【仮想通貨の相続】ビットコインの税金と“秘密鍵が不明で財産ゼロ”を防ぐ方法をプロが解説
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「うちはお金持ちじゃないから、相続で揉めることなんてない」
多くの方が、そう信じていらっしゃいます。
しかし、それは残念ながら、希望的観測に過ぎないかもしれません。
相続トラブルは、財産の金額の大小で起こるわけではないからです。
むしろ、ごく普通のご家庭にこそ、「分けにくい財産」という深刻な火種が潜んでいるのですね。
今回は、遺産分割協議で特によく揉める、「争族」の火種になりやすい財産をランキング形式で発表し、
- なぜ、その財産がトラブルを引き起こすのか
- 実際に起きた、典型的なトラブル事例
- 揉め事を未然に防ぐための、具体的な対策
- 専門家が語る、意外な落とし穴
などを、詳しく解説していきましょう。
【結論】トラブルの元凶は「分けにくい」「評価が難しい」財産。特に「不動産」は別格。分け方を指定する「遺言書」が唯一の解決策
遺産分割で揉める財産に共通しているのは、「物理的に分けにくい」「価値の評価が人によって違う」という2つの特性です。
預貯金のように1円単位で割り切れる財産と違い、こうした財産は相続人の思惑や感情が複雑に絡み合い、話し合いを泥沼化させる原因となります。
特に、ランキングの頂点に立つ「不動産(実家)」は、その代表格と言えるでしょう。
このような悲劇を回避するための、唯一にして最強の対策。それは、財産を遺す側(親)が、元気なうちに、法的に有効な「遺言書」を作成し、「誰に、何を、どう分けるか」を明確に指定しておくことです。
子供たちの話し合いに委ねるという「優しさ」が、時として、最も残酷な結果を招くという現実から、私たちは目を背けてはならないのです。
1. 第5位:株式(特に、親族が経営する会社の非上場株式)
まず第5位は、株式です。
上場株式も評価額の変動で揉めることがありますが、それ以上に厄介なのが、非上場株式でしょう。
なぜ揉めるのか:
客観的な価値の評価が非常に難しいからです。
簡単に現金化できず、相続しても持て余してしまう相続人がいるかもしれません。
会社の経営権が絡む場合、「誰が会社を継ぐのか」という、単なる財産問題を超えた深刻な対立に発展しかねません。
対策としては、生前のうちに後継者を指名し、遺言書で株式を集中して相続させるなどの準備が不可欠と言えます。
2. 第4位:預貯金
「分けやすいはずの預貯金がなぜ?」と思われるかもしれません。
しかし、ここには「使途不明金」という大きな落とし穴があります。
なぜ揉めるのか:
親の生前、同居していた長男などが親の通帳を管理していた場合、他の兄弟から「親の金を使い込んでいたのではないか?」という疑念が噴出しやすいのですね。
介護費用や生活費として正当に使っていたとしても、その証明ができなければ、疑心暗鬼は深まるばかりです。
対策としては、親のお金の出入りは必ず記録を残し、領収書を保管しておく習慣が、身を守ることに繋がるでしょう。
3. 第3位:美術品・骨董品・貴金属
第3位は、個人の趣味や思い入れが強く反映される、これらの財産です。
なぜ揉めるのか:
相続人間で、そのモノに対する価値観が全く異なるからです。
「父が大切にしていた壺」も、興味のない子供にとってはただのガラクタかもしれません。
客観的な金銭的価値の評価が難しく、「鑑定額は100万円だ」「いや、ネットでは10万円で売っている」といった水掛け論になりがちです。
対策としては、元気なうちに専門家による鑑定を受けて評価額を明確にし、誰に相続させたいかを遺言で指定しておくことが望ましいと言えます。
4. 第2位:生命保険金
意外に思われるかもしれませんが、生命保険金は深刻な不公平感を生む、非常に大きな火種となり得ます。
なぜ揉めるのか:
生命保険金は、法律上、遺産分割の対象となる「相続財産」ではなく、「受取人固有の財産」だからです。
例えば、長男だけが受取人に指定されていた場合、長男は遺産分割とは別に、多額の保険金を一人で受け取ることになります。
他の兄弟からすれば、「ずるい!」という感情が生まれるのは、想像に難くないでしょう。
5. 第1位:不動産(特に、親が住んでいた実家)
そして、最も揉める財産、第1位は、やはり不動産です。
なぜ揉めるのか:
「分けにくい」財産の筆頭格だからです。物理的に分割することはできません。
「売却して現金で分けたい」兄と、「思い出の家だから住み続けたい」妹とで、意見が真っ向から対立します。
不動産の評価額を巡っても、「固定資産税評価額」「路線価」「時価」など、どの基準を使うかで取得分が大きく変わり、争いの種になります。
「家」には、金銭的価値だけではない、「思い出」という感情的な価値が付随しており、これが話し合いをさらに複雑化させるのです。
対策はただ一つ。
親が元気なうちに、この家をどうしたいのか、その最終意思を「遺言書」という形で、明確に残しておくこと。これに尽きるのではないでしょうか。
【まとめ】“争族”の火種は、ごく普通の家庭にこそ潜んでいる
財産の種類によって、これほどまでに揉めやすさが違うという現実。この知識を持つか持たないかで、ご家族の未来は大きく変わるかもしれません。
では、本日のポイントをまとめます。
- 遺産分割トラブルは、財産の額ではなく、「分けにくい」「評価が難しい」財産があるかどうかで決まる。
- 不動産、特に「実家」は、物理的にも感情的にも分けにくく、トラブル発生率が最も高い財産。
- 生命保険金は遺産分割の対象外のため、「受取人」の指定が兄弟間の不公平感を生む大きな火種になり得る。
- 預貯金ですら、親の生前の「使途不明金」問題で揉める可能性がある。
- これらのトラブルを回避する最も確実な方法は、財産を遺す側が、元気なうちに「公正証書遺言」で分け方を明確に指定しておくこと。
ご葬儀の場で、ご遺族が故人の思い出を穏やかに語り合っている。
その背景には、故人が生前にきちんとした準備をされていたケースが本当に多いのです。
残される家族が争うことなく、心穏やかに故人を偲べる環境を整えておくこと。それこそが、財産を遺す側の、最後の愛情表現であり、最大の責任ではないでしょうか。
株式会社大阪セレモニー



