不要です。
ただし、これらの施設は人気が高く、入居待ちが長いという現実もあるでしょう。
解決策③:成年後見制度を利用する
ご本人に判断能力の不安がある場合は、家庭裁判所に申し立て、成年後見人を選任してもらう方法もあります。
後見人が財産管理をすることで、施設側が安心し、金銭的な連帯保証人が不要となるケースがあります。
ただし、身元引受人の問題は別途解決する必要があります。
【まとめ】保証人はプロに任せる時代。人間関係を壊さない選択を
連帯保証人という重い責任を、安易に親族の情に訴えてお願いすることは、時として、その後の良好な人間関係を壊す引き金にもなりかねません。
では、本日のポイントをまとめます。
- 「連帯保証人」は金銭的責任、「身元引受人」は身上の責任と、役割が全く違うことをまず理解する。
- 連帯保証人は、本人と同等の極めて重い支払い義務を負うため、安易に引き受けたり、お願いしたりすべきではない。
- 保証人が見つからない場合は、「保証会社の利用」が、誰にも負担をかけない最も賢明な解決策。
- 「保証人不要」の施設を探すことや、「成年後見制度」の利用も選択肢の一つ。
- 親の施設入居を検討する際は、必ず保証人問題もセットで考え、保証会社の費用も含めた資金計画を立てることが不可欠。
ご葬儀の現場で、亡くなられた方の身元引受人が見つからず、ご遺骨の行き先が決まらないという、非常に悲しい場面に立ち会うことがあります。
金銭的な保証は保証会社に、そして、亡くなられた後のご自身の尊厳については、「死後事務委任契約」を専門家と結んでおくこと。
これが、頼れる人がいない方の、これからの終活のスタンダードになっていくのかもしれません。
株式会社大阪セレモニー



